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CMと連動した対策でCPI40%減!タイミー×セプテーニのApple Search Ads運用術

 一つの広告施策の効果を最大化させるためには、それに付随する施策が必要となる。本記事では、バイトアプリ「タイミー」がCMの出稿と連動してアップストア内の検索連動型広告「Apple Search Ads(以下、ASA)」の対策を強化した事例を紹介。検索を行ったユーザーに確実にアプローチすることで、認知と獲得の相乗効果を生んだ取り組みについて、タイミーとセプテーニの2社に話をうかがった。

知名度とサービス内容の浸透が重要なアプリマーケティング

――はじめに、皆様の担当業務についてご紹介ください。

古賀:タイミーは、応募や面接が不要で1日単位のアルバイトができるバイトアプリ「タイミー」の運営を行っています。私は、2020年の5月まではマーケティングマネージャーとして、タイミーのプロモーション全体を担当し、現在はデータアナリティクスを担当しています。

石原:Septeni Japanの石原です。私は、主にゲームやライフスタイルアプリを取り扱う広告主をメインとした営業部のマネージャーとして、広告主のデジタルマーケティング支援に向けた包括的な戦略設計やメンバーサポートを行っています。

佐藤:私も石原と同じ営業部で、今回タイミー様の担当営業として、具体的なプロモーション戦略のご提案から、配信後の改善アクションプラン設計など、古賀様と密に連携を取らせていただきながら行いました。

安立:同じくSepteni Japanの安立です。アプリ案件をメインとした広告運用コンサルティングを担当しています。ASAに関しては社内の媒体責任者を務めており、媒体社との連携や戦略設計を横断でサポートしたりしています。

プロフィール写真
(左から)タイミー 執行役員CAO 古賀元樹氏
Septeni Japan 石原匠吾氏
Septeni Japan 佐藤佑樹氏
Septeni Japan 安立和真氏

――早速ですが、タイミーさんはプロモーション戦略において、これまでどのようなことを重視されてきたのでしょうか。

古賀:重視しているのは、“一日単位で働ける”サービス自体の理解度と、タイミーの知名度をあげることです。アプリはサービス内容の浸透と知名度が、成果にダイレクトに響いてくるのですが、バイトアプリの領域は競合も多いため、サービスの知名度については恒常的な課題になっています。

 これまでは、FacebookやLINE、ASAなど、主要なメディアを活用して、ユーザー獲得をメインにプロモーションを行ってきました。また、オフラインでは、大学の学園祭に共催して、直接アプローチを行う施策も実施してきました。さらに2019年11月には、CMにもトライしています。

――CM出稿の目的について、教えてください。

古賀:CMの狙いは大きく2つありました。1つは、アルバイト需要が多い12月に向けたユーザー獲得です。そしてもう1つは、「スキマ時間でのバイト」という新規カテゴリーにおける、“純粋想起”の獲得です。具体的には、「スキマバイトはタイミー」「タイミーしよ」などのフレーズをCM内で用いることにより、純粋想起されるサービスを目指しました。

 また、これまで一日単位で働く単発バイトの世間のイメージは、肉体的にハードな労働を想起させ、決して良いものではありませんでした。それを払拭するために、全世代に知名度と好感度の高い橋本環奈さんを起用して、信頼感のあるイメージをもってもらいたいという狙いもありました。

指名検索で流入するユーザーに確実にアプローチ

――CM出稿のタイミングに合わせ、ASA強化の取り組みも行われたそうですね。そもそもASAにはどのような特徴があるのでしょうか。

佐藤:ASAは、アップストアの検索窓にて特定のキーワードを検索したユーザーに対してリーチすることができるメニューです。つまり、アップストアの検索結果上に広告が表示されるので、アプリのインストールに対するモチベーションが高いユーザーが多いんです。

――アプリを手掛ける企業には必須の取り組みだということですね。

佐藤:はい。運用面での大きな特徴は、細かなターゲティングが可能なことです。未インストールユーザーのみへのアプローチに限定される媒体が多いのですが、ASAはインストールして一回削除したユーザーなど、既にアプリを利用したことがある比較的モチベーションの高いユーザーへもアプローチが可能なのは魅力的な点だと思います。

――タイミーさんはどのような考えから、ASAの配信を決めたのでしょうか。

古賀:CMの出稿により認知度が上がり、“タイミー”の指名検索で流入するユーザーが多くなりました。そのユーザーを取りこぼさずCM効果を最大化するためにも、ASAを強化してインプレッションシェアを高く維持しようと、セプテーニさんに相談しました。

ブランディングも兼ねたクリエイティブの訴求

――では今回、セプテーニさんはタイミーさんにどのような提案をされたのでしょうか。
 

佐藤:まずは、CMと連動したASA活用の提案です。ASAは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでのリスティング広告と異なり、検索後の画面にテキストとスクリーンショットが出てくるため、ダイレクトレスポンスだけでなくブランディングにも大きく寄与する媒体です。

