Z世代を見る時は「無意識の常識・思い込み」を捨てよう
MERY Z世代研究所の斉田です。これまで第1回では「Z世代マーケティングを考える上での基礎的な考え方」について、第2回では「その考えをもとにしたブランディングアプローチ」についてお話ししてきました。第3回となる今回は、「マーケティングコミュニケーション領域での戦略プランニングの立て方」を、MERYで提供しているワークショップのモジュールを通してご紹介したいと思います。
Z世代を対象としたマーケティングコミュニケーションを設計する上で、もっとも大切なのは「自分が持っている無意識の常識や思い込みに左右されない」ことです。マーケターである読者のみなさんは「そんなこと当たり前だろう」と思うかもしれませんが、その次元が違います。
定量/定性調査でターゲットを客観的に分析し、アウトプット(施策効果)を分析・評価していくというマーケティングの基本においても“客観性”は必ずあるわけですが、Z世代を攻略する時は、自分自身にねっとりしみついている無意識の判断、価値観のようなものから疑うことが必要となります。当然、そこから生まれる戦略プランニングには、現状のマーケティングコミュニケーションとのギャップもあるでしょう。ともなって、そのギャップをきちんとアウトプットしきるスタンスあるいは度胸が企業内にあるのか、も重要です。
要するに、時代の大きな変化に向き合う気概があるか、という話です。
SNS“も”やっている、ではダメ
まどろっこしく書きましたが、結論を言うと、Z世代マーケティングは「SNSファースト」の思考でマーケティングコミュニケーションをシフトチェンジできるか、に尽きます。
今から10年前の2012年、ヤフーの第二創業の「爆速化」の時のテーマが「スマホファースト」でしたが、あの時の感覚に似ています。あの時は、「アクセス解析をすると、スマホアクセスが8割なのに、PCからUI/UXやサイトデザインを始めてしまう悪い癖」をどう変えていくか? という時代の境目でした。この時と同じように、SNSにおいても、変わり切れていない、根っこのクセをしっかり変えるべきタイミングが来ているように思います。
私が本稿で伝えたいのは、「SNS運用“も”やっている」「インフルエンサー施策“も”やっている」というレベルを越えて、SNSを軸に全体が設計されているところまでやり切ろうということです。「重要性はわかっているし、取り組んでいるつもりだけど、やり切れていない」のが現在のフェーズだと解釈し、シフトチェンジを検討するきっかけになればと思っています。