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大手IT企業からレガシー業界へ!異業種経験とテクノロジーで切り開く「RENOSY」の未来

 デジタルシフトが進み、あらゆる業界にDXの波が押し寄せている。そんな中、GA technologiesの木原宏樹氏は大手IT企業からレガシー業界にキャリアチェンジしたという。今回は、木原氏に同社の取り組みや自身のキャリアについて伺い、インタビューを通してディレクターの新たな可能性を探っていく。

徹底したオンライン化とデジタル化で不動産業界のDX化を実現する

――現職ではどのような業務やミッションを担っていらっしゃるのでしょうか。

木原:現在は、不動産テック総合サービス「RENOSY(リノシー)」の企画とマーケ部門の責任者として組織をまとめながら「住まい探しと資産運用を、もっとカンタンに。」のサービスミッションを実現すべく事業推進役を担っています。

株式会社GA technologies <br /> Product Planning Division 木原宏樹氏

株式会社GA technologies
Product Planning Division シニアマネージャー 木原 宏樹氏

 2005年に株式会社ライブドアに入社。事業企画組織でアドテクノロジーを軸としたメディアのマネタイズ事業に従事。その後、経営統合を経て2013年LINE株式会社へ入社。LINEの広告商品企画を経験しつつ、企画責任者の立場で運用型広告プラットフォーム「LINE Ads Platform(現在はLINE広告)」事業の立ち上げ、並びにオーディエンスネットワーク事業の拡大を経験。

 2020年にGA technologiesへ入社し、現在はプロダクト、マーケティングを軸にRENOSY事業を推進している。

――もう少し「RENOSY」の具体的なサービス内容を教えてください。直近で注力している取り組みはありますか。

木原:RENOSYは「借りる」「買う」「売る」「貸す」「投資する」といった住まいにまつわる領域を包括したサービスブランドで、リアルとテクノロジー両方の接点をもたせています。たとえば「借りる」で言うと物件を探すためのポータルサイト、問い合わせをいただいた後の接客、ご契約いただいた後のアフターフォローなど一気通貫の体験の中でテクノロジーの側面とリアルの側面を提供しています。

 足元の取り組みで言いますと、我々のチームでは徹底したオンライン化とデジタル化を進めています。不動産投資をご利用いただくお客様には面談の予約から契約手続き、契約後のアフターフォローまであらゆる接点をオンライン化しています。お客様がわざわざ日程を確認し、必要な書類は何だったのか? いつまでにそれが必要なのか? 提出したのか、してないのか。そういった煩わしさやストレスをテクノロジーで解決していきたいと考えています。

木原:また我々が取り組んでいるのは何も不動産投資商材に限りません。実需向けのサービスに対してもお客様がもつ居住用または投資用物件の相場やニーズを把握できる機能の提供などを通じてオンライン化を進めています。

思うようにテクノロジー化が進まない不動産業界ならではの風習

――不動産業界にはどういった課題があるのでしょうか?

木原:不動産業界はいまだに紙、電話、FAXが当たり前なアナログな世界で、お客様もそれを受け入れるしかない状況です。そしてアナログなやり取りが不便だとわかっていてもなかなか改善が進まない。私はその原因の1つに「不動産体験の少なさ」があると考えています。

 私は40年の人生で賃貸、購入、売却、投資など含めて概ね不動産体験は10回ほどですが一般的にはもっと少ないと思います。加えて不動産売買のプロセスはとても複雑です。まず、提出書類がかなり多い。ハウスメーカー、仲介会社、金融機関など登場人物が多く、同じような書類を各方面に何度も送らないといけませんし、不備があれば郵送でやり直しなんてこともあります。

木原:最近自宅を購入した時に驚いたのは「数百万円の手付金を現金で手渡し」したことです(笑)

 一番の問題点はプロセスに疑問があっても、「面倒だけどここを乗りきれば大丈夫」「まいっか」という心理が働いてしまうことです。なので、誰も改善しない。そして数年後に住み替えが発生する時に同じようなことが起きる。この「まいっか」が不動産体験を遅らせる負のサイクルの根源だと思っています。

 我々はこうした課題に真っ向から向き合い、より良いプロダクトとサービスを提供することでこの負のサイクルを断ち切ろうと考えているのです。

異業種×自分の経験=新しい化学反応を起こす

――新たな挑戦の場として、ずっとキャリアを築いてきた広告業界ではなく異業種を選ぶことになったきっかけは何かあったのでしょうか?

木原:理由は2つあります。1つ目はシンプルに広告業界以外の世界も知りたかったからです。残された社会人としての人生を1つの業界で終えるのがもったいないと。

 2つ目は私自身LINEでLINE Ads Platform事業(現在はLINE広告)の立ち上げという大きなイベントを経験して、自分の得意な領域で会社の事業成長の波にうまく乗ることが、いかに自己成長に跳ね返るかを身に染みて知りました。もう一度そういった経験をして経験値を高めたいと言う成長欲求があります。これまでの自分の経験を活かし、相手の会社も自分自身もお互い成長できる場所はないか? 考えている中でいくつかの会社様とお話をし、GA technologiesと出会いました。

――異業種へ飛び込む不安はありませんでしたか?

