4年間で倍増の成長市場
スカイアーチネットワークスは、モバイルコンテンツ黎明期に創業し、データセンター事業など、サーバ運用サービスを中心に展開している。登壇した下妻氏は、今回の講演について「コンテンツ市場の現在と未来」「システム最適化プロジェクト」「システム運用の新基準」の3つのテーマがあると冒頭で語った。
最初のテーマは、「コンテンツ市場の現在と未来」ということで、下妻氏はモバイルコンテンツ市場の分析を行った。2003年のコンテンツ市場は13兆2183億円で、2006年には13兆9890億円に達し、順調に推移している。このコンテンツ市場全体の中でモバイルコンテンツが占める割合は、2003年が2.1%で2006年は4.1%と、4年間で倍増していると指摘。下妻氏は、某シンクタンクの予想を挙げ、2010年には約8000億円の市場になるとした。
しかし、下妻氏は最近の経済状況から「特にコンシューマーをターゲットにしているようなコンテンツは、市場の影響を大変受けやすい」とし、またモバイルコンテンツ運営会社が抱える課題である人材不足についても指摘した。人材コストやノウハウといった課題を解決するために「積極的なアクションが必要」ということで、2番目のテーマである「システム最適化プロジェクト」について、同社の成功事例を紹介した。
場当たり的なシステム運用が当たり前
事例となった顧客は、サーバ40台で23ものコンテンツを運営しているモバイルコンテンツ運営会社。サーバはホスティング、システム環境はLAMP、アプリケーションは自社開発や外注が混在している。運用している担当者は2人だ。
この顧客は、数年前に1つのモバイルコンテンツを立ち上げたところから会社がスタートし、コンテンツが拡大するに従ってデータベースサーバ、Webサーバを冗長して運用していったという。コンテンツが新しくできると、これまでのデータベースサーバの隙間に新たなデータベースを追加し、ときにはハードウエアを増設していくなどして拡張していく運用が行われていた。下妻氏は、モバイルコンテンツ運営においてこのような、悪くいえば場当たり的にシステムを運用しているケースは多いという。
同社がこの顧客からヒアリングした課題の1つは予算管理だ。障害やメンテナンスでどういったコストが発生するかが読めず、また現在のサードウェア構成で採算が取れているかも分かりにくく、拡張時のコスト負担も大きい。
また、担当者も2人だけなので個人の負担も多く、個人のスキルに依存しすぎるという課題も挙げられた。そして同社では、コストの削減、運用コストの可視化、運用負荷の軽減、稼動性の向上、拡張性の確保といった5つのテーマでシステムの最適化プロジェクトにとり組む事にした。