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新規率が2倍!広告をポジティブに届けられる「Pinterestアド」活用のヒント

 毎月4億人以上のユーザーが新たなアイデアや自分も「やってみたい」ことの発見に活用するビジュアル探索プラットフォーム、Pinterest。2022年6月より日本でも広告事業を開始しており、SNSとは一線を画した特徴を持っているプラットフォームだという。本記事では、そんなPinterestの特徴と広告メニューであるPinterestアドの強みを、Pinterest Japan ビジネスマーケティング シニアリード 石井恵子氏に聞いた。

「ソーシャルよりパーソナル」なプラットフォーム、Pinterestの特徴とは?

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、Pinterestとはどういったプラットフォームなのでしょうか。特徴やSNSとの違いについてご教示ください。

石井:Pinterestは、暮らしをさらに豊かにするインスピレーションや生活を彩るアイデアを、画像や動画で発見・保存・整理できるビジュアル探索ツールです。他人の投稿、あるいは「いいね」や「シェア数」など他者の評価ではなく、主観的な視点でこれから実現したいアイデアを探すために活用されます。

 特徴として、情報を見つけるよりも行動につながるインスピレーションに出会うことを目的とした「ソーシャルよりパーソナル」なプラットフォームである点が挙げられます。独自の機械学習でユーザーの好みを学びパーソナライズされたコンテンツを提案する仕組みによって、「これまで気づかなかったけれど、やってみたい」「理想の生活を実現したい」といったアイデアにつながります。

MZ:Pinterestユーザーの特徴や利用傾向・利用シーンはどんなものが挙げられるのでしょうか?

石井:現在、Pinterestは世界中で毎月4億人以上のユーザーが利用しています。そのうち日本では、毎月870万人が利用しています(「Nielsen Netview モバイル訪問者」より)。年齢性別を問わず幅広いユーザーを抱えていますが、特に日本ではZ世代とミレニアル世代がユーザー層として急成長しています。

 日本で人気があるカテゴリーとしては、ファッション・ビューティー・インテリア・フードが挙げられます。たとえば、夕食のレシピから服のコーディネートといった「日常の身近なアイデア」から、旅行先や家のリフォームといったライフイベント・人生設計など「これから行動に移したいこと」のインスピレーションを得る場として活用されています。

2023年のトレンド予測は「選択肢や自己表現の多様化」

MZ:日本のPinterestユーザーにおける近年の傾向を教えてください。

石井:私たちは毎年ユーザーの検索動向に基づいた翌年のトレンドを予測するレポート「Pinterest Predicts」を発表しています。発表したトレンド予測は過去3年間で平均して約8割の的中率を誇り、さらにPinterestのトレンドは他のインターネット上のトレンドより20%長く続くことがわかっています。

 2022年12月7日に発表した最新の「Pinterest Predicts 2023」では、個の確立や自己表現が多様化している傾向が見られました。たとえばフード&ドリンクのカテゴリーでは、「モクテル」などノンアルコールドリンクの検索が上昇。消費者の意識が変わり、飲める・飲めないの2択ではなく好みや気分で個人として楽しむ選択肢が増えています。

石井:ファッションでは、スウェットなどリラックスした服で過ごした2年を経て、人々の意識は「肌見せ」へシフト。Z世代とミレニアル世代がジェンダーを問わずこのトレンドを牽引しており、「メンズ用フリルシャツ」「シアーパンツ」などの検索が増えています。「スリップドレス」「チューブトップ」「カーゴパンツ」「バンスクリップ」など、ミレニアル世代にとっては懐かしのアイテムも、Z世代には新しいトレンドとなっています。

 住まいにおいてもヴィンテージをインテリアに取り入れるなど、家や部屋のパーソナライズニーズはコロナ以降加速し、若い世代の自己表現の場になっています。

石井:同レポートは企業がブランドの訴求対象層に関連するトレンドを発見し、潜在顧客とより早い段階で出会うために活用できます。最近の例では、化粧品ブランドの「Estée Lauder」が新しい商品とPinterest Predictsが示すトレンドの「素肌ミニマリズム」を組み合わせて、サステナブル美容を打ち出したプロモーションを実施しています。結果、業界ベンチマークに比べて25%低いCPMを達成しています(2021年の米国Estée Lauder内部分析データより)。

潜在顧客にリーチできる「Pinterestアド」とは

MZ:Pinterestは2022年6月より日本でも広告事業を開始しました。この「Pinterestアド」について教えてください。

石井:Pinterestの強みとして、意欲的なユーザーが多いため購入などのアクションにつながりやすい点や、ユーザーの好みを機械学習していく点、似た画像を認識するコンピュータービジョンによって適切な広告を表示できる精度の高さが挙げられます。新しいアイデアに挑戦することに前向きなユーザーが多いため、企業にとっては潜在顧客に効果的にリーチしてエンゲージメントを築き、販売促進につなげる機会として活用できることがメリットです。

 広告メニューは主に「画像ピン」という静止画タイプのもの、複数の画像を含めた「コレクション」機能、ショッピングアド、ビデオフォーマットがあります。Pinterest ではショッピング広告のソリューションにも力を入れており、中でも「Pinterestカタログ」というデータフィードを利用した「ショッピングアド」と最近導入された「アイデアアド(クリエイターとのタイアップコンテンツを広告配信できるフォーマット)」は特徴的な広告です。

没入型の全画面表示でより実行性の高いアイデアを伝える「アイデアアド」
没入型の全画面表示でより実行性の高いアイデアを伝える「アイデアアド」

石井:広告主は、カタログフィード機能を使って簡単に商品カタログ全体を、Pinterestのプロダクトピンに変換することができます。プロダクトピンには、商品画像や価格、在庫状況が表示され、Pinterest上で簡単、そしてクイックにショッピング広告を配信することが可能となります。

なぜPinterestユーザーは、広告にポジティブなのか?

