美容師目指し上京、でも状況が一変
野崎:今回はPCメーカーで量販店の販売員を経験後、ECモールのコンサルティング、不動産ポータルサイトのマーケターを経て、現在ナイルに所属する酒井さんのキャリアを分解します。まず、酒井さんが現在ナイルでどのようなお仕事をしているか教えてください。
酒井:ナイルはデジタルマーケティング、メディアテクノロジー、モビリティサービスの大きく3つの事業を展開しており、私はモビリティサービス事業のマーケティングに携わっています。
具体的には、「おトクにマイカー 定額カルモくん」というカーリースのサービスを展開しており、このサービスの新規顧客を獲得するため、リスティング広告やディスプレイ広告の運用責任者をしています。
野崎:ナイルと言えば、デジタルマーケティング支援のイメージが業界的にも強いのですが、酒井さんは自社サービスに関するマーケターなんですね。元々マーケターを志してキャリア形成をしてきたのでしょうか。
酒井:いえ、まったくです(笑)。高校まで福島にいたんですが、当時はカリスマ美容師ブームで「自分もああなりたい!」と東京の専門学校に通っていました。しかし、卒業2ヵ月前に行われる美容室の体験入店で、朝から晩までビラ配りを毎日のようにさせられ、「これは私が目指す道ではない」と違う職を探すことにしました(笑)。
販売員として消費者心理を学ぶ
野崎:某ドラマの影響で自分も美容師に憧れていました(笑)。そこで理想と現実のギャップを感じたわけですが、卒業2ヵ月前に方向転換して、どのように別の道を選んだのでしょうか。
酒井:当時PCメーカーで家電量販店向けのアルバイトをしていたんですが、タイミングよく社員登用制度がスタートしたので応募したところ、運よく採用していただけました。
野崎:マーケティング関係ではないところから、キャリアをスタートしたんですね。PCメーカーの社員として、どのようなお仕事をしていたのでしょうか。
酒井:9年間在籍していたのですが、最初の3年は家電量販店のメーカー担当として、店頭で接客対応にあたるのが主な役割です。その後、社内公募に受かりトレーナーとして新入社員や中途社員の方のトレーニングをしていました。また、新しい商品のアップデートを各家電量販店にも共有していました。
野崎:キャリア目線で見ると、20代前半で売り場に立ち、カスタマーのニーズや現場のオペレーションなどを間近で見ながら接客対応していた経験はポジティブに捉えることができます。ちなみに、現場とトレーナーの仕事を比較したときに、どちらが楽しかったですか。
酒井:トレーナーの仕事ですね。正直続けられるなら続けたかったし、毎日会社に行くのが楽しかったです。教えた社員の方が成果を上げると非常に嬉しくて。
野崎:その頃からマーケター的感覚は磨かれていた気がします。自らは直接カスタマーと接触せず、各売り場の担当者のコミュニケーションを売上を意識して最適化し続けていくのは、各マーケティング施策を推進していくのに似た感覚でしょう。