2020年、若者たちはどうやって時間を過ごしていた?
本企画では、若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」が、若者から圧倒的な支持を集めるARカメラアプリ「SNOW」を展開するSNOW Japanとともに、5年間(2015年~2020年)の若者トレンドの変遷をたどり、若者の価値観がどのように変化したのか、そして、今後若者がどう変化していくのかを分析します。
左:SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣
総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年にSHIBUYA109エンタテイメントに入社。SHIBUYA109 マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、2018年5月に若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。現在は毎月200人のaround20(15歳~24歳の男女)と接する毎日を過ごしている。
右:SNOW Japan 事業統括 崔智安(チェ・ジアン)
テレビ番組やPVの演出などを経て、2015年ARカメラアプリ「SNOW」の立ち上げに参画。日本における写真や動画の“盛る”文化を作る。他にも3Dアバターソーシャルアプリ「ZEPETO」や動画編集アプリ「VITA」など様々なジャンルのアプリをリリースしている。
今回はこの一年を振り返り、さらにアップデートされた若者の「今」を分析していきます(5年間のトレンド変遷を解説した、連載第1回~第4回はこちらから)。
長田:コロナ禍での生活環境の変化により、辛い思いをしている若者は多いと思いますが、若者と接していると「こんな状況だけど少しでも楽しく過ごそう」と前向きに行動する姿勢が垣間見え、こちらが勇気づけられていました。
今年は、あつ森(あつまれ どうぶつの森)をプレイしたり、自宅でダルゴナコーヒー(牛乳の上にふわふわに泡立てたコーヒーがのった韓国で人気のドリンク)などを作って“おうちカフェ”を満喫したり……お家の中でできる楽しみ方が広がりましたね。
また、友達と会えない時間を活用し、自分磨きを頑張る若者も多かったです。動画配信アプリを参考にボディメイクを頑張ったという話はよく聞きます。
崔:そうですね。もどかしい一年でしたが、様々なトレンドが生まれています。オーディション番組「Nizi Project」やアニメ「鬼滅の刃」など、映像コンテンツも盛り上がりを見せていましたね。一時期、若者の視聴が減っていると言われていたテレビも、視聴時間がすごく増えていたんじゃないかと思います。
長田:SHIBUYA109 lab.で4月に「自粛期間中にかける時間が増えたこと」を聴取した調査では、実際にテレビ視聴が上位にランクインしました。SNSも含め、メディアとの接触は全体的に増えているようです。
崔:SNOW Japanでも、すべてのサービスにおいてトラフィックが増加しています。
ZEPETOなどSNS系のサービスはもちろん、カメラアプリもトラフィックが増えています。「外出しないから、写真を撮る頻度も減ったのでは?」というイメージを持たれる方が多いと思いますが、今の若者は、暇つぶしのためにカメラアプリを使い、一人で自撮りをしながら遊ぶことも多いです。
さらに、カメラアプリを介せば自分の見たい顔が見られるので、リアルの自分を見るよりも気軽とも言えます。自分のことが好きだから自分の顔を見たいのではなく、日常の一部なんですよね。お出掛けが減り、撮る対象として自分を選ぶことも増えたのではないでしょうか。
長田:なるほど。動画配信アプリやテレビなどのコンテンツと同じように、カメラアプリの中の自分を楽しんでいるんですね。
「自分を見る時間や、自分について考える時間がすごく増えた」という話は若者からよく聞きます。スキンケアやボディケアもコロナ禍で若者たちが力を入れていた部分ですね。
そのほか、資格の勉強などに励む若者も多く、内面的にも外見的にも自分を見つめ直し、磨きをかけていたのかなと思います。
【2020年以降の若者トレンドのポイント】・コロナ禍でも若者トレンドは発展
・SNSやテレビ視聴など、メディアとの接触時間が全般的に延びた