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第106号(2024年10月号)
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MarkeZine Day 2022 Autumn(AD)

年間約1.1万人集客・満足度97%!シャノンが語る、ウェビナー改善ノウハウ5選

 認知拡大やリード獲得の手法として、ウェビナー運営が当たり前になりつつある。コロナ禍を経てより多くの企業がウェビナー開催に取り組みはじめたことで、運営スキルは高まってきたものの、どうやって集客を増やすか、商談化に結びつけるかといった課題も残っている。2022年9月7日・8日開催の「MarkeZine Day 2022 Autumn」に登壇したシャノンは、ウェビナー運営の支援ツールを提供しつつ、自社でのウェビナー開催を通して効果的なウェビナーのノウハウを蓄積してきた。同社マーケティング部の村尾慶尚氏と藤井里名氏が「細かすぎて伝わらないウェビナー改善選手権【やってよかった厳選ノウハウ5選】」と題してその秘訣を解説した。

満足度97%!シャノンのウェビナー運営に学ぶ

 シャノンは平均週2回のペースでウェビナーを開催し、自社ウェビナーの数は年間75本にのぼる。集客数は1年間で約1.1万人。満足度もかなり高いという。

 「満足度は97.9%という数字が出ています。さらに、満足度に関連して興味深い傾向も出ています。弊社はメルマガの配信も行っているのですが、一度でもウェビナーにご参加いただいた方の配信停止率は非常に少ない傾向があるんです」(藤井)

 藤井氏は一度ウェビナーに参加し、その内容に満足できたからこそ、メルマガなどの情報提供も継続して受け取ってもらえるのではないかと考察した。

 村尾氏は「かなりの高頻度でウェビナーを開催し、多くの集客ができていて、満足度の点でも上手くいっているシャノンから、『厳選ノウハウ5選』をお届けします」と本題に入った。

株式会社シャノン マーケティング部 部長 村尾 慶尚氏(写真左)、同 マーケティング部 藤井 里名氏(写真右)

学びコンテンツと製品紹介は、1つのウェビナーにまとめない

 最初のノウハウはウェビナー集客のための手法だ。まず紹介したのが「製品ウェビナーと関心ウェビナーを分ける」というもの。

 藤井氏は、よくあるウェビナーの形態として「一つのウェビナーの中で、前半でノウハウを話し後半で製品紹介をする、内容が一緒になっているパターン」を挙げた。これを一つのウェビナーに両方含めるのではなく、ノウハウを「関心ウェビナー」で、製品紹介は「製品ウェビナー」で行うという手法を推奨するという。

 事例として、シャノンが最近開催している「製品ウェビナー」と「関心ウェビナー」それぞれのタイトルを紹介。

 製品ウェビナーでは「マーケティングオートメーション活用実践セミナー」「MAご紹介デモウェビナー」と題して、デモを交えながら製品を紹介するウェビナーを実施。一方、関心ウェビナーでは「BtoBマーケティング活動計画の立て方」「マーケティングの用語解説」といった内容で開催している。

 関心ウェビナーの内容に関して藤井氏は、「弊社のマーケティングオートメーションをご使用いただくのはマーケターの方々。SEOやマーケティング活動計画といったMA以外の様々な領域にも興味を持っていらっしゃいます。ターゲットの興味に合わせて内容を構成するのが関心ウェビナーです」と説明した。

 ここで村尾氏が「関心ウェビナーでは製品の紹介をまったくしていない。そこまで思い切って分けたら、集客も変わるのでは」と提起。シャノンでの実績をもとに、製品ウェビナーと関心ウェビナーでどれほど集客数が変わるのか紹介した。

 シャノンが開催する製品ウェビナーの集客数の平均は、各回約15~30名。一方関心ウェビナーの集客は約150~200名だ。大きく差があるが、関心ウェビナーから製品ウェビナーへの引き上げも可能だと藤井氏。

当日の投影資料より(以下、同)

