ページ遷移を伴わないサービスとアクセス解析の「まとめ」
今回は、ページ遷移を伴わないサービスにおけるアクセス解析の考え方について見てきました。こうしたサービスでは、そもそもページへのアクセス、ページビュー、というものの意味合いが違っているため、個々のサービスにあわせた戦略が必要になります。
そもそも、ページ遷移を少なくするサービスが注目されているのは、何かアクションを起こすたびにページ全体をサーバから読み込むより、必要なデータだけをダウンロードしてページの一部だけを書き換えたり、時にはあらかじめデータを読み込んでおいて、書き換えだけを行ったほうが、ずっとスピードが速いからです。速度が速いということは、それだけ利用者の利便性も高くなります。Ajaxなどのテクニックが普及してきたおかげで、利便性の高いサービスを作りやすくなったのですが、その反面、ページビューといった概念だけでは、Webサイトの価値などを測りにくくなってきているのです。
例えばページ全体ではなくても、速度向上のために、ページ遷移を行わずに書き換えを行うケースはよくあります。例えば「はてな検索」では、検索窓の上に用意されたリンクを使って検索の種類を切り替えることができますが、これは以前はページ遷移によって実現されていました。つまり「キーワード」「ウェブ」と検索対象を切り替えるたびに、ページを再読み込みしていたのですが、現在はJavaScriptを利用して、リンクをクリックしても、サーバへの問い合わせは行わずに検索対象を切り替えるようにしています(JavaScriptがオフに設定されている場合は、ページ遷移が起こります)。
こうすると、検索対象の切り替えによるアクセスは減りますから、アクセスログを解析すると、見かけ上ページビューが減少してしまいます。しかし実際にはページへのアクセスが減っているわけではなかったり、むしろ検索対象を切り替えるのに要する時間は短縮されて、利用者の利便性は上がっているわけです。
こうしたことを踏まえて、ページ遷移の少ないサイト、そうしたJavaScriptによるページの書き換えを利用しているサイトでは、どういう処理が行われ、それをどう計測するかということを考える必要があります。
ちなみに、Flashムービーだけで構築されたページも、ページ遷移を行わずに内容が変化していますから、基本的な考え方は同じです。Flashの場合も、大きな画面の切り替えの差異にアクセスを記録する処理をFlash内に組み込んだり、Flashの中から、他のデータを読みにいく場合には、そのデータのアクセスを解析することで、効果やユーザーの行動を解析することができます。