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「出かけたい」の心が冷えないように Peachはコロナ禍で旅と人をどう繋いでいた?

2020/10/07 07:00

 コロナ禍で人々の生活スタイル・価値観が変容し、各企業もそれに合わせた対応を行っています。大きな打撃を受ける業界が少なくない一方、飲食においてはテイクアウト、リテールにおいてはECシフトが進むなど、新たなビジネスモデルを構築する動きも見え始めました。本連載では、BtoC企業に焦点をあて、ニューノーマルにおけるマーケティング活動に迫ります。第一回は、航空会社Peachの千歳 敬雄氏に話を伺いました。

目次

徐々に戻る客足 国内ネットワークの充実を図る

――コロナ後から現在に至るまでの御社の状況をお聞かせください。

千歳:まず、国際線は止めなければなりませんでした。国内線は6月19日から全路線復旧しています。冬の終わりから春先にかけては大幅な減便で、ダウンサイジングを余儀なくされました。

――現在の国内線の稼働率はコロナ前と比べていかがですか。

千歳:国際線が運航できない分、以前よりも国内線を増便していて、コロナ前の水準とまではいきませんが手ごたえは感じています(2020年8月時点)。また、国内線の新規就航にも取り組み、国内ネットワークの充実を図っています。

Peach 事業戦略室 事業戦略・CRM推進部 部長 千歳 敬雄氏
Peach 事業戦略室 事業戦略・CRM推進部 部長 千歳 敬雄氏

――消費者の動向はどう変わってきていますか。

千歳:当然ではありますが、皆さん非常に慎重になっていますね。旅行に行きたくないわけではないけれども、今この状況で移動をすると、友人や家族に迷惑をかけてしまうかもしれない、そんなふうに感じているのだと思います。一方で3密回避など、必要な予防措置を講じていれば、過剰に心配するものではないと、科学的には説明されています。

 それらの状況を勘案した上で、旅行される方も増えてきています。実際に、一日あたりの平均予約数を見ていますが、ビジネス的にはある程度許容できる水準に戻ってきていると感じます。私たちのお客様は、帰省やレジャー目的の方が多いので、出張などビジネス目的のお客様が多いところとは事情が異なると思いますが。

 東京のセカンドウェーブなどもあり、また萎縮してしまう懸念はあるものの、コロナ禍の中でも、芽は出始めているという気がしています。

コロナ禍での消費者とのつながり

――徐々に客足が戻ってきているんですね。飛行機を飛ばせない時期は、消費者とのつながりをどう保っていたのでしょうか。

千歳:3~4月は、当社が提供している旅の小ネタを集める「tabinoco(以下、タビノコ)」のコミュニティに向け、旅を想起させるコミュニケーションを仕掛けました。具体的には、これまでの旅の思い出や、見た景色を共有するというキャンペーンを行い、「出かけるのって良いよね」「ああいうところに行きたいね」といったように、お客様の旅行に対する温度が冷え切らないようにしたんです。いつかまた空を飛べる日まで、皆で旅のことをいろいろと考えようと働きかけることで、消費者とのつながりを保ちました。

 私たちがやっているのは、人を運ぶことだけではありません。「旅に出たい」「ここに行ってみたい」「あの人に会ってみたい」といった想いをサポートするという立ち位置で、お客様と接しているので、コロナ禍でそうした心が冷えないように、私たちにできることをやっていました。

SNSプラットフォーム「tabinoco」
SNSプラットフォーム「tabinoco」

――タビノコで実施されたキャンペーンについて、詳しく教えてください。

千歳:一つはバーチャル花見ですね。春は桜の写真をSNSに上げる方が多いと思いますが、今年はそれがなかなか難しい状況でした。たとえば旅慣れている人だと、桜の時期に、2週間ぐらいかけて桜前線と共に北上していく。LCCを利用して、そんな旅行を楽しんでいる方がいるんです。このキャンペーンで、そういった過去のお花見の写真をタビノコで共有してもらいました。

 ほかには、お客様に「いつか行きたいところ」「過去の旅行のマイベスト」「旅での失敗」といったことをタビノコでシェアしてもらったり。こうした取り組みにより、笑いつつ、懐かしみつつ、「また旅行に行きたいな」という気持ちをつないでいました。

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