木原:めちゃくちゃありましたよ。一部の友人には相談していましたが家族にも相談せず一人でいろいろを考えましたからね。けれど大した整理はできず「広告業界も昔はかなりアナログだった、経験もなく飛び込んだけどなんとかやったじゃないか!」とシンプルにいいように考えました(笑)転職することに対して少なくともデメリットはありませんでした。

 広告出稿の金額も昔は数百万円からといった高価格帯でしたし、取り扱える企業も大手で限定的、入稿もメールで、レポートも表示回数とクリック数と単価といった最低限の情報がエクセルにまとめられているだけ。でも、そこにテクノロジーが入り、一気に業界が活性化していった。

 何か物事が便利になる時、生活体験が変わる時ってほとんどと言ってもいいくらいテクノロジーの力が関わっています。交通だとSuicaが生まれて切符が不要になった、音楽視聴の環境もiPhoneの登場で音源の持ち運びが不要になったのがいい例です。生活環境がテクノロジーの導入で大きく変わってきました。だから不動産体験もテクノロジーの導入で変われるはずです。やはり「便利」になることに世の中の流れは逆らえないですよね。

 業界は違えども、アナログな状態からテクノロジーの活用でデジタルに移行する一連の流れを体感してきた経験は、必ず生きるだろうと思いましたし、この経験を活かしながら新しい業界を学べるメリットもあると考えました。「アナログな不動産業界×異業種の自身の経験=新しい化学反応」が起こる。そんな風に自分自身の考えを整理し、チャレンジすることに決めました。

前例のない成功者になりうる可能性

――実際に波に飛び込んでみて、事業の醍醐味はどこにありますか。

木原:広告業界の場合、すでにGoogleやFacebookといった成功者がいて、基本的にはそこに「追いつけ追い越せ」でやっていくことになります。しかし不動産テクノロジーという切り口だとまだ成功者がいるわけではありません。

 不動産業界は業界ルールというものが重く、その中で前例のないことにチャレンジしなければいけないので不安やストレスはあります。けれど不安もストレスもない仕事って多分すごく退屈だと思います。

 私個人の目標ですが「不動産業界のGoogle」を目指したいと思っています。これにチャレンジしていけることが一番の醍醐味だと考えて仕事しています。

点ではなく面でプロジェクトを遂行する

――GA technologies だからこそ経験できたエピソードなどあれば聞かせてください。

木原:不動産体験のタッチポイントをすべて自社でもっているのがユニークなポイントで、リアルな側面もテクノロジーの側面も1つの会社で動かせることです。つまり点ではなく面でプロジェクトを遂行できるのは貴重な経験だと考えています。

 加えてまだ小さい会社なので、1つのプロダクトに対して関わる業務範囲が広くあります。自身の経験値が薄い業務に関しても遂行するため、困難にぶつかることは多々あるでしょうが、業務縦割りの環境より経験値は積める環境だと感じましたね。

 それと個人的には、ユニークな人たちと出会えたことが1つの財産になっています。広告業界にいたら絶対に会えなかった人に沢山お会いして日々刺激をいただいています。

木原:GA technologies に入社して数日後の出来事なのですが、社内のコミュニケーションツールとして使っているSlackに社長の樋口が「ゴミ箱がいっぱいだぞ!」と注意していたのが、僕の中でかなり衝撃だったんですよね。それに対してメンバーが「すぐ対応します!」と即レスしていました(笑)

 それの何が? と思うかもしれませんが、社長が執務エリアのゴミ箱までチェックするってことは、細部にまで目が配られている会社です。会社のビジョンやミッション、業績も重要ですが、「人としてちゃんとする」というところが好きですね。

2023年に向けての土台を作る

――最後に、組織や事業の今後の展望についてお話しください。

木原:2023年に向けての計画があるため、来年中旬にかけてはオンライン化、デジタル化の土台をしっかり作っていきます。我々が考えるミッション、ビジョンへ向けて大きく羽ばたくために今はしっかり環境を整えなければいけません。その上で2022年の半ばくらいからはより顧客体験にわかりやすくヒットする仕掛けを作っていきます。

 採用の観点で言うと私が求めているのは、自身の経験をこのアナログな不動産業界にどう当てはめたらおもしろいことができそうか? 感動が生まれそうか? こういったことを考えて実行してくれる人。不動産に関する知識というよりかはユニークな考え方をもつ人を重視していますので、ぜひ一緒に挑戦していけたら嬉しいです。

 先ほども言いましたが利便性の波には逆らえません。非常に難しい業界ですが、利便性をとことん追求してプロダクトやサービスで顧客体験を変え、結果的に不動産業界を変えていこうという野心をおもちの方、ぜひお待ちしています。

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RENOSY オフィス写真

「テクノロジー × イノベーションで、人々に感動を。」を経営理念に、現在は不動産領域を中心に事業展開。GA technologiesは不動産業界の課題に対して、テクノロジーを軸に業界のDX化を推進しています。
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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/29 11:30 https://markezine.jp/article/detail/36884