SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

WebサイトのコンバージョンとKPI/KGIを再考せよ

Webサイトに訪れた2つの変化とは?コンバージョン改善のプロセスをアップデートせよ

 昨今のコロナ禍に伴い、オンラインの顧客体験を改善するための考え方とプロセスにも変化が起きています。本連載では、『いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本』(インプレス)の著者である深田氏が、コンバージョン改善のプロセスの基本をおさらいしつつ、今後の未来においても重要となる視点を提供していきます。第1回では、「ユーザー層の変化」と「オンラインコミュニケーションの変化」という2つの変化に注目し、「1人ひとりと継続的な関係を築くことの重要性が増している」ということを紹介します。

加速するユーザー層の拡大

 ここ数年で変わったこととは、一体何でしょうか? もちろん新型コロナウイルスの影響も無視はできません。しかし筆者は、新型コロナウイルスは変化を加速させてはいるものの、本質的な変化は別のところにあると考えています。それは「ユーザー層の拡大」です。

高齢者層のインターネット利用が加速/前提の再考が必要に

 例えば、2020年7月に三井住友カードが公開したレポートでは、高齢者層によるネット利用が増えていることが見て取れます。これは新型コロナウイルスがなければ起こらなかったことではなく「本来はもっと時間がかかるはずだった変化が、この1年間で一気に進んだ」と見るのが妥当でしょう。

出典:三井住友カード株式会社「コロナ影響下の消費行動レポート~高年齢層のECサイト活用加速と変化する巣ごもり消費~」
出典:三井住友カード株式会社「コロナ影響下の消費行動レポート~高年齢層のECサイト活用加速と変化する巣ごもり消費~」

 ユーザー層が広がると、オンライン上の体験設計を一律で済ませることは難しくなります。弊社が取り組んだ施策でもその変化を表す事例がありますので、ご紹介しましょう。

ハンバーガーメニューに案内を付けたらCVRが25%向上した例
ハンバーガーメニューに案内を付けたらCVRが25%向上した例

 上の図は、通称「ハンバーガーメニュー」と呼ばれる三本線のアイコンに吹き出し型のポップアップを表示して「クリックすると商品一覧が開く」ことを伝えています。読者の皆さんは「そんなことはわかってるよ!」と感じることでしょう。

 ただ「ハンバーガーメニューを一度もクリックしたことがないユーザー」を対象にこのポップアップを表示する・しないのABテストを実施したところ、表示したグループは表示しなかったグループと比較してCVRが25%向上しました(CVは購入)。

 この結果はお客さまにも驚かれたのですが、ユーザーの幅が広がることで、これまでは体験改善の仮説立案の段階で考慮されていなかったような前提もあらためて見直す必要がある、ということを象徴する例といえます。マーケターの皆さんにとって当たり前のことが当たり前ではないユーザーにとって、不案内な体験のままでは問題を自己解決できず、結果Webサイトを離脱してしまうのです。

受動的な体験に慣れている若年層/体験設計のカギは「手間を省く」こと

 一方で「デジタルネイティブ」と呼ばれる若い世代も、従来マーケターが当たり前としていたような行動を取らないことが多々あります。

 私的な例で恐縮ですが、筆者には小学校高学年の娘が2人います。3歳くらいからスマートフォンに触れているのですが、彼女たちにとっての「ネットサーフィン」とは、YouTubeやTikTokがレコメンドしてくるコンテンツを受動的に選択するという行為にほぼ集約されてしまっています。

 こうしたユーザーは、問題を自己解決しようと思えばできるのですが、面倒を嫌うため主体的に「探す」という行動は取りません。Webサイト内できちんと説明されていても、手間がかかりそうだったり、ぱっと見で理解ができなかったりすると、嫌になって離脱してしまいます。

 こうしたユーザーに対しては「目的のものを探す手間をいかに省けるか」という体験設計を意識する必要があります。

ユーザーに合わせた最適な体験を複数想定/パーソナライズをより広義に捉える

 ユーザー層が変われば、当然仮説の立て方や検証の方法も変わってきます。ここでは極端な例を挙げましたが、Webサイトを訪れるユーザーの多様性が高まるにつれ、1つの仮説だけで検証を進めても、まったく当てはまらないユーザー層が出てきてしまうということがどんどん起こりやすくなっていきます。

 今後は、性質の違うユーザー層を複数想定し、それぞれに応じた最適な体験が何かを考えた上で仮説と検証のサイクルを回していくことが大事になります。広く言えば「パーソナライズ」と呼ばれる取り組みに相当しますが、パーソナライズをより広義に捉えることが重要です。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
オンラインコミュニケーションの変化

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
WebサイトのコンバージョンとKPI/KGIを再考せよ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

深田 浩嗣(フカダ コウジ)

15年にわたりモバイル領域でのデジタルマーケティングを提供しECを中心に200社以上のWebサイト立ち上げ・改善を実施。2014年、株式会社Sprocketを設立、Web接客手法でコンバージョンを最適化するツール「Sprocket(スプロケット)」を開発・販売する。短期的なCVRの向上にとどまらず、中長期的...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/08/06 07:00 https://markezine.jp/article/detail/36909

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング