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MA活用による顧客体験のパーソナライズ化最新事例 アクティブコアが伝授するシナリオ構築のポイント

 MAの効果を最大限にするにはまず、散在するデータを統合してDMPを構築すること――そう話すのはアクティブコアの代表取締役社長である山田氏だ。消費者が様々なチャネルを行き来する状況下で、顧客を深く理解し、一人ひとりに最適なアプローチをかけるにはどうすればいいのか。山田氏は、MAとAIを駆使してそれを実現する方法とポイントを解説した。

効果的なMA活用には「データの統合」が最重要

 「このところ、海外・国内ベンダーのMAからの乗り換えが多い」と話すのはアクティブコアの山田賢治氏。それまでのツールでは効果が出なかったことが、乗り換えの主な理由のようだ。

株式会社アクティブコア 代表取締役社長 山田賢治氏
株式会社アクティブコア 代表取締役社長 山田賢治氏

 このようにMAを導入したにも関わらず効果が出ないケースとして、山田氏は二つの例を紹介した。

 一つ目は、メール配信のスケジューリングのためだけにMAを使ってしまっているケース。会員登録者にメールを配信するも、内容はすべて同じ、ステップ配信をすることもない。場合によっては、○○様と名前を件名に差し込むだけ、という例もあったという。

 このように会員登録時の個人情報しか使えていない企業は多く、「Web、LINE、アプリといった顧客の行動アクションを使ってセグメンテーションしたり、コンテンツを変えたりしているお客様は少ない」と山田氏は話す。

 二つ目は、データがバラバラに管理されているケース。広告・Web・メール・アプリ・LINE・POSデータが散在し、顧客単位でデータを保持できていない状況をよく見かけるそうだ。

 山田氏は、MAの効果的な活用のためには「データの統合が必要」であるとし、「データを統合して顧客単位で分析をする。顧客それぞれに合ったコンテンツを配信する。顧客を可視化して、それから施策を進めていく」ことが重要であると続けた。

 これを行うためには、まずは顧客との接点データをできるだけ多く集める必要があり、BtoCだけでなくBtoBでも同じことが求められるという。

あらゆる顧客接点データの統合・分析・活用をワンストップで

 こうした状況の企業に対し、アクティブコアは自社開発のマーケティングクラウドを通して、データ統合から顧客の可視化、パーソナライズされたシナリオ展開までを支援している。

 顧客の属性、行動データ、EC、POSデータ、広告に関するデータなどをアクティブコアのプライベートDMPに入れることで、データ分析や可視化、LINE連携、アプリ連携、MAのシナリオ設定から配信などをワンストップで管理することが可能になる。

 その特徴は、すべての施策を一つの管理画面で設定できること。作業の効率化が実現すると、クライアント企業から好評だそうだ。

 もう一つの特徴は、アクティブコアが強化しているAI機能「ピタゴラス」にある。Amazonをはじめ多くのレコメンドエンジンが協調フィルタリング方式を採用している中、ピタゴラスはこれに加えて、特徴量を自動抽出するアルゴリズムも備えている。これにより、「価格に反応しそうなお客様なのか、特定のブランドに反応しそうなお客様なのかなどを自動判別し、お客様それぞれの特徴を判断できる」と山田氏。

 つまり、よく見ている商品に沿ったレコメンドだけでなく、AIが判断した顧客の特徴・嗜好に沿って、二段構えでレコメンドすることができるのだ。これにより、CVRの改善が見込めるという。

まずは効果の大きいところから! 顧客別シナリオ構築のポイント

 山田氏は続いて、顧客別にシナリオを展開するまでの流れについて、ポイントを紹介した。

 最初のステップは、顧客のセグメント化だ。通常は、コンバージョンや購入間隔を分析してセグメント化を進めるが、コンバージョンが頻繁に起こらない場合はサイトの訪問間隔で分析してもいいという。

 たとえば、購入後6ヵ月以内にアクションがないと休眠になることがわかったら、180日単位で優良・一般・新規・会員登録・初訪問などのセグメントに分け、180日以上アクションがない顧客は休眠扱いにするといった具合だ。

 顧客をセグメント化できたら、次はそれぞれに応じたシナリオを構築していく。ここで重要なのは「どのセグメントに注力すべきかを決めること」。すべてに注力するのが最善ではあるが、山田氏は「まずは最も効果のあるところに力を入れるべき」と助言する。

 こうして可視化したセグメントからシナリオへ落とし込んでいくわけだが、各シナリオでステップメールを組む際は、コンテンツのパーソナライゼーションにもできるだけ取り組みたい。難しければ、メールタイトルを変えるだけでも効果があるそうだ。

カゴ落ち・ブラウザ離脱・休眠掘り起しへの対策は?

