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OWNDAYS×電通グループが取り組む、来店促進を実現するマス×デジタルの広告活用術

 メガネ専門店を展開するOWNDAYSは、2024年にマーケティング部を発足。国内電通グループ(dentsu Japan)とともに、広告による来店効果の可視化と、来店につながるメディアプラン設計を実現する取り組みをスタートし、一定の成果を上げている。本記事では、このプロジェクトに関わるOWNDAYSの鳥居氏、電通の関谷氏、谷口氏、電通デジタルの大野氏に取り組みの内容について聞いた。

海外から日本に逆輸入、プロモーションは徐々に加速

――最初にOWNDAYSの事業概要について教えてください。

鳥居:OWNDAYSは全世界13の国と地域で約600店舗近くを展開するアイウェアブランドです。企画から販売を一気通貫で行っており、商業施設への出店をメインに行っています。

 また、フレームに関しては1,500種類以上をラインナップし、年間約200種類の新作フレームをリリースしています。また、購入後1年間は様々な保証を用意するなど、アフターサービスにも力を入れています。

株式会社オンデーズ マーケティング部 部長 鳥居 長英氏
株式会社オンデーズ マーケティング部 部長 鳥居 長英氏

――直近では駅ナカやショッピングモールなど、様々な場所でOWNDAYSの店舗を目にすることが増えている印象です。約600店舗まで店舗拡大を進めるまでのマーケティング戦略についても教えてください。

鳥居:これまでは、代表の田中修治による企業再生で成長を続けてきました。具体的には、アジア各国をはじめとした海外出店を加速させ、海外売上が国内市場を超える形で成長してきました。

 その後、海外で企業体力をつけた後に、国内市場でも出店を加速させたことから、マス広告とデジタル広告をミックスした大型の広告キャンペーンを初めて展開しました。このキャンペーンを行うまではPRやSNSプロモーションが中心で、マス向けの施策はエリアを限定した展開が主だったものでした。

――競合企業はマス広告をはじめ、広告宣伝に恒常的に投資しているイメージがありますが、御社はなぜあえてマス広告に注力しない期間があったのでしょうか。

鳥居:競合企業と違い、マスではないところで勝負していたからです。競合となる企業は店舗数もOWNDAYSより多く、プロモーションもマスが中心となっています。また、当時のOWNDAYSは九州・沖縄エリアへの出店が多いなど、今とは異なる状況でした。そのような背景から、全国的なマス広告にはチャレンジしてきませんでした。

認知度向上を目的にマーケティング部を発足、統合プロモにも挑戦

――OWNDAYSは、2024年にマーケティング部を発足したと伺っています。このタイミングでマーケティングの専門組織を立ち上げた狙いを教えてください。

鳥居:OWNDAYSが抱えている課題に「認知度の向上」があります。先ほどお伝えした通り、海外売上を高めるところにフォーカスした結果、国内は店舗数が多い箇所と少ない箇所がまちまちな状況で、ブランド認知が高いエリア、低いエリアがはっきりと分かれていました。

 今後国内の出店を加速していくフェーズなので、これまでよりも精度が高く、より計画的にプロモーションを行って認知度を上げるべく、マーケティング部を発足しました。

――マーケティング部では、関東・関西の認知度向上と来店可視化を目的にマスとデジタルの統合プロモーションを電通・電通デジタルと共同で取り組んでいらっしゃいますね。

鳥居:関東・関西の都市部では他社に比べ宣伝も少ない状況でした。今後出店を増やしていくエリアでの認知度向上は重要なので、マス・デジタルを含めた統合プロモーションが必要だと考えました。

 また、出店を加速させる上で、プロモーションによる来店効果の可視化も欠かせないと考えました。この2つをサポートできるノウハウやソリューションを持っていたのが、電通・電通デジタル様だったので一緒に取り組みを始めました。

――統合プロモーションの効果を最大化するために、電通・電通デジタルではどのような支援を行ったのでしょうか。

関谷:鳥居さんのお話にもあったように、来店効果を把握する術を持たずに過去にテレビCMを東海エリアで出稿したところ、想定以上の売上につながったものの、テレビCMの効果がどの程度か不明瞭なままでした。また、OWNDAYS様は商業施設内の出店が多いため、来店計測の仕組みを整えないと効果の視覚化が難しい状況でした。

株式会社電通 第17ビジネスプロデュース局 トランスフォーメーション・プロデュース部長 関谷 謙志氏
株式会社電通 第17ビジネスプロデュース局 トランスフォーメーション・プロデュース部長 関谷 謙志氏

関谷:そこで、電通と電通デジタルで来店効果を把握するOWNDAYS独自の分析基盤並びにマーケティングマネジメント基盤の構築、そして分析基盤で得られた来店効果をもとにしたメディアプランの設計をご支援しました。

鳥居:アイウェアブランドでは測定という工程が発生するため、短絡的に来店促進を行ってしまうとお客様の待ち時間が増加するなど、顧客体験の悪化につながってしまいます。来店促進と良い顧客体験を両立するには、来店効果の計測は必須でした。

来店を精緻に測り、メディア最適化を実現する仕組みとは?