 「集客がたくさんできる関心ウェビナーほど、もちろん引き上がる数も多くなります。製品ウェビナーの商談化率は高いので、集客力の強い関心ウェビナーから製品ウェビナーに引き上げると、商談数の増加につながります。ぜひウェビナーを二つに分けて、ウェビナー全体がうまくいく仕組みを作っていただければ」(藤井氏)

3種類のメールを使い分け、集客率を高める

 さらに、集客のためのノウハウとして「3種類のメールを使い分けて集客する」という手法も紹介された。

 一つ目はいわゆる「メルマガ」。接点を持っている全員を対象に送るメールで、多くの企業が活用しているだろう。二つ目が、「単独メール」と呼ばれるセグメントメール。メールの中身は集客したいウェビナー絞り込んだものになっているうえ、配信対象も全員ではなく、1年以内にWebにアクセスのあった人のみに絞り込んでいるという。

 三つめが、「直前再案内メール」集客期間内にそのウェビナーのランディングページに着地したが、申し込みに至らなかった人を対象に、ウェビナーの前日に配信するのだ。この3種類が、ウェビナー集客で活用すべきメール配信方法だという。

 藤井氏は、単独メールのメール文面の書き分けについても言及。単独メールはなんと「ランディングページに書かれている内容をそのままコピーして使っていただくのがよい」と言う。メールはタイトルが重要なイメージがあるが、「タイトルもウェビナーと同じでよいのか」という村尾氏の疑問に対して藤井氏は「ウェビナーと同じで大丈夫です。弊社でA/Bテストした結果、ウェビナーのタイトルをそのまま単独メールのタイトルに使っていただくと、比較的平均して良い数字が出るということがわかっています」と強調した。

 また、メール3種は送り過ぎで配信停止につながるおそれがあるのではと懸念する方もいるだろう。しかしその心配は不要だと、藤井氏はシャノンの実績数値を紹介した。

 「下図は3種類のメールで、それぞれどんな数字が出ているのかをざっくりまとめた表です。メルマガの配信停止率は大体0.15%、2本目の単独メールは鬱陶しいと思われて停止率が上がるかと思いきや、0.05%と下がるんですよね。さらに、直前再案内は3本目にもかかわらずほぼ配信停止されません」(藤井)

 セグメントを分け、興味のあるターゲットにメールを送れば、配信停止率をきちんと押さえたまま情報を届けられるわけだ。

 また、表の左側の集客比率に注目するとメルマガは45%、単独メールが50%、直前再案内が5%となっている。藤井氏は「ウェビナー集客でメルマガしか配信していない方は、ぜひ単独や直前も送っていただくと、まだ55%集客を増やせる可能性があります」と推奨した。

アンケートの設問項目は次に活かせるものにする

 二つ目に紹介されたノウハウは「事後アンケートで役に立った内容を聞く」というもの。

 シャノンはウェビナーの事後アンケートで、「今日の内容のどの部分が良かった」を毎回聞いているという。ウェビナー全体の満足度を「非常に満足」「満足」といった段階で評価する項目とは別に、「どの内容がよかったか」を尋ねることが重要だと藤井氏。今回のウェビナーで言えば、大体以下の粒度でどの内容が役にたったのか、アンケート項目を分けるという(下図)。

 「ウェビナーの満足度を上げるために、内容を改善していこうとしたときに、何の材料もないと『ここを改善すればいいんじゃないか』というざっくりした仮説になってしまいます。これぐらいの粒度まで細かく聞いていくと、何のコンテンツが最もお客様に刺さったのかデータがたまっていくので、『ここの良かった内容のボリュームを増やしたらいいんじゃないか』と、データに基づいた改善ができます」(藤井)

 実際にシャノンで事後アンケートを集計した結果を、ウェビナー内容に活かしているという。たとえば「具体的な数字を提示しながら解説した部分の得票が多いという傾向が見えてきたので、本日のセッションにも活かしている」と藤井氏は語った。

製品ウェビナーへの引き上げの鍵は「見逃し配信」

 続いて3つ目のノウハウは、「製品ウェビナーへ引き上げる」

 そのための手法として、まず「見逃し配信で視聴者を増やす」ことを紹介した。これは「TVerのようなものをイメージしていただきたい」と藤井氏。ウェビナーのライブ配信から1週間、いつでも好きなタイミングで見ることができる仕組みである。

