LINEヤフーは2026年4月20日、AIエージェントの新ブランド「Agent i(エージェント アイ)」の提供を開始した。「Yahoo! JAPAN」の「AIアシスタント」と「LINE」の「LINE AI」を統合したもので、両サービスからワンタップでアクセスできるWebサービスとして展開する。
日常をサポートする「領域エージェント」と今後の機能拡張
「Agent i」は、ユーザーが日常的な相談を入力すると、100を超えるLINEヤフーの各サービスと連携したジャンル特化型の領域エージェントが情報を整理し、選択肢を提案する仕組みだ。
現在は、商品選びをサポートする「お買い物」、観光・おでかけのプランを作成できる「おでかけ」、「Yahoo!天気」と連動した「天気」など7種類の領域エージェント(自動車・人間関係・仕事関係・レシピはβ版)が利用可能となっている。2026年上期中には対応領域を20以上に拡充する予定としている。
クリックすると拡大します
「お買い物」は、好みの商品や目的別のセットを提案する。その際、Yahoo!ショッピングのみならず楽天やAmazonなど他のECサービスの商品も、中立的に商品は提案される。画像入力で類似の商品を提案してくれるなどのアップデートが6月頃までに予定されている。2026年7〜9月には、ユーザーの近隣店舗における食品・日用品の最安値をリサーチする機能の追加も予定している。
さらに、ユーザーの利用状況や設定を基に回答を最適化するメモリ機能や、複雑なタスクを代行する機能を6月頃に実装する予定だ。これによりメモリを保持した状態で、AIエージェントが複数のタスクを代行することが可能になる。
利用シーンとして、「航空券の最安値の情報が更新されたら予約する」「希望条件に合う賃貸物件が見つかったら速報で教えてもらう」「旅行に必要なものをお買い物メモに登録し、ポイント還元などで一番お買い得なタイミングでお知らせしてもらう」が例示された。なお決済に関する意思決定は、ユーザーが行う設計方針としている。
パーソナライズ接客を実現する「LINE OA AIモード」
ビジネスサイドには、2つのプロダクトを展開する。1つ目は、LINE公式アカウントに搭載するAIモード「LINE OA AIモード」だ。顧客情報との連携によりパーソナライズされた接客を提供し、24時間365日対応可能な予約・購買・サポート体制を実現する。
同サービスは、現在20社以上のパートナー企業が検討を進めており、2026年夏頃より順次提供を予定している。最終的にはAPIと管理画面の両軸でエンタープライズからスモールビジネスまで対応できる汎用的な形を目指しており、年内から年度内を目途に発表予定だ。料金プランは未定。
業務代行エージェント「Agent i Biz」
2つ目は法人向けAIエージェント「Agent i Biz」で、集客分析から、クリエイティブ作成、広告運用設定、レポーティングまでの一連の業務をエージェントが代行する。
たとえば「ECサイトへの流入はあるが購入に至らない」といった課題をエージェントに相談すると、分析から集客プランの提案、広告設定までを自動で実行。「毎日17時にレポートを出してほしい」「週1回サマリを出してほしい」といった定期タスクの設定も可能だ。
PCだけでなく、LINEアプリのチャット上でもAgent i Bizを操作できる設計だ。基本無料で、2026年8月頃より順次提供を予定している。
独自取材:「Agent i」がもたらすマーケティングへの影響
MarkeZine編集部では、LINEヤフー株式会社 上級執行役員 コーポレートビジネスドメインCPOの二木 祥平氏に対し、「Agent i」がもたらす企業・ブランドのマーケティングへの影響について独自取材を行った。
まず、AIO(AI Optimization)について。「Agent i」が、ユーザーに対して商品やサービスの推奨を行う上では、LINEヤフーの社内データを参照する方針だ。そのため、GoogleやOpenAIのAIでは拾いきれない、LINE公式アカウントで発信されるリアルタイム性が高い公式情報(例:店舗メニューやクーポン情報など)を取得できる点が、LINEヤフーならではの強みとなる。つまり、企業・ブランドはLINE公式アカウントの情報を整備、発信しておくことが、「Agent i」に正しく引用・推奨されやすくなる条件になりうるという。
エージェント型広告については、AIとの対話を通じて商品・サービスを推奨する形式のモデルを現在検証中だと説明した。公式アカウントへの誘導を起点に、そこからのコンバージョンやコンテンツへの引用量に連動したトランザクションモデルなど、複数の収益化の方向性を視野に入れているが、具体的な提供時期についてはまだ明らかにできる段階にないとした。
「LINE OA AIモード」の実装に関しては、既に開発に取り組む企業では、ブランドの世界観や言葉遣い・NGワードの言語化、公式キャラクターの有無など、ブランドガイドラインの整備の重要性に焦点が当たっているという。同サービスの利用用途は、24時間の接客対応といった販促用途に限らず、ブランドキャラクターを使ったミニゲームといったエンゲージメント施策なども想定されると説明した。
二木氏は、「これまでの一問一答型のチャットボットとは異なり、ブランドの世界観を体験として届けられるAI接客が実現できるフェーズにきています」と見解を示した。
【関連記事】
・LINEヤフー、LINE広告とYahoo!広告のディスプレイ広告を統合 新プラットフォームを提供開始
・LINEヤフー、飲食店・ヘアサロン特化のサービスを26年6月に開始 予約・会計・CRMを一元化
・LINEヤフー、Yahoo!広告のディスプレイ広告においてインストリーム広告を全広告主に提供開始
・LINEヤフー、AIエージェント実装の「Connect One構想」と新機能群を発表