――来店数が多ければいいということではなく、顧客体験の質も重視して設計されているということですね。では、具体的にどのような仕組みで来店効果を把握していたのか教えてください。

谷口:テレビCMの視聴データ、デジタル広告の接触判定データ、来店計測の位置情報データを掛け合わせ、実行動ログから施策効果を計測できる環境を準備しました。来店データに関しては、OWNDAYS様の各店舗にビーコンを設置させていただき、精度の高い来店データを取得できるような仕組みを構築しています。

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谷口:この仕組みにより、テレビCMやデジタル広告ごとの来店効果やフリークエンシー(広告への接触回数)別での来店効果、またエリア単位での来店効果などを視覚化できるようになりました。

 たとえば、店舗数が相対的に多い九州・沖縄エリアでは広告効果が高く出る一方で、競合店舗がひしめいている関東エリアなどでは、広告に一定数以上接触しないと来店には結びつかないなどの示唆が得られています。

 このような示唆を踏まえ、来店者数が最大化するようメディアプランを構築し、その際の来店者数も予測させていただいています。

株式会社電通 データマーケティングセンター グロースコンサルティング7部 プランナー 谷口 駿太郎氏
株式会社電通 データマーケティング局 グロースコンサルティング7部 プランナー 谷口 駿太郎氏

――把握した来店効果をもとに、メディアプランを設計しているとのことでしたが、どのように行っているのでしょうか。

大野:デジタル広告に関しては、Googleのあらゆる配信先に対して、機械学習を使いコンバージョンの獲得を促進できるP-MAX(Performance-MAXの略称)の配信中心で行っています。

 Googleの配信数値や電通で行っている分析においても、P-MAXで高い来店効果を得ることができており、来店施策においてはP-MAXを軸としたメディアプランを組むことが有効ということがわかっています。

株式会社電通デジタル 第2アカウントプランニング部門 第1事業部 第2グループ大野 喬紀氏
株式会社電通デジタル 第2アカウントプランニング部門 第1事業部 グループマネージャー 大野 喬紀氏

大野:P-MAXの運用に関しても、広告キャンペーンの統合や店舗半径の検証、エリアごとに最適なKPIの整理など、OWNDAYS様の戦略エリアや現状に合わせた運用を心掛けました。

 統合に関しては、運用型広告の世界では「機械学習をワークさせるためにデータの統合が重要」とよく言われますが、単に統合するだけではOWNDAYS様のビジネスにフィットしないため、出店エリア戦略と丁寧にすりあわせたうえで広告アカウント内の構造を設計しました。また、その他の検証についても週次での定例会やスポットでのミーティングを何度も重ね、双方が合意した内容で実行しています。

 広告プラットフォームのアルゴリズム、dentsu Japanのケイパビリティ、業界のベストプラクティス、そしてOWNDAYS様の戦略を踏まえたうえで最適なプランをご提案し、進行を管理していくことはもちろん容易ではないですが、同時にやりがいの大きいプロジェクトであると日々感じています。

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関谷:テレビCMに関しては、過去実績をもとに各エリアで最適な来店促進ができるGRPを算出し、メディアプランを組んでいます。今期の予算配分に関しては、既に最適なプランをベースに配分をしており効率的にリーチ獲得ができています。

 さらに、広告で得られる数字だけでなく、売上などの数値も週次で見て、鳥居様をはじめとしたマーケティング部の皆様と打ち合わせを行い、双方が合意したプランのPDCAを実行しています。

 この仕組みを1年でここまで整えられたことで、2024年11月から行う新たなキャンペーンの設計など、今後のプロモーションがより良くなるサイクルを作ることができています。

OWNDAYSが目指すべきポジショニングも調査で明らかに

――mROI(マーケティング費用対効果)を基に意思決定ができる座組を構築している点はdentsu Japanならではですね。一方で、プロモーションを成功させるには、クリエイティブも重要になってくると思うのですが、クリエイティブに関しては何か工夫をされていますか。

鳥居:今回の仕組みで活用したクリエイティブに関しては、以前より活用しているテレビCM素材を使用していますが、関谷さんからもあったように2024年11月に行うキャンペーンに向けて、訴求内容の見直しを行いました。

 競合と弊社のクリエイティブの何が違うのか、アンケートや市場調査、グループインタビューなどを通じて探ると、メガネを求める方のニーズがクラスタによって大きく異なること、メガネ専門店のブランドポジショニングが見えてきました。