 ではこの見逃し配信がなぜ製品ウェビナーへの引き上げに役立つのか。これは「視聴」を増やすことが重要だからだ。

 というのも、シャノンの関心ウェビナーからその上の製品ウェビナーや商談フェーズに引き上がった人のうち、79.6%が視聴済みであることがわかっている。さらに、見逃し配信の視聴割合は、シャノンの実績ではかなり高い。申込者数230名のウェビナーではライブ視聴者数が120名、見逃し配信視聴者数が72名だったという。

 もう一つ、フェーズを引き上げるには「誘導のタイミング」も重要だ。視聴直後が最もフェーズが引き上がる可能性が高いので、そのタイミングでポップアップやメール配信で誘導することがおすすめだ。

 「ポップアップは、アンケートの完了画面に出して、そこから製品ウェビナーにも申し込みできるようにしておくとよいです。クリック率が約7%あります」(藤井)

 メールも同様に、ウェビナーの終了直後、当日中に送るのがよい。そこでは「可能であれば製品セミナーの講師名を含めた形で配信していただきたい」と藤井氏。製品ウェビナー後はフォローもあるが、一人が一貫してフォローまで担当すると応答率が上がるため、印象付けるのがおすすめだという。

ウェビナーは二次利用し、リード獲得につなげる

 4つ目のノウハウは「ウェビナーの二次利用」。苦労して作成したウェビナーのコンテンツを、1回の開催で使い捨ててしまうのはもったいない。そこで、ウェビナーを軸にホワイトペーパーを作成することで二次利用することを推奨した。

 ハードルの高そうなホワイトペーパー作成だが、以下の3ステップで簡単に作成できるという。

 作成したホワイトペーパーは、ウェブサイトや運用広告に展開し、リード獲得に役立てられる。シャノンの実績値としては、Google広告のCPA単価が8,851円、メール配信誘導からの獲得率(CVR)は29.7%。商談化率は約10%といった成果が上がっていると紹介された。

運営の効率化のためにタスクを書き出す

 最後に紹介されたのは「運営の効率化」のための「ウェビナー立ち上げ時にタスクをまとめる」というノウハウだ。ウェビナーの開催にあたっては、事前、当日、事後と多様なタスクが発生する。

 「それぞれのタイミングでやっていると本当に大変なので、ポイントをまとめておくとよい」と藤井氏。そのまとめ方の一つとして、シャノンが提供するウェビナー管理できるシステムを紹介した。これを使えば、雑多なタスクのほとんどを「コピー」という機能一つで完了させることができるという。

 「システム上に雛形のキャンペーンを作り、ウェビナーにまつわるあらゆるタスクをセットしておくことができます。たとえばウェビナー申込受付のための、ランディングページや申し込みフォームの設定。リマインドメールやサンクスメール、見逃し配信の画面の設定もあらかじめまとめて設定できます。一度その雛形を作っておけば、コピーして微調整することでほとんどのタスクが完了します」(藤井)

 ウェビナー開催前から開催後に都度作業が必要だったタスクが、ほぼフォーム立ち上げ時に完了する。

 シャノンのツールを今すぐ使えないという人に向けて、藤井氏は「効率化のためにはまずはタスクを洗い出していただくことが鍵。タスクを洗い出したうえで、まとめられるタスクは何か、整理していただくのがおすすめです」と提案した。

 シャノンは自社のシステムを活用することで、たった2名の体制でウェビナーを運営し、本セッションで紹介したような実績を上げてきた。

 最後に藤井氏は、「タスクの洗い出しをはじめ、ウェビナー運用においてはシャノンのような効率化できるシステムがあると大変便利だと自負しています。ノウハウの部分から情報提供できればと思いますので、タイミングがあればぜひシャノンにお声がけください」と呼びかけ、セッションを締めた。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/10/07 10:00 https://markezine.jp/article/detail/40102