インターネット広告はコロナ禍においてもプラス成長を維持
電通が2021年1月に発表した資料によれば、2021年は世界の総広告費に占めるデジタル広告費が、メディア全体の50%に達する見通しだ。
横大路氏によれば20年以上も前からケーブルテレビが普及している米国では、テレビもデジタルメディアの一つとして認識されることが多いそうだ。テレビCMをデジタル広告として含んだ場合、その割合は広告費全体の実に8割にのぼる。
日本においてもデジタル広告費の占める割合は年々増大している。2019年にインターネット広告費の割合がテレビを抜いただけにとどまらず、コロナ禍の影響が深刻だった2020年においてもプラス成長を維持しているという。
「インターネット広告は、今後も間違いなく伸びていくと思います。ただインターネット広告といっても、媒体や出稿方法によって種類は様々です。広告がよりデータドリブンになっていく過程で、プログラマティック広告の割合がどの程度伸びていくか、注目したいと考えています」(横大路氏)
広告媒体の変化に沿う形で「メディアバイイングの中核をデジタルへシフトする企業も増えてきている」と三嶋氏は話した。
強まるCookie規制の現状
新型コロナウイルスによる影響は、企業や市場の変化だけにとどまらない。リモートワークの一般化や消費行動の変化など、生活者の態度変容にも大きな影響を及ぼした。
三嶋氏によれば生活者自身のデジタルシフトによってデータ活用がより重要視される中で、Cookie規制への関心が以前にも増して高まってきているという。
「Googleトレンドで『Cookie-less』のキーワードを調べると、規制に関するアナウンスのあったタイミングで検索トレンドが急上昇しています。『Safari ITP 2.1』『Chrome 3rd Party Cookies Announce』最近では『Apple IDFA Announce』などのタイミングでCookie規制への関心が高まったことが見受けられます」(三嶋氏)
ベースとなるトレンドラインから見て、Cookie規制への関心は一時的なトレンドにとどまらない、と三嶋氏は予想する。
なお現在の規制状況については、各ブラウザによって様々だ。Safariは、トラッキング防止機能であるITP(Intelligent Tracking Prevention)によって、サードパーティCookieとファーストパーティCookieのトラッキングを規制しており、Chromeは2022年1月にCookieのサポート終了が予測されている。Firefoxに関しても、プライバシー保護でCookie規制を高めているのが現状だという。
対応に差はあるにせよ、いずれのブラウザにおいても、規制が強まる傾向は変わらないだろう、と横大路氏は語る。
「広告に必要なデータを提供している当社としては、Cookie規制は着目しているトピックです。一方で、こうした規制の話は前々から課題として取り沙汰されてきました。それぞれが対応について準備を整えている段階なのではないでしょうか」(横大路氏)