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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Day 2021 Spring

複合的データの活用でCRMの精度向上 ライオンが示す「オウンドメディア×DMP」の可能性とは

 昨今、ますます重要性が叫ばれる顧客体験価値向上において、CRMの精度向上は中心的な課題だ。大手日用品メーカー・ライオン株式会社(以下、ライオン)では、CRMに求められるデータ整備と生活者理解の推進にかねてから取り組み、その手法をより高度化させている。MarkeZine Day 2021 Springでは、同社からデジタルコミュニケーション開発チームを率いる比留間徹氏が登壇。オウンドメディアを通じ生活者理解の推進とそのデータを活用したCRM精度の向上について、事例を用いて解説した。

生活情報メディアを通じ、CRMの精度向上へ

 ライオンでは、メーカー独自の視点で生活情報を伝えるオウンドメディアサイト「Lidea(リディア)」を2014年から運営している。本講演では、同メディアの構築や、CRMにおいて重要なデータ基盤の整備に携わってきた比留間氏が登壇。オウンドメディアが持つ、CRMの精度向上への可能性について、これまでの取り組みを基に解説した。

ライオン ビジネス開発センター エクスペリエンスデザイン デジタルコミュニケーション開発チーム ディレクター 比留間徹氏
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ライオン ビジネス開発センター エクスペリエンスデザイン デジタルコミュニケーション開発チーム ディレクター 比留間徹氏

 まず比留間氏が語ったのは、Lideaの持つ機能やそのコンテンツの特徴だ。Lideaでは、読者のデモグラ収集を容易にする会員登録機能を持ち、ライオンの各プロダクトブランドのキャンペーン告知なども行う。なお、コンテンツにおける2本の柱となっているのは、暮らしの中のちょっとした課題を解決するハウツー系記事「くらしのアイディア」と「読み物(系)コンテンツ」だ。

 コンテンツマーケティングは基本的に、生活やTPOに合ったコンテクストを交えながらプロダクトの紹介やプロダクトの有用性を訴求していくものだろう。Lideaにもその側面はある。ただし、単純に商品を購入させるだけが目的ではない。テレビCMやバナー広告などでは訴求しきれない部分を、記事コンテンツを通じて理解を深め、興味を持ってもらおうとしている

 暮らしのアイディアでは、たとえば「上手なシミの落とし方」の記事を掲載。「しょうゆ シミ 除去」などのキーワードで検索すると出現するようSEOを整備している。

 また、読み物コンテンツにおいては、たとえばボディソープブランド「hadakara」の洗い上がりの手触りはどういう仕組みで成り立っているのか、という商品の詳細に言及。触覚のなぞに迫ったら清潔さや美しさの本質が見えてくるという内容など、ブランドの訴求だけでなく読み物としてのおもしろさ、興味深さを追求しているという。

 hadakaraのような商品の切り口以外にも、「人はどういう視点から面倒くさいと感じるのか。何をすればその面倒くさい気持ちは消えるのか」といった、生活の中で知的好奇心をくすぐるような内容を意識的に発信。脳トレの川島教授など著名人とタイアップインタビューをするなど、話題性やシーズナリティ、トレンドを捉えて、読者を楽しませる読み物を提供するよう、心がけているという。

友だち登録数750万人超!LINE公式アカウントで流入を底上げ

 「オウンドメディアを生活者とコンテクストでつながる場として考えると、様々な流入の仕方がある」という比留間氏。現在、ライオンが注力しているのは、日本の生活者が最も接触しているプラットフォームの1つであろう「LINE」で、様々なアクションを行い、流入を集める仕組みだ。

 「Lidea」のLINE公式アカウントの「友だち」登録数は750万人を突破。なお、友だち登録者には、全員一律に同じ内容をコミュニケーションするわけではなく、カスタマイズした訴求を行っている

 この公式アカウントの中では、Lideaの記事を探すことも可能。記事を検索する場合はLINEからLideaに遷移する流れだが、Lideaを閲覧していて役立つと思った記事はお気に入り登録することができ、LINE上で友だちであれば、そのお気に入りの記事をLINE公式アカウントのほうから呼び出す機能も備えた

 「普段の生活の中で、わざわざライオンのLideaに来訪してくれるなら嬉しいですが、それは難しいと思う」と比留間氏。だからこそ登録者の多いLINEというプラットフォームの中で、サイトに来訪しなくてもLideaにクイックに接触してもらえるのはありがたいという。当然、そこからも顧客データの取得を可能にしている。

 「“サブLidea”というと少し大げさですが、そのような立ち位置でLINE公式アカウントを最大活用しています」(比留間氏)

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/36190

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