SNSはもはやインフラ化。屋外広告・DMなどに注目
──ソーシャル広告は2021年と比べて変化はありましたか。
森永:伸び率は2021年ほど高くなく、成長が落ち着いてきている印象です。ソーシャル広告の中でも動画共有系のプラットフォームの広告が活況です。SNS系に関してはすでにたくさんの方が使っていて、なくてはならないインフラとなっていますので、今後も堅調に推移していくものだと思います。
──その他、気になるトピックスはありましたか。
北原:人流が回復してきましたので、交通・レジャー、外食関連、エネルギー・素材・機械、ファッション・アクセサリーなどの広告費が前年より増加しています。
広告媒体ですと、屋外広告のデジタルサイネージが非常に活況です。渋谷の駅に7面あるデジタルサイネージや3D映像が話題ですが、駅にあるサイネージなど各所で設置数を増やしています。
あとはDM広告ですね。広告費はそこまで増えていないのですが、クオリティーが上がってきたという意味で注目しています。コロナ禍で見直された手法の一つで、Eメールでプロモーションを行うより開封率が高いとも言われています。使われるクライアントは限られ、コストもメールを送るよりもかさみますが、データを組み合わせて送信内容を最適化したり、デジタル施策を組み合わせたりすることができるため、見直されてきています。
メディアを大きな枠組みで捉え、見直す機会に
──「2022年 日本の広告費」の結果を、マーケターはどう活用すべきでしょうか。
北原:1947年から始まっている「日本の広告費」は広告費のトレンドがわかるわけですが、ある意味メディアのトレンドでもあるわけです。メディアの盛衰や現在のメディアのパワーを、広告費という形で見ながら施策を見直していっていただきたいです。

北原:もう一つはインターネット広告のほうがやはり効果が見いだしやすく、ROIで見れば「どれだけつぎ込めば、どのくらい売れそうだ」と数値で判断しやすいです。一方でデータだと伝わりにくい部分や心理的な理解度が変わってくる部分もあります。
そもそも人々はデジタルだけで生きているわけではないですし、特にブランド育成などは長期的な記憶に基づくものですから、そういう面では旧来のメディアの良さもしっかりあるのが事実です。新聞の広告がSNSで話題になることもありますから。
だからこそ「日本の広告費」などで広告メディア全体を定期的に見ていただき、今までの手法とどのように組み合わせていくのか。デジタルとマス問わずメディアの長所・短所・特徴をそれぞれ確認し、立体的に組み合わせ、最適化させていくかを見直す手だてとして活用いただきたいと思います。
