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WebサイトのコンバージョンとKPI/KGIを再考せよ

従来のKPIツリーでは不十分?コンバージョン最適化に必須の「蓄積的な要素」と「衝動的な要素」とは

 WebサイトのコンバージョンとKPI/KGIを再考する本連載。前回は「フリクションレス」という概念について触れました。フリクションとは何かということと、ユーザーがコンテンツを認知してから理解するまでのプロセスを4つに分解した上で、各プロセスにおけるフリクションの発生パターンを説明しました。今回はこの考え方を踏まえ、CRO(コンバージョン最適化)における基本的な考え方である「KPI/KGIツリー」について解説します。なお本稿ではKPI/KGIツリーを、「KPIツリー」と表記します。

KPIツリーとは

 まず「KPIツリーとは何か」ということから説明しましょう。KPIツリーとは、ツリーの頂点に「KGI(Key Goal Indicator)」を設置し、KGIを構成する要素を「KPI(Key Performance Indicator)」に分解していくことでできあがるツリー構造の図を指します。

 たとえばECサイトなら、KGIは売り上げになりますから、次のように分解できます。

ECサイトの場合

売り上げ=訪問UU数×CVR(コンバージョン率)×購入単価

 獲得系サイトの場合は、獲得件数がKGIになります。同様に次のように分解できます。

獲得系サイトの場合

獲得件数=訪問UU数×CVR

 各KPIは、さらに足し算・掛け算の要素で子ツリーに分解していくことができます。たとえば訪問UU数は、新規UUと再訪UUに分けられます。新規と再訪ではユーザーの性質がかなり異なりますので、効果が出るCRO施策もそれぞれに対して検討するべき、と考えていくわけです。

ECサイトの訪問UU数を分解する考え方

訪問UU数=新規UU数+再訪UU数
売り上げ=(新規UU数×新規ユーザーのCVR×新規ユーザーの購入単価)+(再訪UU数×再訪ユーザーのCVR×再訪ユーザーの購入単価)

 KGIを改善するために「自社サイトのKPIがどのような構造になっているか」を知ることは大切です。施策に取り組むときも「どのKPIにフォーカスするべきか」を考える上で、KPIツリーは基本的かつ非常に重要な概念です。

KPIツリーの課題

 KPIツリーはCRO(コンバージョン最適化)を考える上で欠かせませんが、いざ実践しようとすると「分解しやすいKPIと分解しにくいKPI」があることに気が付きます。例に挙げたUU数は、ユーザーセグメントを適用すればいいので分解がしやすいKPIと言えるでしょう。では、CVRはどのように分解すればいいのでしょうか?

 少なくともUU数のように、CVRに対して抜け・漏れ・ダブりなく分解(MECE)を行うことは現実的ではありません。サイト内だけでも、CVRを左右する要素は数え切れないくらいあります。

 また、サイト内の要素だけでなく、ユーザーの心情や心情を左右するサイト外の要素もあります。「昨日友人に勧められたから、この商品が欲しくなった」といった要素はCVRを大きく左右しますが、サイト改善のKPIツリーに織り込んで考えるのは困難です。仮に織り込んだところで、実際の施策を考えるのも難しいでしょう。

 CVRをKPIツリーで分解するならば、サイト内でCVRに影響するわかりやすい要素を取り出して考えるのが現実的なアプローチです。たとえば直帰率や、カート/フォーム離脱率などが相当します。コンバージョンまでの行動のプロセスに着目し、プロセス上の離脱箇所に分解していくのがCVRの分解としては考えやすいでしょう。

 しかしながら、CVRを構成する要素のうち、直帰率や離脱率がどのくらいのインパクトがあるのかを知るすべはありません。できる範囲で優先度付けをして施策化するという意味ではこのような方法も有用ではあるものの、KPIツリーに分解できない要素でも、本来は改善の対象とすべきものが当然あるはずです。

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この記事の著者

深田 浩嗣(フカダ コウジ)

15年にわたりモバイル領域でのデジタルマーケティングを提供しECを中心に200社以上のWebサイト立ち上げ・改善を実施。2014年、株式会社Sprocketを設立、Web接客手法でコンバージョンを最適化するツール「Sprocket(スプロケット)」を開発・販売する。短期的なCVRの向上にとどまらず、中長期的なLTVの向上を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37830

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