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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Day 2023 Autumn(AD)

総視聴数は24万人越え⁉セブン&アイグループ×ドワンゴが進めた、カルチャードリブンマーケティングとは

 企業が生活者と接点を持つ方法が、コモディティー化してきている。こうした状況を打破するためには、どのようなことを行えばいいのだろうか。MarkeZine Day 2023 Autumnでは、ドワンゴが手掛ける、カルチャーを活用し生活者と接点を持つ方法について、セブン&アイ・クリエイトリンクの成功事例をもとに解説した。

MUB3,300万人以上を超える「ニコニコ動画」

 ドワンゴは、動画・生放送投稿サイト「ニコニコ」を中心としたWebプラットフォームを運営している。ニコニコ動画は現在、MUB(Monthly Unique Browsers)は3,300万人以上、再生数は月間4億回を超える国内最大級のUGCプラットフォームだ。総務省の統計データと照らし合わせると、10~20代の3.5人に1人がニコニコのサービスを利用している計算となる。

 会員属性は男性が約7割、女性が約3割で構成され、サブカルチャー(以下、サブカル)好きが集まっているのが大きな特徴だ。年代では、20~30代がボリュームゾーンだ。

 ほかにも、「ニコニコ超会議」「池袋ハロウィンコスプレフェス」などのリアルイベントも開催。また教育事業のN高等学校など、様々な領域に事業を拡大している。

 漫画やアニメなどのサブカルは、世界でも認知が広がるカルチャーになりつつあり、もはや「サブカルとメインカルチャーの垣根がなくなってきているのではないか」とドワンゴの大野氏は話す。こうした中、同社が注力しているのが、カルチャーと様々なビジネスを掛け合わせるマーケティングだ。

トレンドを作り出す『カルチャードリブンマーケティング』

 現代は嗜好の多様化に加え、スマホやSNSの普及により生活者の行動も複雑化してきている。一方、企業の打ち手はコモディティー化してきている場合も少なくない。このような中で「尖った企画」を作り出し、生活者と新たな接点を持つためには、どのようにしたら良いのだろうか。

 大野氏はその答えの1つとして、カルチャーを軸に様々なマーケティングを展開する「カルチャードリブンマーケティングがある」と語った。ネット黎明期からサブカルと向き合い続けたドワンゴは、カルチャーインサイトはもちろん、コンテンツも熟知している。だからこそ、彼らに刺さる尖った企画を立案し、コミュニティーを動かし、影響力のあるクリエイターやインフルエンサーの選定が可能だ。

 加えて、長年培ってきたネットとリアルを融合させたマーケティングコミュニケーションもドワンゴの大きな強みだ。

株式会社ドワンゴ ニコニコ事業本部 本部長 大野 学氏
株式会社ドワンゴ ニコニコ事業本部 本部長 大野 学氏

 また、「ニコニコ動画」を中心とした巨大なカルチャーコミュニティーを持っているため、ユーザーインサイトやベネフィットを精緻に把握してマーケティングを行う「カルチャーイン」な施策を打つことができるという。

「カルチャーによってルールやトンマナなどの『お作法』は異なります。我々には、どの業種とどのカルチャーを掛け合わせれば価値を最大化できるのかという『業種×カルチャーの可能性』のノウハウがあり、これまでにないマーケティングプロモーションを実現できるのです」(大野氏)

各店舗を擬人化し、若年層にアプローチ

 具体例として、同社はセブン&アイ・クリエイトリンクの事例を紹介。コミュニケーションプロデュース事業を手掛けるFOR YOUの筧氏が進行のもと、セブン&アイ・クリエイトリンクの野村氏・星野氏を迎え、ドワンゴの瀧口氏とともにパネルディスカッションが行われた。

株式会社FOR YOU 執行役員CMO<br />ストラテジックプランナー/クリエイティブストラテジスト 筧 将英氏
株式会社FOR YOU 執行役員CMO
ストラテジックプランナー/クリエイティブストラテジスト 筧 将英氏

 セブン&アイ・クリエイトリンクは、セブン&アイホールディングスの中で唯一のデベロッパー会社で、物件の開発・建築・リーシング・運営管理などを横断して手掛けている。

 その中で野村氏と星野氏は、アリオや、グランツリー、プライムツリー、セブンパークといった全国22店舗の大型ショッピングモールで実施する、全社企画のイベントの立案・構築、実行業務などを担っている。

 同社は、ファミリー層が縮小傾向にあることを背景に、次世代のショッピングセンター顧客層であるZ世代やα世代のファン化と、地域コミュニティーの拠点になることを掲げ、それらを達成できる施策を検討してきたという。

 そこで2020年に、同社は各店舗を擬人化した22体のキャラクターを生み出すプロジェクトを立ち上げた。

「棚照結神(たなてらすむすびのかみ)」
擬人化をする際には、店舗立地エリアの地域資産をキャラクターに反映。たとえば、埼玉県深谷市にある「アリオ深谷」のキャラクターは、名産の深谷ねぎにちなんで髪毛が緑と白にした。

これらのキャラクターを『棚照結神(たなてらすむすびのかみ)』と名付け、認知拡大を目的に小売店としては初めてコミックマーケットやAnimeJapanに出展した。「その結果、公式X(旧Twitter)には1万を超える方にフォローいただけました。しかし、来店につながる企画ができずに2年間、モヤモヤと走ってきた状態でした」とセブン&アイ・クリエイトリンクの野村氏は語った。

株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク 営業本部 運営管理部 マネジャー 野村 仁志氏
株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク 営業本部 運営管理部 マネジャー 野村 仁志氏