 基本的には弊社のようにSPA型で製販一体のビジネスモデルのアイウェアブランド 、そして様々なブランドのメガネを取り扱う少しプレミアムな価格帯のメガネ専門店に分かれるのですが、どちらのタイプも競合が既にポジショニングしています。

 そこで弊社は、SPAで「コスパ」や「ファッション性」を重視する層と、プレミアムなブランドで「医療機器としての信頼感」「機能性」を重視する層の両方に喜んでいただけるサービス、商品を提供することを目指しています。

 具体的には、メガネニーズが高い40~50代をターゲットに、遠近両用レンズ追加0円というサービスをスタートし、2024年11月から本格的なプロモーションを行っています。

 さらに、ブランドコンセプトも見直し、「OWN❛your❜DAYS」に変更しました。メガネはコモディティ化し、とりあえずトレンドのものを買うといった消極的な選び方をされるケースもあります。そのような妥協をするのではなく、毎日かけるメガネが新しい服やスニーカーを買ったときと同じような、前向きでワクワクする気持ちになることを目指し、このコンセプトを考え、電通様協力のもと「いい顔になろう」というコピーを開発してクリエイティブを制作しました。

 これにより「OWNDAYSなら自分に合うメガネが見つかる」「他ブランドより良いサービスが受けられる」と興味を持ってもらえるよう、2024年11月からチャレンジしています。

来店効果の可視化で事業ゴールに紐づいた広告最適化が可能に

――今回の3社の取り組みを通じて得られた成果を教えてください。

鳥居:今回の仕組みによって、精度の高い来店効果の検証が実現しました。毎週必要な広告の投下量が把握できるようになっており、今後のメディアプランニングにも役立っています。

関谷:広告が認知・ブランディングだけでなく、来店や売上などの事業成果に効くのかまで把握できる仕組みができたのはとても良かったと思います。引き続き、事業のゴールをともに目指し、そこに少しでも貢献していきたいと考えています。

――11月のプロモーションでは、ブランドコンセプトを刷新し、遠近両用レンズ追加0円を訴求したとのことでしたが、どのような内容になったのでしょうか。

鳥居:広告に関しては、引き続きテレビCMとデジタル広告をミックスし、認知から来店、購買までフルファネルでアプローチしました。

 また、クリエイティブは「いい顔になろう」のコピーを中心に据えたものを3パターン用意し、パターンによってリブランディング、遠近両用レンズ追加料金0円、定番商品「OWNDAYS | AIR」と訴求内容を分け、定性・定量共に効果的なメッセージをお届けしました。

11月のプロモーションに使われたクリエイティブ

関谷:電通・電通デジタルとしては、今後の出店計画をはじめ、プロモーション以外の事業計画のところまでパートナーとして支援していきたいと考えています。

大野:メディアプランを組んで終わりではなく、ビジネス視点を持ってマーケティング全体をご支援できていることはありがたいと感じています。特にOWNDAYS様はビジネスの拡大フェーズにいらっしゃるため、共に注いだ熱量がしっかり数値として返ってくる手応えを感じられています。今年の新しいプロモーションも長い時間をかけて考えたものなので、広告に触れてくださった方や店頭に来て下さるお客様の反応が楽しみです。

OWNDAYSといえば、のイメージを確立する

――最後にOWNDAYSのマーケティングにおける今後の展望を教えてください。

鳥居:プレミアム型とSPA型の間のポジショニングを確立し「OWNDAYSといえば○○だよね」と思っていただける取り組みを進めたいです。そのためにメガネに対するあらゆるニーズに対応し、「技術力が高い」「ファッション性が高い」などあらゆるイメージを確立していきたいです。

――OWNDAYSの今後の展望に対し、電通・電通デジタルはどのような支援をしていきたいですか?

谷口:引き続き、メディアやエリアごとの来店効果を蓄積し、メディアプランと来店者数の予測精度を向上しつつ、来店データ・位置情報データの更なる活用を進めていきたいと考えています。現状では主に広告の来店効果を検証することに活用していますが、今後は、来店データ・位置情報データを活用した来店促進策をご提案できればと考えています。

大野:来店促進に関しては、P-MAXを引き続きメインで活用しつつ、テレビCMのリーチ補完の文脈でYouTubeや各種動画配信サービスといったメディアにも配信を行っていきたいです。

 また、OWNDAYS様のEC部門の方々とも一緒に取り組みを行っているので、ECと店舗を融合したサポートを行います。オンラインストアやECモールの広告施策の支援や、電通デジタル内の他チームと連携してのCDP構築やSNS公式アカウント運用の支援など、多岐にわたる領域でデジタル施策のご支援ができればと思っております。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通デジタル

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/20 21:49 https://markezine.jp/article/detail/47479