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顧客への正しい情報発信とリレーション強化の両立へ メニコンが語るポイントサービスの迷わない立ち上げ方

 創業70年を迎えるコンタクトレンズ総合メーカーのメニコンが、2020年12月に新しいサービスを立ち上げた。コンタクトレンズユーザー向けWebサイト「Club Menicon(クラブメニコン)」と、同時に始まったポイントサービス「MENICOiN(メニコイン)」だ。その目的は、デジタルチャネルを通じた、顧客リレーションの強化だという。メニコン デジタル販売戦略部 部長の平田浩二氏と、メニコンのポイントサービスの実現をサポートしたジー・プラン プラットフォームビジネス部長の田中裕章氏に、ポイントサービス開始の狙いとその実現の道筋を聞いた。

メニコンが満を持して始めたポイントサービス「MENICOiN」

――2020年12月に、Webサービス「Club Menicon」と共に新しくポイントサービス「MENICOiN」を立ち上げられましたが、どのようなサービスなのでしょうか。

平田:これまで当社は、定額制のコンタクト利用サービス「メルスプラン」のユーザーの方、あるいは当社の販売店を通じてお客様への情報発信を続けてきましたが、顧客チャネルが多様化するなか、コミュニケーションのあり方を考え直す必要がありました

メニコン デジタル販売戦略部 部長 平田浩二氏
メニコン デジタル販売戦略部 部長 平田浩二氏

平田:Club Meniconは、メールアドレスがあれば誰でも登録可能で、コンタクトレンズに関する動画などのコンテンツを閲覧できます。またメルスプランのユーザーは、登録情報の確認・変更やケア用品の宅配サービスなどの申し込みが可能で、新サービスWEB注文システム「ClickMiru(クリックミル)」の入り口ともなっております。こうしたサービスを提供するサイトの下支えになっているのがMENICOiNになります。

 MENICOiNは、Club Meniconに登録したユーザーに対して提供するポイントサービスです。獲得したMENICOiNは、Club Meniconを通じ、ケア用品、メニコン公式キャラクター「メル助」グッズのほか、 WAONポイントやnanacoポイント、ANAのマイルなどに交換できます

平田:これまでもメルスプランが1つの接点となっていましたが、今回のClub MeniconやMENICOiNは、「顧客コミュニケーションの接点と長期的な関係をどのように築き、安心・安全で快適なコンタクトの利用につなげていくか」という問題意識から出発しました。

メーカーとして伝えるべきこと、新規/既存顧客への訴求を両立

――顧客コミュニケーションの課題からポイントサービスに行き着いた経緯と、今回のサービスが生まれた背景について教えてください。

平田:コンタクトレンズといえば、眼科医の診断を受け、目の状態を診てもらいながら継続して使っていくものでした。しかし近年は雑費化、つまり「とにかく見えればいい」という考えが広く浸透するようになっています。

 メーカーとしては、やはり目の健康への責任があり、「売って終わり」ではなく「正しく使って、快適に過ごせる」ということを重要視しているのですが、そこで課題になるのが「お客様とどうやって接点を持ち、どのようにコミュニケーションを取っていくか」という点です。

 これに加え、社内的にもいくつか課題がありました。

 1つは、顧客データを追いきれていなかった点です。定額制サービスのメルスプランは現在130万人の会員を持ち、顧客データをきちんと整備しているのですが、退会したユーザーとはその時点でつながりが途切れてしまっていたのです。一度会員になった方は、メルスプランを退会されてもメニコン商品を使っていただける機会が多いと思い、引き続き顧客データを活用して履歴を追いながらコミュニケーションを取れる仕組みが必要だと考えていました。

 また逆に、コンタクトデビューをする前のユーザーの方にも、当社の文化事業などを通じて関係性を構築し、メニコンのファンになっていただける仕組みを作りたいという想いもありました。当社では顧客とのつながりのフックとして、様々なキャンペーンも開催していたのですが、そこでお客様のデータを取得しても、キャンペーンが終わったらそれっきりになっていたなど、せっかくのお客様の情報を有効活用できていなかったのです。

 もう1つは、直営店に来られるお客様で、必ずしもメニコン商品を購入されない方でも、「メニコンに来たお客様」ということで将来のファンベースを作りたいと考えていました。こうした点で、メルスプランとは違うもっと大きな軸を作りたいというニーズが元々あったんです。

ユーザーメリットを担保する「ポイント交換」

――なぜポイントプログラムをコミュニケーションの起点として考えたのでしょうか?

平田:「ポイントを持つ人=ユーザー」を1つのIDで管理することで、長期的なリレーションシップ構築の動機にもなり、また1つのIDに様々な情報を紐付けていくことで、長期にわたった情報管理ができると感じました。つまり「1(ワン)IDで様々なサービスを提供したい」というところに、1つの答えを出しました。

 だからポイントサービスといっても、「単純な値引きサービスとは違う」という点にはこだわりました。実際、値引きをすると社内的にはキャッシュアウトになるので、「どこで儲けを出すのか」「ポイント制度を導入したら本当にLTVが上がるのか」など、誰も答えを持っていない部分に関してはかなり苦労して調整しました。

――実行に向けて制度の詳細を詰めるに当たり、課題があったわけですね。

平田:はい、プロジェクトチームが立ち上がったのですが、実行に当たっての課題も多数ありました。「MENICOiNで当社のグッズと交換できる」というだけでは、正直なところユーザーさんに喜ばれるかどうか不安でしたし、他社の有名ポイントとMENICOiNを交換できればユーザーメリットも上がりますが、実際に提携を進めるには、正直どうすればいいのかわからなかったのです。