 セッションでは、よくあるケースとして「カゴ落ち」「ブラウザ離脱」「休眠掘り起し」が起きた際のシナリオもそれぞれ紹介された。

 はじめに「カート落ち」が起きた場合、リマインドのメールは翌日に送るより、30分~1時間後に送るほうが、CVRが高くなる傾向があるという。それで反応がなくても、あきらめずにもう一度コンタクトしてみる。「3~5回アタックすると嫌われるかもしれないですが、1回で終わるのはもったいない」と山田氏。また、カートに入れている商品だけでなく、他の商品や情報を提示するといいというアドバイスもあった。

 次に、Webで閲覧しただけでカートに入れていない「ブラウザ離脱」については、リマインドすることで店舗への送客に効果があるケースが多いという。ただし、店舗送客の効果を測定できる状態でないと効果はわからない。

 もう一つ「休眠掘り起し」に関しては、“あと一押し”が効果を生むと山田氏。実際に、180日以内にサイト訪問も購入もない顧客へクーポンを配信するが初回の反応はなし、14日後に2回目の配信をしても反応なし、それでもあきらめず3回目の配信をしたところ、単一メールと比較して3倍の掘り起しに成功した例があったそうだ。

 なお、この事例では7,800人がメールからWebサイトに訪問しており、彼らのWeb行動履歴は今後のレコメンドに活用することもできる。

 このように、「顧客に合わせたシナリオ展開で効果が出てきたら、最終購入日と購入回数を組み合わせるなど、さらに細かくセグメント化してアプローチをかけていくといい」と山田氏は話す。

事例1:阪急交通社は徹底したレコメンドで売り上げ増を実現

 山田氏は、アクティブコアのマーケティングクラウドを活用して成果をあげた企業として、阪急交通社とブックオフコーポレーション(以下、ブックオフ)の事例も紹介した。

 海外ツアー・国内ツアー・宿泊など様々な商材を展開している阪急交通社は、まずは一つの商材のみでPC・スマートフォン・携帯の閲覧に基づくレコメンドをスタートさせた。すると効果を確認できたため、会員データや予約履歴などの基幹データとアクティブコアのプライベートDMPを連携。結果、レコメンド経由の売り上げが30%も伸びたという。

 この事例で注目すべき点は、徹底したレコメンドだ。たとえば、フリープランのツアーを閲覧していると、レコメンド欄にはフリープランのツアーの表示がどんどん多くなっていき、価格帯も閲覧しているツアー料金の価格にだんだん寄ってくるような仕組みになっている。

 表示場所も工夫した。多くの企業はレコメンド欄をサイトの下のほうに置いているが、阪急交通社はより上部の目立つところにレコメンド欄を配置しており、これが効果を生んでいるという。

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 またマイページでは、予約の有り無しによってレコメンドの内容を変えている。すでに何らかのツアーを予約している顧客には、ツアー先の地域のお土産や観光ガイドを表示するなどしているようだ。

 こうした施策により、レコメンドのクリック率は4倍以上にオンラインでの売り上げも5年前に比べると1.5倍にサイトの訪問者数は115%に成長した。今後は、より高度なAI活用に注力し、自動化・パーソナライズ化をさらに進めていく狙いだ。

事例2:買い取りデータと販売データを統合したブックオフ

 次はブックオフの事例だ。ブックオフのアクティブコア活用の目的は、顧客の可視化。買い取りデータと販売データ、二つのデータを統合したCRMを構築し、顧客の可視化を進めてきた

 具体的には、会員のうち1年以内に購入があったアクティブ会員を、購入回数ごとにランク分けし、それぞれにステップメールを配信。180日以上アクションがないユーザーは、休眠に分類した。

 効果が出たのは、“購入回数1”のユーザーを“購入回数2”に引き上げる施策で、購入回数は10%向上したという。

 また、中古品販売事業ではいい商品をそろえることが重要となる。そこで、“いい商品を持っていそうな顧客をAIに予測させ、買い取りオファーをメールで出す”という試みも行った

 仕組みとしては、類似商品を購入・閲覧した顧客のデータと、類似商品を買い取りに出した顧客のデータの両方をAIに学習させ、商品を売ってくれそうな顧客を予測。「お持ちの商品を高額で買い取ります」といったメールを送信したところ、従来のメールと比較して、CTRは7倍に、CVRは4倍に改善したという。

 セッションの最後、山田氏はまとめとして、以下の効果的なMA活用のポイントを伝授した。

・できるだけ多くの顧客接点データを集める

・AIの予測の精度は、顧客接点データの質と量で決まる

・レコメンドとオファーは、売りたい商品をすすめるのではなく、顧客の嗜好に合わせるべき

 「MAはツールうまく使って業務を効率化し、シナリオを考えたり、コンテンツを考えることに時間を使うべきです。新しいことに挑戦して、知見をためることがマーケティングに必要ではないでしょうか」と山田氏は来場者に呼びかけ、セッションを終えた。

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/03 12:04 https://markezine.jp/article/detail/32082