MERY Z世代研究所が解説する「Z世代マーケティング」
MARY Z世代研究所の斉田です。MERYでは、ユーザーコミュニティを通し、Z世代と近い関係の中で「Z世代ってこうだよね」とひとくくりに捉えてしまわず、目の前で見て聴いて、肌感覚で探るということを大切にしています。そして、その知見を様々な企業、ブランドのマーケティング活動に活かしています。この連載では、そうした活動を通して見えてきたZ世代の消費行動の根底にある価値観を捉えた上で、有効なマーケティングのアプローチとして「推しマーケティング」を解説したいと思います。
Z世代論といえば、「自分らしさを大切にする」「TVは見ずにSNSファースト」など、俯瞰的・分析的な語られ方はすでに多くなされています。また、「TikTok売れ」「短尺動画のTips」など、個別の地上戦の戦法についてもウェビナーを中心にノウハウが日々披露されています。他方、今回この連載で深掘りするのは、その間にある、企業のマーケティング活動全体で大いに活用できるマーケティング論です。
なんでもアリ!Z世代における「推し」の実態
「推しマーケティング」とは、推しに関するマーケティングという意味ではなく、「推しという根底の価値観を捉えたマーケティング」という意味です。「推し」は、Z世代を中心にオタクやアイドルから始まった言葉ですが、今や「推しカフェ」もあれば「推しレシピ」もあります。さらには、「私の推しはカレシ(彼氏)」とも言うように、領域はなんでもアリになってきています。
個性教育を受け、ダンスなどの自己表現が義務教育としてあった世代。自分らしさを表現できることが大切であり、SNSネイティブなZ世代にとって、自己表現しつつも“自慢にならない”ちょうどいい手段が「推し」なのです。また、初対面でも「推し」を通じて友だちになるなど、共感し合い、繋がるのにもちょうどいいと言われています。
現在、「推し」は個人的な趣味の領域にとどまらず、あらゆる商品・サービス消費に広がっています。Z世代の消費行動や情報行動の根っこにあるものを「推し」と捉え、マーケティングを考えていこうと思います。