 具体的な施策としては、CMに出演いただいた橋本環奈さんの写真を使用したスクリーンショットを作成し、CMで接触したユーザーを確実に獲得できるよう設計しました。さらに、タイミー様のCM出稿自体の目的でもある“純粋想起”の獲得に向けて、CMの非接触ユーザーに対してもタッチポイントを増やせるようにしました。橋本環奈さんはネームバリューがあるので、結果的に非接触ユーザーにもインパクトを与えられたと思います。

安立:タイミー様が出稿するタイミングでASAの配信フォーマットのアップデートがあり、これまでキーワード検索結果の1位はテキストのみの表示だったのが、アップデート後はスクリーンショットも表示される仕様に変更されました。そこで、画面にCMと連動したスクリーンショットを2枚並べ、画面占有率を高められるよう、キーワードの入札・スクリーンショット設定やApp Store Optimization(以下、ASO)周りの施策を実施。また、CMで特定のキーワードのインプレッションがかなり増えていたため、検索してきたユーザーへ効率的にアプローチができるよう設計しました。

指名キーワードに加え、一般キーワードからの流入も

――取り組みを始めて、どのような結果が出ましたか。

安立:先にお話しした施策に加え、新規ユーザー・復帰ユーザー双方の獲得を狙ったターゲティングの変更を行うことで、結果的にはCTRは約1.4倍に。それにともない、CPCを抑制でき、CPIも約40%低下。インストール数を1.4倍ほどに拡大できました。

 さらにスクリーンショットを変更した効果は、指名キーワードの部分だけではなく、他の一般キーワードに関しても影響が見られ、そこでもCTRが向上し、結果的にCPCの抑制、CPIの改善が見られました。

――様々な数値の改善が見られたのですね。 タイミーさんは、今回の結果をどのようにご覧になっていますか。

古賀:CMでの認知を活かしてユーザー獲得につなげられたのは良かったですね。またタイミーはサービスの特性上、東京周辺のユーザーの獲得を目指しており、エリアを細かく調整する必要があったのですが、セプテーニさんにはその点も手厚くサポートいただいたんです。その結果、本当に獲得したいユーザーを得ることができたのも成果だと思います。

運用データをインストール後の施策にも活用

――最後に、タイミーさんの今後のマーケティング戦略について聞かせてください。

古賀:今回の取り組みに関して言えば、ASOのメタデータを通じてどのようなキーワードが獲得につながったか情報を得ることができたため、今後に活かしていきたいと考えています。より広い観点では、ユーザー数とバイトの案件数のバランスを調整しながらプロモーションを行っていきたいですね。

 今、コロナによって企業の長期雇用の考え方が変化しています。また働き手側も、一つの場所で長く働く以前の考え方から、複数の場所で短期間で働くニーズが増加している調査結果も出てきているので、新たなニーズに向き合ってサービスを訴求していこうと考えています。

――セプテーニさんは、今回のお取り組みを踏まえての感想をお願いいたします。

安立:今回は、CM配信前から設計を練り、CM出稿の狙いとマージさせたASAの設計ができたことで、オンライン・オフラインの各施策が点にとどまらず、ダイレクトレスポンスとブランディングの両方へ貢献ができたと考えています。

 ASAに限ったことではないですが、セプテーニでは高い広告運用クオリティを担保するために、アカウントサーベイという標準化の取り組みを行っています。具体的には、媒体アルゴリズムの研究や媒体社との連携に基づき、運用設計を仕組み化し、サーベイとして可視化。これにより、定量分析に基づく改善プランを早いサイクルで実行できます。

アカウントサーベイについて(タップで拡大)
アカウントサーベイを活用した運用体制(タップで拡大)

 また、ASAにおいても弊社内での配信実績は直近5ヵ月連続で過去最高数字を更新し続けており(2020年6月時点)、Apple社との密な連携も行っていますので、ASAの運用体制・実績ともに、国内トップクラスだと自負しています。運用スキルアップに向けた教育環境も整え、ASA運用者も昨年対比で2倍程度増員しました(RPA:昨年対比140%増加)。

 今後もこの強固な運用基盤を軸に、メタデータの活用、インストール以降のリーチやLTV向上も絡めた戦略設計を行い、タイミー様が注力されている「“一日単位で働ける”サービス自体の理解度とタイミーの知名度を上げる」という課題解決に寄与できればと思います。

石原:ASAは、アプリをインストールする時に誰もが通る部分です。その対策をしっかりと行うことで、LTVアップの効果は間違いないと思っています。成果に直結する重要な部分だからこそ、私たちがご支援することで付加価値をつけて、お客様に対して大きなメリットを提供できるように、新しい施策を生み出していきたいです。

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この記事の著者

丸山 真希枝(マルヤマ マキエ)

フリーライター。IT・Web業界を中心に100社以上のボードメンバーへの取材を行う。起業・マーケティング・クリエイティブなど幅広いトピックスを担当。趣味はヨガと瞑想。体幹と柔軟性を強化中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/07/16 11:00 https://markezine.jp/article/detail/33652