米Googleが、オンライン広告配信を手がける米DoubleClickを31億ドルで買収したのは、記憶に新しい。しかし、買収手続き完了後、日本のダブルクリック社は、DART技術に関する独占的ライセンス契約の履行を求めるため、米Google、グーグル株式会社、米DoubleClickに対して、仮処分と仲裁の申立てを行っていた。
ダブルクリックが発表した経緯によると、1997年に日本で創業した同社は、米DoubleClickとDART技術に関する独占的ライセンス契約(DART契約)を締結し、DART技術を用いた製品およびサービスを、日本国内で永続的かつ独占的に販売する権利のもと、事業を展開してきた。しかし、2008年3月に、米Googleによる米DoubleClickの買収手続きが完了すると、米Googleから「MobileMK」「MobileMK Analytics」「MO-ON」を販売宣伝している行為が、米DoubleClick(現・米Google)のモバイル広告システムと競合し、DART契約上の競業禁止義務に違反しているとして、DART契約を解除する旨を一方的に通知されたという。
ダブルクリックは、この解除通知には根拠がないことを説明したうえで、契約解除通知の撤回を要求してきたが、米Googleはそれを拒否。ダブルクリックは契約の一方的解除を避けるため、2008年10月に、ニューヨーク州ニューヨーク郡上位裁判所に対し、米Google、米DoubleClick、グーグル株式会社を相手にDART契約解除の差し止め等を求める仮処分を申立て、2008年11月には、ダブルクリックと米Googleは、国際商業会議所仲裁法廷に対して仲裁申立てを行っている。
ニューヨーク郡上位裁判所では、ダブルクリックの主張が全面的に認められ、2008年12月には、米Google、米DoubleClick、グーグル株式会社に対して「仲裁判断がなされるまでの間、DART契約を解除してはならない」などの仮処分決定がなされた。
ダブルクリックは、米Googleによる行為は「DART契約を無視した全くの暴挙」としながらも、今後の円満な協業関係構築に向けたビジネススキームについての協議を続けていくとしている。また、ダブルクリックは、1月29日付で、今回の仮処分及び仲裁申立てに関する弁護士費用等2億4600万円を特別損失に計上している。
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