企業サイト内でもGoogleのような検索体験を
今回Yextが発表したソリューションは、企業サイト内の検索精度を上げるという「Yext Answers」。同製品は、2019年10月にアメリカでリリースされたもので、約1年遅れて日本に渡ってきた。会見でスピーカーを務めた同社マーケティング部 部長の清水真理氏は、海外での利用状況を次のように語る。
「リリース後、特に新型コロナウイルスの影響下であらゆる状況が変化する中、情報の不確実性、つまりオンライン上の情報が必ずしも正確ではない状況が起こり、大きな問題となってきていると感じています。たとえば飲食店では、運営企業が公式サイトなどの営業状況や感染対策の情報更新に追われる一方、ユーザーがオンライン上で正確な情報を見つけられないケースもあります。ユーザーに対し、いかに正しい情報を届けるかを課題とする企業は、既にリリースしているアメリカ、欧州にも当然多くありました。
その課題を解決する一つの手段として、Yext Answersのサイト内検索が利用されており、既に欧米では数百社で活用されています」(清水氏)
通常、サイト内検索というものは、サイト内の情報を集め、検索ワードにマッチしたリンクの一覧を表示している。たとえば「求人情報 営業 東京」と調べた場合、求人・情報・営業・東京の4つのワードが最も多く含まれるページのリンクが表示される。
この仕組みの課題は、検索したユーザーの求める情報が必ずしも表示されるわけではないという点だという。
「ある調査では、『3回に1回はサイト内検索で欲しい結果が得られない』という結果が出ています。求める情報が見つけられない、あるいは検索結果のうち、どのページに自分の求める情報があるのかわかりにくかったという経験はどなたもあるのではないでしょうか」(清水氏)
次の画像は、従来のサイト内検索とYext Answersの検索で検索結果を比較したもの。「アメリカンクラブ カロリー数」と検索すると、従来のサイト内検索ではリンクの一覧が表示されるだけだが、Yext Answersではカロリー数がダイレクトに表示される。
Yext Answersの一番の大きな特徴は、このように私たちが普段慣れ親しんでいるGoogle検索のような体験を企業サイト内検索でも提供できることだという。
「消費者の84%が企業に問い合わせることなく、自身による検索での問題解決を希望しているという調査結果があります。こうしたユーザーにとって良い体験を生むには求める検索結果をすぐに見つけられる仕組みを作る必要があります」(清水氏)
企業やブランド向けの構造化データベースを構築
Yextではどのようにしてサイト内検索の最適化を実現しているのだろうか。清水氏は「自然言語処理(Natural language processing、俗にNLP)」「構造化データベース」がコアになっているという。
自然言語処理は、私たちが日頃使っている言葉、自然言語をコンピューターで処理する技術。Googleの検索機能のほか、チャットボット、音声検索、メッセージングサービス、アプリにも使われている。
一方、構造化データベースは、情報を単に保管するのではなく、情報に意味づけをし、情報の相互関係や属性を整理整頓して保存するデータベースを指すものだ。たとえば「化粧品製造」は業態を示し、「0120-000-000」は電話番号を示すといった意味づけを行い、検索された際に呼び出しやすいよう情報を整理整頓しておくことができる。
Yextの提供する構造化データベースは「Yext Knowledge Graph」と呼ばれるもので、Googleで使われているC向けの構造化データベースに対して、企業やブランド向けとなっている。Yext Knowledge Graphは、Yextの提供する製品群の基盤でもあり、Yext Answers含めすべての製品がここから正しい情報を呼び出している。