ノン/ライトユーザーにフォーカスする「ダブルジョパティの法則」とは
ダブルジョパティの法則は、「市場浸透率(購買人数)が低いブランドは、購買頻度(購買個数)も低くなる」という説を唱えるもの。この法則に則ると、ノン/ライトユーザーにこそ資源を投入すべき、ということになる。だがこれは、「2割のロイヤルカスタマーによって8割の利益が創出されている」というパレートの法則に基づき、CRMに重点を置くマーケティングの考え方とは異なる。
髙口氏らは、おやつカンパニーを代表するスナック菓子「ベビースター」で、ダブルジョパティの法則を用いたプロモーションを実施した。その際、参考にした考え方があと2つある。1つは、フィリップ・コトラーの消費財の分類とヘンリー・アサエルの購買類型4象限からなる「カテゴリ特性」。もう1つは、「エボークド・セット」だ。
ノン・ライトユーザーの取り込みが有効な理由
コトラーの『マーケティング原理(ダイヤモンド社)』で解説されている「消費財の分類」の考え方では、スナック菓子は「購買頻度は高く計画性は少ない」などの特徴を持つ「最寄り品」に分類される。続いてアサエルの購買類型4象限では、最寄り品は「バラエティシーキング型(多様なブランドから選んで購買するもの)」と「慣性型(いつものクセ・習慣が購買に影響するもの)」に分かれる。スナック菓子は“浮気”しやすいため、関心・関与の程度が低く、ブランド間の知覚差異は高い「バラエティシーキング型」に該当する。
「事前にブランド指定の固定があり、そこから購入する商品を決定するという行動は非常に少ない。つまり、ノン/ライトユーザーが水槽の中にたくさんいるような状況にあるのがスナック菓子のカテゴリである」と髙口氏。このことから、ブランドに執着があまりない人をどんどん取り込んでいくダブルジョパティの法則と相性がいいと考えたという。
なお、実際にスナック菓子市場のデータを用いて検証してみると、シェアの順位と併売率の順位が一致しており、「シェア率の高いブランドほど、購買頻度(個数)が高い」ことが確認できた。ここで、「スナック菓子はバラエティシーキング型のため、ノン/ライトユーザーを取り込みやすい」という仮説がまず立てられたわけだ。