MZ:Pinterestアドは、ユーザーにどのように捉えられているのでしょうか。

石井:購入意欲の高い意思決定前のユーザーは、Pinterest上の広告を検討に役立つアイデアの一つとして捉えています。SNSなどインターネットで友人と交流する場合や、ニュースを読みたい場合には広告が不要だと思うユーザーも多い中、Pinterest ユーザーは「商品購入前のアイデア探し」という目的で利用している傾向が高いです。そのため、商品やサービスについての広告もポジティブに捉えます。

 実際に、購入前にインスピレーションを得るためにPinterestを利用したことがある日本のユーザーは89%にのぼります。さらに「普段オンライン広告をクリックする」と回答したユーザーは45%で、これは他プラットフォームと比較して1.4倍となります(2021年ビデオリサーチ社 ACR/ex調査より)。

MZ:なるほど。ユーザーの利用目的が大きく影響しているのですね。

石井:Pinterestの検索上位の97%は、アイデアを検索する際に特定のブランド名や商品名を入力していません。そのため大手企業も中小企業やD2Cブランドも、Pinterestでは平等に潜在オーディエンスにリーチでき、新しい顧客と接点を作ることが可能です。

 このように、企業は購入意欲の高い消費者に対してフルファネルにアプローチできます。現在、小売りや消費財をはじめとした様々な規模の企業がブランド認知やコンバージョン向上の目的で、Pinterestアドを活用しています。

 さらに私たちは、コンテンツの安全性に関しても力を入れておりポジティブな環境を守るためのポリシーを展開しています。

MZ:具体的にどのようなポリシーやシステムを設けているのでしょうか。

石井:2020年にはコロナに関する誤った情報を排除し、2021年にダイエット広告をいち早く禁止するなど広告のポリシーを厳しく制限しました。2022年9月にはJICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)が定める第三者検証の認証基準に基づき、広告会社(広告購入者)事業領域のブランドセーフティ分野において「JICDAQ認証」を取得するなど、ユーザーの皆様が安心して利用できるような取り組みを継続的に行っています。

【事例紹介】「ELLE SHOP」のPinterestアドキャンペーン

MZ:Pinterestアドの具体的な活用事例としては、どんなものがあるのでしょうか。

石井:雑誌「ELLE(エル)」の公式オンラインショップ「ELLE SHOP」では、2022年9月30日から11月13日にかけて、Pinterest上でショッピングアドとCVキャンペーンを並行して配信しました。

 ショッピングアドでは、ECサイトを運営する企業が商品画像・商品名・価格・在庫情報といったカタログデータとのフィード連携で、簡単にプロダクトピンを自動生成し広告としてそのまま配信することが可能です。ユーザーにとっても気になった商品の価格や在庫情報が一目でわかり、そのままECサイトに飛ぶこともできるので、スムーズな購買体験を提供できます。

ショッピングアドのイメージ
ショッピングアドのイメージ
カルーセルを使ったCVキャンペーンのイメージ
カルーセルを使ったCVキャンペーンのイメージ

石井:ELLE SHOPの場合は、新規顧客様へのリーチおよび購買への貢献、ROAS向上を目的としての取り組みでした。Pinterestのユーザーは情報感度・ファッションへの興味関心が高く、ELLE SHOPとの相性が良いと考えられることから、配信に至りました。

 本キャンペーンではアクトアライク(類似行動オーディエンス広告)、リターゲティング、インタレストターゲティングなど複数のターゲティングを組み合わせて配信。複数のアドクリエイティブのA/Bテストも回しながら、効果の悪いクリエイティブは停止し新たに追加することで、より最適化がかかりやすい状況を作りました。

新規率は2倍! フルファネルのカスタマージャーニーに有効

MZ:今回の施策によって、どのような結果が得られたのでしょうか。

石井:まず、新規購買率の高さが挙げられ、獲得したCVのうち新規の割合が、他プラットフォームの広告と比較して高い結果となりました。またCTRが相対的に高く、なおかつ Pinterest から流入したユーザーは滞在時間も長くなりました。

 実際にELLE SHOPからPinterestアドならではの成果として、「これまでリーチできていなかった層がいることを数字で実感できました。他の広告プラットフォームでも成果は出ていますが、Pinterestは特に新規率が高いので、今後も目的に合わせて使用していきたいです。また、埋もれてしまっていた雑貨への反応が良かった点など、Pinterestならではの新しい気づきもありました」との声もいただいています。

MZ:最後に、今後の展望について教えてください。

石井:新しいアイデアに挑戦することに前向きなユーザーが多いPinterestは、企業にとって潜在顧客に効果的にリーチし、エンゲージメントを築き、販売促進につなげる場として役立てていただけます。またフルファネルのカスタマージャーニーのターゲットが可能ですから、認知獲得だけでなく売り上げを生み出す場所としても有効です。

 特にファッション・フード・ホーム・ビューティーはトップカテゴリーの一つであり、今後これらの分野のブランドにおいて新規顧客や既存顧客へのさらなるマーケティング活動にPinterestの活用が期待できます。私たちは今後も、出会いから購入までをフルファネルで体験できるポジティブなプラットフォームを目指し、様々なアップデートを行いながら事業を拡大していきたいです。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/17 17:38 https://markezine.jp/article/detail/40787