 そこでまずポイントサービスの市場動向を調査するなか、ジー・プランのことを知り、アポを取らせていただいたのです。

――ジー・プランさんは、「Gポイント」を始めポイントサービスに関わる多様なサービスを展開していますが、今回メニコンさんに対してはどのような支援を行なったのでしょうか。

田中:前提として簡単に当社の事業を紹介させていただくと、ポイント交換サイト「Gポイント」の運営で培ったノウハウを基に、ポイント交換プラットフォーム「ポイント・コンセント」などを提供しています。

ジー・プラン プラットフォームビジネス部長 田中裕章氏
ジー・プラン プラットフォームビジネス部長 田中裕章氏

田中:今回のメニコンさんのケースもそうですが、新たにポイントサービスを立ち上げるに当たり、「共通ポイントへの交換で価値を上げたい」「なるべく早く立ち上げたい」という時には、ポイント交換プランを中心に様々な情報を提供しながら、実現に向けてサポートするほか、その後の運用についても継続的に支援しています。

計画段階から伴走、専門的なノウハウで社内調整をスムーズに

――今回のメニコンさんのポイントサービス開始に当たり、ジー・プランがどのような支援を行なったのか具体的に教えてください。

田中:ポイント・コンセントをご契約いただく前の検討段階からプロジェクトに入って伴走してまいりました。というのも、単に「ポイントをやりたい」といっても、どんな企業がどのような目的で、どのようにプラットフォームを活用して効果を出しているかがわからないと、詳細なプログラムが組むことが難しいからです。

平田:当社の場合でいえば、そもそも「ポイントサービスのためのプラットフォームを開発する」という点に関しても情報不足でした。

 やはりビジネスとして始める以上、会計上で引当金などの問題もあり、永久に失効しないポイントというわけにもいかず、とはいえ「他社ではどれくらいポイントが行使されているのか」という目安になる情報はありませんでした。こうした点について、ジー・プランさんから失効率の例を教えていただいたり、またはターゲット層がどのようなポイント銘柄と交換しているのかといった傾向から有効な交換先を示唆していただいたりと、社内の他部門を説得するために必要な情報を提示いただきました。

提携の開発工数・コストを削減し、迅速なサービスインへ

――実際のサービス設計に必要となる各種の情報やデータを参考値として示唆してもらい、それが社内調整につながったんですね。

田中:そうですね。また、MENICOiNと交換するポイント提携先についての意思決定に関してもサポートさせていただきました。

 「ポイントを交換できるようにする」ということは、メニコンさんと他ポイント事業者との間で共通ポイント事業契約を交わすことになります。共通ポイントをプロモーションに使う場合、各事業者で規定があるのですが、各事業者と個別に契約する場合、そのレギュレーションチェックにかなり工数がかかるんです。

 当社では共通ポイントの再販契約を提供しており、仲介と共にレギュレーションのチェックを支援し、短期でのサービスインに貢献しています。こうすることで、メニコンさんとClub Meniconの会員の皆様に対して、安定的にそのポイントサービスを提供できるようになります。

――ポイント交換プラットフォームの「ポイント・コンセント」にはどのようなメリットを感じましたか?

平田:振り返ってみると、メニコン側で入口を1つ作れば、主要なポイントの銘柄と交換できるというのは非常にありがたい仕組みだとしみじみ思います。

田中:プラットフォームを自社でゼロから開発したり、複数社との交渉をせずに済むことで、迅速なサービス開始につながるのは大きなメリットの1つです。過去には、自社でポイント提携を進めてきたものの、コスト・工数の課題から開発フェーズで頓挫し、ポイント・コンセントに乗り換えたケースもありました。プラットフォームを使うことで、コストと工数の大きな負荷なくサービスインできるので、社内決裁も進みやすくなります

新規利用者のほとんどが登録!さらなる利便性強化を目指す

――Club MeniconとMENICOiNを始められて、どのような成果が出ていますか?

平田:まずメルスプランのキャンペーンについて、元々はカード会社のギフトをお送りしていたのですが、今回のサービスインに当たり、MENICOiNを付与するというキャンペーンに切り替えました。これについては、Club Meniconへの登録が必要になり、ユーザーにとってはワンクッション必要なのですが、ほとんどの方に登録いただいています。

 またそのうちの7割の方が、オンラインでのポイント交換を行っています。これまでのギフトでは、キャンペーンに応募してメルスプランを申し込んでから1ヵ月後に郵送する形でしたが、オンラインでポイント交換ができる点に、多くのユーザーが利便性を感じているのではと考えています。

――今後はサービスをどのように活用していくのでしょうか? 展望を教えてください。

平田:現在は試験的にClub Meniconへのログインキャンペーンや、アンケート回答キャンペーンなどを通じてポイントを付与し、コミュニケーションに生かしていけるようテストしている段階です。将来的には、たとえば「エコバッグ持参でポイント付与」や、正しくコンタクトレンズを使っていただく行為に対してポイントを返すといったコミュニケーションに生かせないかと考えています。

田中:ポイントサービスは、傾向としてはクレジットカードや電力・ガスといった業界で活用されるケースが多かったのですが、メニコンさんのようにメーカーからの引き合いも増え、事業の幅が広がりつつあります。また、銀行や保険といった顧客とのコミュニケーションを深めていきたい業界とも相性が良いです。今後もポイントの交換先を拡大し、結果として事業者の先にいるユーザーの方の満足度に貢献できればと思います。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/08/16 10:53 https://markezine.jp/article/detail/36599