求められる「リアルさ」 今後のBondee動向を予測
――BondeeだけでなくSNS「BeReal」などでもそうですが、一定の「クローズドさ」が若者の間で大切になってきているのでしょうか。
全員ではないと思いますが、私もそうですし、若者間にはインスタ疲れがあると思っています。Instagramはきらきらしている反面、「おしゃれな空間で楽しそうにご飯を食べる様子がアップされているのに私は家でひとり」など、無意識のうちに他人と自分を比べてしまいがちなんですよね。虚構の世界になってきているとも感じます。
そのなかで、Instagramとは逆に、完全に内に向いているSNSがBondeeです。加工なしで今行っていることの写真を撮ることができるなど、BondeeにもBeRealと同じような機能があります。「仕事中」「残業中」などのステータスを更新する合間に、今自分が何をしているかを写真で投稿すると、自分の日記としても使うことができます。大切なのは、そこに嘘がないこと。
50人というクローズドななかでリアルを発信できるのは、いちZ世代としても「こういうアプリを求めていた!」と私にも刺さりました。
――日本でも話題になり始めたばかりではありますが、Bondeeはこれからどうなっていくと思いますか?浸透していくのでしょうか。
それぞれの国で、すでにコミュニケーションツールとしてインフラ化しているアプリはあるため、全員がそこからBondeeに乗り換えることはないのではないでしょうか。それに、リアルとSNSのギャップを限りなく少なくしていこうとしているプロダクトだと私は感じているため、グローバルでみても、Z世代以下の小中高生などこれからの世代に広まっていくかもしれません。また○○Payのようフィンテックの要素が入るなど機能が拡張されていけばさらにおもしろそうだなと思いますし、アイテムのプレゼント交換などができれば、経済圏もできるかもしれないですね。
昨年Web3が広まりましたが、私が仕事で関わっている中国市場では、政治的な背景もふくめ仮想通貨などの規制も厳しいのが現状です。ただ、Web3に含まれるか含まれないか、中間ポジションのメタバースだけはとても強い領域。2022年中国市場はだいぶ冷え込んだものの、資金調達が非常に多かった領域がメタバースでした。それらの背景をふまえると、今回中華圏からBondeeのようなアプリが登場したことも、ひとつの大きなトレンドだと感じています。
これから登場するSNSのなかにも、Bondeeのようにリアルとのギャップを埋めていくものもあるでしょう。BeRealはそれを写真として行おうとしていますし、世界中の大学生の間で爆発的に広まったのも、リアルさを若者が求めていることの表れだったと思います。今後Bondeeのようなリアル×メタバースなど、リアルと何かをかけ合わせたプロダクトは、もっと増えていくかもしれないですね。私もその動向に注目していきたいです。
――池田さん、ありがとうございました!