顧客エンゲージメント・ソフトウェアの市場へ本格参入
──はじめにCMグループの概要、チーターデジタルとの合併の背景を教えてください。
CMグループは2017年の設立以降、複数の企業との合併によって、メール、オムニチャネル、パーソナライズ、およびロイヤルティマーケティングにおけるポジションを確立してきました。これまで中堅・中小企業を中心にソリューションを提供してきましたが、チーターデジタルとの合併により、さらに大規模なビジネスを営むお客さまや、より高度なマーケティング戦略にも対応できる準備が整いました。
CMグループ CEO Wellford Dillard氏
ソフトウェア業界で15年以上の経験を持ち、CM グループ以前にも、OPower社(OPWR:Oracleに売却)、GetWellNetwork社(Welsh、Carson、Anderson、Stoweに売却)など6社で最高財務責任者(CFO)を歴任。ソフトウェア業界で経営幹部を務める以前は、経営コンサルティング、投資銀行業務、株式調査などに従事。メリーランド大学MBA取得、メンフィス大学ファイナンス(金融学)学士号取得。
今回の合併を通じ、私たちはメールマーケティングの市場から、グローバルで460億ドル規模と言われる顧客エンゲージメント・ソフトウェアの市場に本格的に参入します。この市場は年間16%の成長を遂げており、今日の環境で非常に重要なファーストパーティデータをゼロから取得できるような製品や、メールマーケティング、SMS、モバイル、プッシュ通知などのマルチチャネルに対応する製品が続々と投入されています。
チーターデジタルの製品群に大規模投資を計画
──グループ化を通じて、エンゲージメント領域の幅広い顧客ニーズに応えることを目指しているのですね。
はい。私たちCMグループには、「すべてのマーケターのためのホームグラウンドを構築する(One home for every marketer)」という明確なビジョンがあります。お客さまのビジネスが成長し、マーケティング課題が変化したときには、CMグループの別のソリューションへと移行することができます。実際にCampaign Monitor(シンプルなメール作成&配信プラットフォーム) からSAILTHRU(クロスチャネル キャンペーン プラットフォーム)へ、SAILTHRUからチーターデジタルへ移行されたお客さまが多数いらっしゃいます(現在日本ではチーターデジタル製品のみを提供)。
また、市場におけるイノベーションのスピードを上げることも意図しています。チーターデジタルはハイエンドで革新的なテクノロジーを開発しており、同社やそのお客さまを通じて、マーケティングの最先端を見ることができます。それは数年後に他のマーケターが行き着く場所でもあるのです。
来年にかけて、チーターデジタルのロイヤルティおよび顧客エンゲージメント製品群に対し非常に大きな投資を行います。チーターデジタルのリーダーシップによって、イノベーションを加速できると確信しています。
ロイヤルティ構築の理想形は企業規模や業界によって異なる
──ここからは、ロイヤルティや顧客エンゲージメントを軸としたマーケティングについてうかがいます。既存顧客との関係構築の重要性はよく知られていますが、御社が理想とするあり方とはどのようなものでしょうか。
ロイヤルティマネジメントの理想形は、企業規模や業界によって大きく異なります。たとえばスモールビジネスにおいては、メーリングリストの作成、SMS送信のための電話番号リストの作成、あるいはInstagramアカウントの取得など、人々に効果的にアプローチするためのリストを構築することに重点が置かれます。
ビジネス規模が拡大していくと、自動化が必要になります。基本的にはオーディエンスのセグメンテーションを自動化することで、さらなる規模の拡大に備えることになります。最終的には、お客さまとのOne to Oneの対話を実現することを目指します。ここまで到達できると、お客さまは、企業とのやり取りをとても素晴らしいものだと感じるようになります。
──御社のビジネスにおける日本市場のポテンシャルについて、米国市場との違いも含めて教えてください。
