様々なデータを掛け合わせ、メディアの価値を伝える材料に
MZ:今回の試みはテスト的な側面もあると思いますが、今後のデータ活用の方針を伺えますか?
小島:今回はABEMAのバーティカルメディアという特性を活かす側面で行動ログを使用しました。一方、ABEMAはオンデマンドの配信だけでなく、番組表に基づいて編成されたリニア配信の運用もしているという特性があり、ジャンルごとの視聴者の人となりだけでなく、配信方法による視聴のされ方にも差があると考えています。例えば人気番組の最新話や、スポーツ中継などライブ配信型の番組に関しては、リアルタイムでいち早く見たいというニーズが高いです。そのため、学校や会社、あるいは外食中での視聴シーンもあるかと思います。行動データを使ってその点も可視化できると、新たな広告出稿の判断材料になる可能性があり、そういった新たな角度での深掘りも進めていきたいですね。
また、今回は足ベースの行動データでした。次は購買や天気といった行動に関わるその他のデータにABEMAの視聴も含めた、より多くのデータを掛け合わせて「習慣」を掴めれば、もっと精度高く「行動の予兆」を捉えた広告配信を実現できるかもしれません。そういった思想に基づいた広告プロダクトについては、今後情報を集めて研究していきたいと感じています。
心地よい未来を、データとつくるための第一歩
MZ:unerryさんは今回の取り組みを通して感じる可能性はいかがですか? 今回は視聴データでしたが、その他のオンラインデータとオフラインデータを掛け合わせる可能性についても伺えればと思います。
星:どのデータを掛け合わせるにしても、多面的に分析することでより深くお客様を理解できると思います。特に、リアル行動データというオフラインのデータを活用することで、人々のリアルな生活UXのアップデートにつながると考えます。
unerryは「心地よい未来を、データとつくる。」というミッションを掲げています。データをデータとしてだけで扱うのではなく、そこに体温を乗せ、顧客を理解する未来です。様々なプレーヤー様と組んで、そういった世界を作っていきたいと考えた時、今回のデータの活用は第一歩になったのではないかと思います。
MZ:では、具体的に今後どうされていきたいといったお考えも伺えますか?
星:小島さんのおっしゃるような広告主への価値を高めるといった観点ですと、ABEMAの配信を通して小売流通や、出稿されるメーカーに対してどのようなビジネスインパクトがあったのかもリアル行動データで可視化できます。さらに踏み込んで仮説ベースで施策を打ち、結果を見るといったことができるかと思います。
また、短期的な視点では消費者体験をアップデートするために、我々の仕組みとABEMAのアプリを掛け合わせることで、アプリ上でのコミュニケーションをよりリッチにしていく、ユーザーに寄り添った体験にしていければと考えています。
より中長期的な観点では、世の中に様々なデータがあることは皆さんがご存知の上で、それでも、まだまだサイロ化・分断されている状況かと思います。消費者とのコミュニケーションも一方通行の状況かと感じます。法令遵守・ユーザーファーストの安心安全なルールの中で、きちんと企業が各生活者を理解して情報を提供できる世界を作っていきたいですね。unerryのデータは個人情報を含まず、オプトアウトも可能なプラットフォームです。同じ志を持つ様々なプラットフォーマーやメディア、プレーヤーと組んで、ユーザーと向き合いながら、圧倒的に心地よい世界を作っていきたいと思います。