キャラクターを活かした双方向企画で盛り上がる

 こうした状況にドワンゴは、参加型の企画を提案。「棚照結神超総選挙」と題し、全22体のキャラクターから上位7位を決める総選挙形式の企画だ。

 具体的には、ニコニコ公式生放送で総選挙実施を告知し、番組内で店舗ごとに当選した際のマニフェストを発表した。ドワンゴ主催イベントである『ニコニコ超会議』へブースを出展し、並行して全国22店舗にて投票を受け付けた。最後に再度ニコニコ公式生放送で、総選挙の開票特番という形で当選結果を発表した。

「イベントを盛り上げて投票数を増やすために、お客様に喜ばれるマニフェストを各店舗で連携して作成していきました」(瀧口氏)

クリック/タップで拡大
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 実は、最初のマニフェスト発表の動画を、各店で撮影してもらうのが大変だったと星野氏は振り返る。

「まず私が簡単な動画を作り、見本を示しました。すると、各店のスタッフも動画を制作してくれました。完成した動画は、素人っぽさが『おもしろい』とニコニコ動画ユーザーにも温かく受け入れてもらえました」(星野氏)

株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク 営業本部 運営管理部 星野 浩一氏
株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク 営業本部 運営管理部 星野 浩一氏

 ニコニコ超会議では総選挙の投票や、コスプレイヤーとの写真撮影など、参加型のブースを作成。「総選挙実施の告知をした生放送を見て参加した」と話す人もいたという。

「別イベント出展時は、ほかのアニメブースを見にいらした方が多かったのですが、今回は当社を目的として来場される方が多かったです。会場にいる私たちも非常にうれしく思いました、オンラインとオフラインがひもづいている実感が持てましたね」(星野氏)

 また、最後に行った開票特番生放送の目的は、協力してくれた地域の方々や企画の参加者に感謝の気持ちを伝えることにあった。そのため総選挙の結果とともに、各キャラクターが感謝コメントをしていった。

「当社は、地域と笑顔でつながる“スマイルリンクアクション”を重要視しています。『地域と一緒にいろいろやっていて、いい会社だよね』ともコメントいただき、会社として大切にしていることも伝えられたことをうれしく思っています」(星野氏)

視聴数13万人超、投票約7万票で認知拡大を実感

 定量的な結果としては、はじめの緊急特番生放送の視聴数は11万人超え、開票特番は13万人超えに。投票数は、ネットから約2万票、オフラインから約5万票で、合計約7万票にのぼった。

「生放送は1ヵ月半ほどで2万人近く増え、かなり認知拡大が進みました。投票数に関しては、オフライン投票の目標は2万票でしたので、ダブルスコア以上の成果です」(瀧口氏)

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 オフラインの投票に5万票も集まった理由として、動画制作や投票ブース作りなどにモチベーション高く取り組んだ、各店舗の社員の存在が大きかったと星野氏は振り返る。

「最初の生放送で11万人もの方が見てくださったことで、士気が上がりました。地域連携では、ジェフ千葉レディースの選手やご当地アイドルの方々も投票を呼びかけてくれました」(星野氏)

 結果発表後の事後施策としては、各店でマニフェストを実施。1位になった大阪のセブンパーク天美では、同店のキャラクターの声優を務める狩野翔さんに、ボーカロイド曲の『無限∞VISION』を歌ってもらった。

 中には、マニフェストで掲げたクリアファイルを求めて、オープン前から50~60人の待機列ができた店もあったという。ほかにも購入特典でポーチをプレゼントする施策では「来店誘導にプラスして実売でも成果が出た」と星野氏は語った。

勝率アップのために、パートナー選びが重要

 今回の施策が成功したポイントについて、瀧口氏は3つのポイントを挙げた。1つ目は、サブカルに精通したチームメンバーが、お客様にメリットがあり、おもしろがってもらえる、「ファンを動かす施策」を考えられたこと。

 2つ目は、デジタルで認知を広くとり最終的にはリアル店舗に誘導する、デジタルとリアルの掛け合わせをしっかりと施策に落とし込んだこと。3つ目は、関係者が前向きになる実績とムーブメント作りにあったと分析。

「1回目の生放送で11万人に視聴されたことで、店舗のみなさんも含め関係者が勢いづきました」(瀧口氏)

株式会社ドワンゴ 企画営業部 営業 瀧口 遼馬氏
株式会社ドワンゴ 企画営業部 瀧口 遼馬氏

 加えて野村氏は、ドワンゴが「各店スタッフの様々な声を吸い上げて形にしてくださった」ことが大きかったと付け加えた。

 ドワンゴでは、リサーチからプランニングまで一貫した形でサービスを提供している。

 今回活用したニコニコ超会議は、「ニコニコの(だいたい)すべてを地上に再現する」をコンセプトに、ネットとリアルで開催する大型イベントだ。2023年のリアル会場への来場者は2日間で約12万人。Web・SNSのインプレッションはいずれも前年を上回る盛況ぶりだ。なお56の企業・自治体・団体が、協賛や出展を行った。

 「企業様からの満足度も非常に高く、うれしいお声をいただいております」と話した上で、大野氏は下記のように話し、セッションを締めくくった。

「ビジネスには、必ず成功するという確実な解はありません。ただ、知見や経験の豊かなパートナーを得ることで勝率アップを図ることは可能です。まずはオリエンテーションで、企業様の課題の詳細にヒアリングさせてください。その上で複数の企画を立案し、ご提案します。様々な形で、業種×カルチャーの新しい組み合わせができることを楽しみにしています」(大野氏)

ニコニコのソリューションに興味を持っていただいた企業様へ

 本記事を通して、少しでも興味を持ってくださった企業様はお気軽にお問合せください。記事内で語りきれなかった、サブカルを活用した広告の魅力やマーケティング事例もご紹介いたします。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社ドワンゴ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/16 11:00 https://markezine.jp/article/detail/43797