日本はロイヤルティマネジメント構築の初期段階にある企業が多く、大きなビジネスチャンスがあります。米国と比べると未成熟ですが、日本が後れをとっているとお伝えしたいわけではありません。チーターデジタルはすでにスターバックスやVans、THE NORTH FACEといったグロ-バル企業と取り組みを進めており、そういった企業が日本でロイヤルティを軸とした関係構築を進めています。
米国においても、すべての企業がロイヤルティの成熟期にあるわけではなく、一部の先行企業が大きな成功を収めている状況です。当社が目指しているのは、そうした企業から得た学びを他の地域でも活用できるようにすることです。
One to Oneのメッセージングは危機や不況にも強い
──コロナ禍以降、多くのマーケターにとって不透明なビジネス環境が続いています。
Eメールをはじめとするメッセージングソリューションは投資対効果が高く、厳しい環境においても効果を発揮します。実際にパンデミックの期間中、当社の収益は驚くほど安定し、お客さまの成功事例も多く生まれました。
たとえば、チーターデジタルのロイヤルティソリューションを採用した米国のある大手レストランチェーンでは、パンデミックに突入した頃、一部のお客さまを除き、来店の頻度が減ってしまいました。当時は大規模なテイクアウトやデリバリーサービスもなく、ビジネスは危機に瀕しました。
そこで、このレストランチェーンはチーターデジタルのソリューションを使い、来店の可能性がより高いお客さまを自動的に見つけ、アプローチしていったのです。そのお客さまはすでにレストランに行く可能性が高いため、大きな割引オファーは不要であり、レストラン側は収益を確保できるようになります。
また、店舗で食事をしていなくても、レストランに高いロイヤルティを抱いているお客さまが存在することもわかりました。そのようなお客さまには、テイクアウトやデリバリーサービスをおすすめすることで、関係を維持することができました。
求められているのは、ブランドとのつながりを実感できるコミュニケーション
──最後に、御社が理想とするロイヤルティを軸としたマーケティングの実現に向け、チーターデジタルにどんなことを期待するか、考えをお聞かせください。
チーターデジタルは業界の最先端を行く非常に高度なツール群を提供しています。競合他社と同じような規模の企業と取引をしていますが、競合他社の多くができないユニークな方法で、ロイヤルティマネジメントを次のレベルに引き上げています。
かつてのマーケティングは、顧客を獲得し、その顧客に対してより多くの製品を販売するためのものでした。しかし、今顧客側が求めているのは、ブランドや企業との深いつながりを感じられるコミュニケーションであり、マーケティングもその方向に変わっていく必要があります。
ロイヤルティソリューションをマーケティングの基盤に追加することで、それを実現するための適切な環境を構築できます。最終的にはインサイトを深化させることも可能になります。
チーターデジタルには、この業界で長い歴史を持つ大規模なチームがあり、日本に拠点を持っていることの意義も大きいと考えます。ビジネスチャンスがグローバルに存在しているとしても、市場と対話をする最善の方法は場所ごとに異なります。
私は長い間ソフトウェア業界で働いてきましたが、市場への理解が不足しているために多くのビジネスが失敗するのを見てきました。日本のチームを通じ市場と適切に対話することで、新しい展開が可能になると確信しています。
ロイヤルティプログラムの歴史は、シンプルなポイントから始まりました。使用金額に応じてポイントを付与するものだったわけですが、本当のロイヤルティとは何かというと、やはりOne to Oneの個人的なやり取りを実現することではないでしょうか。そのやり方は一つではありません。当社の戦略チームとリソースを通じて、お客さまの包括的なロイヤルティプログラムを軌道に乗せ、長期的な成長を後押ししていきます。
【受講無料】業界を代表する皆様と体系的なカリキュラムを発信
チーターデジタルが運営するマーケター向け学習プログラム「Marketing DX Academy」を公開中!
押さえておきたい5つの重要テーマについて、1コマ約30分の講義動画、eBookなどを用意しています。
(コンテンツの一例)
・現代版 ロイヤルティ プログラムの設計図(西井敏恭氏 登壇)
・Z世代のインサイトを徹底解説(原田曜平氏 登壇)
・7ヵ国5,404名が対象!消費者トレンド調査(eBook)