サイトが存在しなければ見つけてもらえない
モバイルサイトの注目度が高まってきているとはいえ、依然として企業のモバイルサイト開設率は高いとはいえない。インプレスR&Dの「ケータイ白書2009」によると、PC用ウェブサイト開設企業のモバイルウェブサイト開設率は22%にとどまっている。
モバイルサイト開設率の低さは、モバイルサイトの効果以前に、大人世代のモバイルサイトの認知・利用自体がそもそも低いということが大きかったといえる。普段使っておらず認知も低く、実績も目にすることがないので積極的に取り組む必要性を感じず、予算がつかないので取り組みが遅れる……という悪循環に陥っていたといえるだろう。
ある意味、それを象徴しているのがGoogleモバイルの変化だ。「モバイルサイトには情報が少なく、検索精度が悪い」という声は以前から多く耳にするが、そうした声を受けてか、Googleモバイルは2009年2月に、検索結果をモバイルサイトとPCサイトに分けて表示する形から、両方の結果を混合して表示する形へと変更している。
ではなぜモバイル検索の精度が低いのかというと、その理由は検索エンジンの性能というより、モバイルサイト上で有益な情報をオープンな形で積極的に提供しようとする企業や自治体、個人が根本的に少ないからといえる。それゆえメジャーなキーワードがアフィリエイターのSEOなどに利用され、検索結果に出会い系サイトへのリンクが氾濫するなどマイナスイメージを与えていた部分がある。
だがそうした流れも変わりつつあり、最近ではモバイルサイトの活用実績が増えてきたことから、モバイルサイトに対し積極的に取り組む企業も増えつつある。それを象徴しているのが、NTTドコモのiモード内にある「企業・ブランド」カテゴリである。このカテゴリは2008年4月から用意されているが、およそ1年半経過した現在では大手企業や有名ブランドを中心として、179ものモバイルサイトが登録されている(2009年10月現在)。