動画素材があるのに、動画が制作できない悩み
※感染対策を行い取材・撮影を実施しました。
──オークローンマーケティングが、デジタルメディアでの動画広告を強化しようと考えた背景と、これまでの動画活用について教えてください。
陸浦:私たち、ショップジャパンを運営するオークローンマーケティングは、テレビ通販のダイレクトマーケティングで成長を続けてきた会社です。しかし現在は、様々なデジタルメディアが登場し、5Gの提供エリア拡大も進むなど「動画を見ること」が当たり前の環境となっています。このような変化を受けて、私たちもあらためて動画に注力したいと考えたのです。
陸浦:これまでは、テレビ通販用に制作した動画クリエイティブを編集し直し、自社のFacebookページ内や広告などで配信してきました。しかし、テレビ通販に特化した動画クリエイティブですから、Web用の再編集が難しいのが正直なところです。どうにか短尺の動画にまとめても、十分に商品メッセージを訴求しきれていない課題がありました。
──Web動画はサイズも様々なものがあるので、その分だけクリエイティブを用意しなくてはなりませんよね。
陸浦:はい。しかし社内のリソースも限られていましたし、制作会社に依頼するコストも考えると、なかなか思うように動画の制作ができていませんでした。
クリエイティブを高速で検証・改善できる「リチカ クラウドスタジオ」
──ADK MSの小山さん、正木さんにうかがいます。オークローンマーケティングが抱えるような動画制作の悩みは、多いのでしょうか。
小山:Web動画の効果最大化には、大量のクリエイティブでPDCAをスピーディーに回すことが重要です。しかし、必要なクリエイティブ制作にリソースやコストをかけられないと悩むクライアントさんは、一定数いらっしゃると思います。
そこで今回私たちからは、オークローンマーケティングさんにリチカ クラウドスタジオの活用をご提案いたしました。
正木:リチカは、簡単に動画制作ができる点が特徴です。用意された多彩な動画フォーマットに沿って制作するため、制作会社へ外注するよりもスピーディーかつコストが抑えられます。オークローンさんに限らず、「クオリティの高い動画を大量に予算内で制作したい」クライアントの課題解決に適しています。
──ADK MSからリチカ活用の提案を受けて、いかがでしたか。
陸浦:とてもいいなと感じた反面、「私たちだけでリチカを使いこなせるか?」の心配はありました。しかし、ADK MSさんがディレクションのサポートに入っていただけることで、知見の共有やPDCAを回すノウハウが得られるところにも期待し、導入を決めました。
リチカなら、「AIBAC」のフレームで動画を最適に設計できる
──広告制作の具体的なプロセスを教えてください。
柴山:月1でADK MSさんと定例ミーティングを行い、私たちのマーケティングプランに合わせて、動画を制作する商材や訴求から、配信メディアや制作サイズまで決めています。商材は、主力商材のトゥルースリーパーを中心に、季節商品も盛り込むなど柔軟性を持たせています。そして、弊社から動画の構成案をお出しして、ADKMSの正木さんに制作いただきます。
──構成案は、どのように考えていますか。
柴山:リチカさんが推奨するAIBAC(アイバック)のフレームワークに沿って制作しています。AIBACは、Attention(注意喚起)、Interest(興味関心)、Benefit(利益)、Action(行動喚起)が、1本の動画ですべて完結する構成のフレームワークです。これを参考に構成案を作り、社内のブランドチームに、商品の訴求カラーやメインコピーの確認を取っています。
──動画制作に関するプロセス、ノウハウが体系化されていますね。
柴山:また、テレビ通販とは異なる、デジタル上での効果的な訴求を探るため、訴求テストも行っています。テストでは、複数の訴求メッセージを用意しておき、訴求テキストだけを変える動画バナーのフォーマットを活用しています。こうすることで、訴求別の反響がわかります。
柴山:動画の配信後には、数字の進捗を確認し、効果が高い動画は継続、改善が必要な動画は訴求メッセージを変える、リサイズするなどして、次の月に配信しています。
動画によるROASは静止画の1.5倍にまで改善
──動画広告の成果について教えてください。
小山:メインで動画PDCAを回しているFacebookにおいて、オークローンマーケティングさんの主要3商材(トゥルースリーパーシリーズのマットレスと枕、電気圧力鍋のクッキングプロ)の動画広告のROASが、静止画キャンペーンを逆転しました。直近は動画のROASが、静止画の約1.5倍にまで改善しています。
陸浦:ダイレクトマーケティングの会社として、「動画はコンバージョンにつながる」とわかったことが、大きな成果となりました。動画は情報量が多い分、サイズや尺など変数も増え、どうしても部分的な評価に偏りがちです。しかし、リチカを活用すると一度に大量のクリエイティブを制作してスピーディーにPDCAを回せるので、定量的な評価の実現につながるのだと思いました。
──たくさんのクリエイティブを制作されましたが、クオリティへの感想はいかがでしたか?
