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第4回 クーリング・オフ制度の「はてな?」その2

 購入したけれど返品したい、契約締結後に解除したいというケースは、ネットショッピングでもよくあります。そんなときによく聞く言葉が「クーリング・オフ」。消費者もネットショップオーナーも、この制度のことは正しく理解している必要があります。(その1、その3)。

【質問】
ネットショップでの買い物は、クーリング・オフ制度を利用して返品することはできないということですが、消費者ってそんなに弱い立場なんでしょうか…。

【回答】

 ネットショップでの買い物は特定商取引法の「通信販売」に該当します。「通信販売」にはクーリング・オフ権が認められておらず、消費者がその権利を行使することはできません(詳しくは、「はてな?」その1参照)。しかし、特定商取引法の「通信販売」における代金支払方法が、分割払いとなっている場合や、クレジットカードを利用した分割払いやリボルビング払いとなっている場合は、割賦販売法における「割賦販売」や「割賦購入あっせん」に該当すると考えることもできます。この法律にもとづいて、クーリング・オフ権を行使できるかを考えてみましょう。

 この一覧表を見ると、割賦販売法における「割賦販売」や「割賦購入あっせん」の取引内容においてはクーリング・オフ制度が認められています。しかし、「割賦販売」や「割賦購入あっせん」であっても、特定商取引法の「指定商品」や「指定役務」などに関する契約である場合は、割賦販売法におけるクーリング・オフ制度の適用が除外(割賦販売法第4条の4第8項第1号、第29条の3の3第8項第1号、第30条の2の3第8項第1号)されます。

 このため、特定商取引法の「通信販売」における代金支払が、分割払いとなっている場合や、クレジットカードを利用した分割払いやリボルビング払いとなっている場合であっても、クーリング・オフ権を行使することはできないのです。

返品できる可能性はケースバイケース

 では、どのような場合であっても、消費者は、事業者に対して返品を求めることができないのでしょうか?

 確かに、特定商取引法の「通信販売」にはクーリング・オフ権が認められていません。しかし、送られてきた商品が間違っていたり、その商品に瑕疵などの欠陥がある場合もあるでしょう。事業者に瑕疵担保責任や債務不履行責任が認められるとき、通信販売広告に虚偽の表示があり、詐欺と認められる場合、消費者は、民法の規定に従って契約を解除したり、商品の返品を求めることができます。

 とはいえ、民法の規定に従って商品の返品を求めることができるかについては、ケースバイケースです。高額な取引を行った場合など返品を求める実益が高い場合は、専門家に相談することをお勧めします。

「返品できません」と明記していないショップの場合

 通信販売広告には、商品の返品が可能かを示す事項(いわゆる返品特約)を必ず表示しなければなりません(詳しくは、第3回参照)。では、「返品できません」という表示がない場合、返品の可否についてはどのように考えるべきなのでしょうか?

 この場合、返品特約は必要的記載事項であることから、この記載のない場合には返品が可能と考えるべきとされています。また、返品可能期間が記載されていない場合には、同様に、無期限に返品が可能と考えるべきとされています。事業者の立場からは、返品に関するトラブルを回避するために、通信販売広告において、返品できない旨を表示したり、返品可能な場合や返品可能な期間を表示することが必要となります。

本稿中、意見にわたる部分は、筆者個人の見解を示すにとどまり、筆者の所属する法律事務所の意見を表明するものではありません。また、具体的事案により本稿中とは異なる結果が生じる場合があります。

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この記事の著者

笹倉 興基(ササクラ コウキ)

弁護士(東京弁護士会所属)。1995年早稲田大学法学部卒業。1999年弁護士登録。黒田法律事務所において、特許権、商標権及び著作権といった知的財産権に関する案件、ベンチャー企業の支援を担当している。また、M&A・事業再生・リストラクチャリングや民事再生などにも注力しており、ビジネス法務の分野において第一線で活躍中。ネットビジネスに関連する法律に精通している。 www.kuroda-law.gr.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/01/17 15:00 https://markezine.jp/article/detail/588

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