社内異動で、大企業から「スタートアップ」へ
――Commerce Cloudチーム(以下、CCチーム)立ち上げの背景、そしてチームが掲げているミッションを教えてください。
向山 Salesforceでは、EC大手のデマンドウェアを買収した翌年の2017年からSalesforceにおける日本のコマース事業を開始し、CCチームが立ち上がりました。組織としては今年で5年めで、私は3年めを終えるころに参画し現在に至ります。当時はメンバー間や私が以前いたCRMのアカウント営業部門などとの連携が少なく、チームとしての課題感を持って取り組まなければいけない印象でした。CRMのアカウント営業を7年間経験したのちにCCチームに参画した私は、他部署とのシナジーを生み出していくことを期待されていたのだと思います。
異動後に私が掲げたミッションは「とにかく新しい案件を創出する」こと。マネジメントのあり方も再考し、CCチームがどのように飛躍できるかを模索することを心に決めました。少しずつ蒔いていった種が徐々に出るようになり、前年比で150%の成果が出ています。
SalesforceにおけるCCチームの立ち位置という観点では、当社がBtoC領域も含めた「真のCRMの会社」になれるよう、顧客接点の最前線であるE-Commerce事業を形にすることが大きなミッションです。とはいえ、E-Commerceは会社にとって素地のない領域でした。アライアンス、パートナー開拓、マーケティング、採用など、営業以外の活動もすべて自分たちも介入し手掛けなければならない難しさは今も感じ続けています。
CCチームに入って当事者になるまで気がつけなかった大きな課題のひとつに「圧倒的に市場でサービスの認知がなかった」点が挙げられます。そのため、お客様やメディアの認知を向上するべく、全社的に掲げる「トレイルブレイザー」「エコシステム」「トラステッドアドバイザー」の戦略を踏襲しながら、日々さまざまな施策を打っています。EC業界の特徴として、一概にECと言えど、業界、商材によって売り方も買い方も多様な点が挙げられます。ゆえに、業界ごとに戦略策定をプランし、各メンバーにイニシアチブをとって自発的に進めてもらうような形で業務を推進しています。
これまでのキャリアとまったく異なるCCチームへの参画は私にとっても新たな挑戦でしたが、社内のネットワークを活かしつつ、スタートアップのような経験をできるチャレンジングな環境を大いに楽しんでいます。
「こうやったら売れる」がわからないから面白い
――異動前に抱いていた印象と異動後で、CCチームへの印象に違いはありましたか?
向山 率直に言うと、参画前は「会社のメインストリームではない組織」という印象を抱いていました。もちろん、実際に組織の中に入ってからの2年間で、かつて抱いていたイメージに変化が生じています。チームの1人ひとりが成果を挙げられるようになっていることに加え、それ以上に、コロナ禍以降の社会と消費者の購買行動の変化を身を持って実感しています。コロナ禍の影響でECが生活に溶け込み、あらゆる企業にとってECに着手することが「あたりまえ」になりました。CRMの営業チームからも「顧客からECをやりたいと要望をいただいた」と相談を受けるなど、社内での存在感も高まっておりキャッチアップするべき領域になってきていると感じます。
――存在感が高まってきているものの、まだまだ世間的には「Salesforceと言えばCRM」というイメージが根強い中で、あえてECに取り組む醍醐味を教えてください。
向山 自分らしいスタイルを持ち続けながらも、チャレンジングな事業を自分たちの手でつくり上げられる「手応え」を感じられる点でしょうか。当社のCRMはおかげさまで、すでに広く認知されており、市場としても成熟しています。例えるなら「この入口から向こう側までトンネルを掘る」というひとつのゴールを皆で目指すのがCRM営業だとすると、CCチームの仕事は「この山のどこかにトンネルを掘ってください」と、入口も出口も定まっていない状態であり、上下裏表さまざまな角度から掘ってみる必要があります。CCチームで仕事をする醍醐味は、「こうすれば売れる」がわからないこと。「自分で開拓する面白さ」こそがCCチームならではの魅力ではないかと思います。
ほかにも、Salesforceの中でもグローバルの大型案件に携わるチャンスが多い点も、CCチームならではの魅力のひとつです。プロダクトやGTM(Go To Market)など、戦略に関わる多くの情報を本社であるアメリカから収集する必要があるため、私自身も海外とのオンライン会議は1日に数回開催、出席する事も少なくありません。
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