陸浦:クオリティは非常に高いと感じています。デバイスごとに見やすいですし、アイキャッチとして文字なども動き、社内からも「表現の幅が広がった」という声が増えました。以前は社内から動画制作の依頼があっても、リソースの関係で断らざるを得なかったのですが、今では積極的に「動画をやりましょう」と言えるようになり、私たちの部署もできることが増えています。
正木:ありがとうございます。これまでのオークローンマーケティングさんの施策をベースに、元々多くのPDCAを回していた静止画クリエイティブのナレッジを活かした動画を制作しています。また、リチカにはリサイズ機能があるので、リサイズしたときにクリエイティブの印象が変化しないように意識しています。
そして訴求テストのPDCAをしっかり回せるように、制作の段階から訴求コピーを目立たせる事も、重視しています。
小山:陸浦さんがおっしゃる通り、動画は静止画に比べて尺の長さやサイズ展開など変数が多いです。そのため、リチカ導入当初は配信可能な全サイズの動画クリエイティブを作っていましたが、これまでの配信結果を見て、現在は効果の高いサイズだけに制作を限定するなど、変数を減らしていくように意識して進めています。
動画と静止画を、継続して検証改善する「運用型クリエイティブ」が重要に
──リチカを活用した「運用型クリエイティブ」を振り返り、気づいたことや今後に活かしたい点を教えてください。
陸浦:動画は情報量が多い分、アッパーファネルのお客様にもコンバージョンに近い態度変容を起こせるのではないかと思います。一方で、ファネルが深いローワーファネルのお客様には、静止画でも十分に訴求できるとも考えられます。私たちの最終ゴールはROASの改善ですから、成果の最大化を目指し、静止画も動画も両方実施する必要があると考えています。
小山:そうですね。動画のPDCAを回せるようになり、「クリエイティブの選択肢が広がった」と捉えています。特にオークローンマーケティングさんは商材のバリエーションが豊富ですので、静止画と動画それぞれにマッチする商材でクリエイティブを出し分けて全体の成果を高めていきたいですね。
また、元々動画広告は、ブランディング目的が多い傾向にあったと思いますが、今回のオークローンマーケティングさんの実例で、動画でコンバージョンまで達成できるとわかり、大きな発見でした。動画には様々なマーケティング課題、目的に対応できるという手応えがあります。
正木:あらためて、リチカの動画フォーマットには認知から獲得までの要素が詰まっていて、ダイレクトマーケティングにも効果的だと実感しました。ゼロからクリエイティブを考えるよりずっとスピーディーに制作可能なため、制作だけに時間をかけるのではなく、動画の改善に集中できますね。
あらゆるニーズに合わせ動画の表現を開拓
──今後の展望をお聞かせください。
陸浦:大きく2つあります。1つは、動画活用のPDCAとナレッジの蓄積の精度を上げていくことです。ADK MSさんとリチカさんと一緒に、柔軟にクリエイティブを制作できる体制が整いましたので、定性的な知見を定量データ化出来るように実績を重ねていきたいです。
もう1つは、AIナレーション機能など、リチカの機能を使いこなすことです。今後もクオリティの高い動画施策を続けていきたいです。
柴山:動画は変数が多く、ナレッジの残し方の切り口も多様です。これまでの訴求テストをしっかり振り返り、新しい動画の制作に活かしたいですね。
正木:リチカには、様々な目的のフォーマットがあります。今はROASの改善をゴールに数字を追っていますが、例えば認知向上が目的に変わっても、フォーマットを変えることで対応できます。これからも、いろいろなニーズに対して、効率よくクリエイティブを制作していきたいです。
小山:動画クリエイティブの制作はフォントの見せ方をはじめ、構成案の作成などロジカルな視点が大事ですが、加えて、定量データから仮説を立てて、そのデータが持つ意味と背景を想像することも必要だと考えています。ロジカルな視点と、柔軟な発想の両方を大切にしながら、新しい動画クリエイティブをご提案していきたいです。