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大手企業×スタートアップの特長を活かす、ハイブリットなD2Cカンパニーに聞く生存戦略


D2C市場が活況の今、スタートアップや大手など様々な企業がD2Cに参入している。その中でnatural techは2018年に設立以降、販売している妊活サプリのリピート率93%達成、顧客満足度4.68点/5点、売上伸長率ランキングカテゴリーNo.1を獲得するなど着実に成長し続けている。DeNA、P&Gでのマーケティング職を経て同社を立ち上げた竹内氏は、いわゆる大手企業とスタートアップの長所を掛けわせることでシナジーを生みだしているという。具体的な取り組みや、企業規模に合わせたD2Cの戦い方について聞いた。

消費者に選ばれるブランドに欠かせない2つの要素

MZ:はじめに竹内さんのご経歴とnatural tech創立に至った経緯を教えてください。

竹内:新卒でDeNAに入社してデジタルマーケティングに従事し、その後、P&Gでパンパース、SKⅡのブランドマーケティングを担当しました。

 P&Gではブランドマネジメント制度がとられており、マーケティングとは経営であると定義されています。営業や広報など各ファンクションの協力を仰ぎながら売上を伸ばしていくことがミッションでした。

natural tech株式会社代表 竹内太郎氏

 パンパースを担当していた時、妊婦さんとお会いすることが多く、「高齢出産・不妊治療」というワードが増えているわりに彼女たちの抱く課題に寄り添っているサービス・プロダクトは少ないことを知りました。

 もともと家庭環境の影響で自分でビジネスを立ち上げることに興味を持っていたこともあり、「P&Gで学んだ商品開発技法やインサイト理解をD2Cに持ち込めば、消費者にとって意味のあるものが作れるのではないか」と考えました。

 そこでP&G在籍中に副業としてnatural techの事業に着手しました。弊社の最初の商品である妊活に特化した葉酸サプリ「mitas(ミタス)」を発売し、ヒットにつながったのでD2Cスタートアップとして独立した次第です。

MZ:なぜ、D2C市場に参入したのでしょうか。

竹内:「いわゆる大手メーカーの商品開発技法でD2Cをはじめたらどうなるか」という考えが根底にありました。DeNAでデジタルマーケティングを学び、P&Gで商品開発や消費者調査などマスマーケティングを学んだ強みがあります。両手法をかけ合わせれば勝機があるのではないかと考えました。

 私が事業を立ち上げたのは2年ほど前ですが、当時のD2C業界は現在ほど注目されていませんでした。企業がかけるウェイトも商品開発よりは、デジタル広告といったマーケティングのノウハウを駆使して販売することに置かれることが多い印象でした。

 いわゆる広告屋が広告の力で物を売っていた。そこに、消費者インサイトをきちんと見つけ商品化する力と、商品の魅力をデジタルで伝えるスキルのかけ合わせによって、選んでいただけるメーカーになれると確信していました。

MZ:消費者に選ばれる商品を作るために、何を考えたのでしょうか?

竹内:D2Cに限らず、BtoC事業全般に言えることですが、2つあると考えています。1つは、消費者インサイトを理解することです。

 メーカーにとって絶対的で最も重要なことが、消費者をきちんと理解して抱える課題・不便を解決する商品の提供だと思っています。D2Cの領域ではデジタルマーケティングのノウハウを持つ企業が伸びる傾向はあります。ただ、本当に売れている会社は、顧客が抱えている悩みや求めているものを理解し、解決策を提示できています。

 弊社の場合はP&Gマーケティング出身者が複数在籍し、消費者インサイトの掘り起こしと、それに紐づく便益の策定を得意としています。

 2つ目はブランドの世界観ですね。他にはないと思える世界観を作り出さないと、競合の中に埋もれてしまい気付いてすらもらえません。ですから、市場分析がとても重要です。競業各社の強みをきちんと把握した上で、独自の世界観を創出するとともに、自社の優位性をどのようにコミュニケーションしていくべきかを絶えず考えています。

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2021/06/28 22:36 https://markezine.jp/article/detail/36498

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