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ビジヲタ必見!「すべらない事業」の作り方

求人企業と人材紹介会社両方の手間を省く事業モデルを築いたヴァンテージマネジメントの話

Q. 『リクまどα』の競争優位性や差別化は何ですか?

 小さいですが、人材紹介会社の導入社数が多いため効率が良い点、早ければ当日中に無料で紹介を依頼することが可能という即効性、採用担当者側と紹介会社側双方のフローを考え抜いたシステムの使いやすさ、などが挙げられます。

 しかし、法人向けのWebサービス領域というのは、圧倒的な導入社数がないと優位性は働かないと思っています。差別化を出していくのは、まだまだこれからですね。

Q. 『リクまどα』の成功事例を教えてください

 すごく分かりやすい事例があります。

 そのクライアントは、『リクまどα』をご利用頂く前に、大手の人材紹介会社に一通り声をかけて採用活動を行っていたのですが、従事している方が非常に少ない職種だったために、なかなか条件に合致する候補者に出会えずにいたそうです。数ヶ月に1件ペースでは推薦があがってくるものの、条件に合致せず、採用計画も遅れ、非常に困っていました。

 しかし、『リクまどα』に求人案件を掲載したところ、導入2週間で6件の推薦があがりました。しかも、『リクまどα』上で推薦時の条件を細かく指定できるため、それまでの大手紹介会社による推薦からの書類選考通過率が10%前後だったのに対し、『リクまどα』経由の書類合格率が50%、3名の面談が実現したのです。

 その結果、半年以上募集していても決まらなかった案件が、『リクまどα』利用後2ヶ月で候補者の入社承諾を得ることができ、クライアントから大変喜ばれました。

Q. 『リクまどα』がクライアントに支持される理由を教えてください

 『リクまどα』が貢献できる点は、大きく2点あります。一つは、「適正の手数料にできるため、案件によっては採用手数料を大幅に下げることができる点」。もう一つは、「難しい案件の採用確率を高められる点」です。

 先ほどの事例のように、大手人材紹介会社にも候補者がいない難しい案件でも、『リクまどα』を通じて紹介会社へ一斉に依頼することで、合致する候補者に情報が行き渡り、大手以上の推薦数を短期に獲得することができます。これは、自分の次のステージを真剣に探している転職希望者にとっても、価値のあることだと感じています。

 手数料に関しても、ただ単純に値下げ要求ができるというサービスではなく、採用需要が旺盛な案件は手数料を上げなければ推薦が入りませんし、市場原理に基づいて手数料が変動していくので、採用担当者からの納得感も醸成されやすい仕組みになっています。

Q. 今後人材サービスはどのようになっていくと予想しますか?

 予想は非常に難しいですが、Web、そしてソーシャルメディアの発展と共にダイレクトな採用が増え、高付加価値なモデル以外の手数料ビジネスは、大枠ではシュリンクしていく可能性が高いと思います。

 人材サービスに限らず、あらゆる「仲介業」に言えることではありますが、ヘッドハンティングのような潜在ニーズ喚起型のモデルを除いては、仲介ビジネスの手数料はゼロに近づいていくはずです。一般の転職斡旋業は、今までのように労働集約型で売上を拡大して行くことは簡単ではないでしょう。

 今後は、個人がもっとダイレクトに企業にアプローチする手法が多様化し、個人(転職希望者)から課金するモデルが今以上に出現するのではないでしょうか。

Q. 事業をすべらせないために気をつけていることはありますか?

 いくつも滑ってきているので、偉そうなことは言えません…。Twitterやグルーポンではないですが、Webの本質をきちんと捉えようと努力しながら、それをビジネスの領域で活用できないかということだけを考え続けています。

Q. 今後の目標を教えてください

 『リクまどα』もまだまだこれからですが、「BtoB」×「Web」領域で今までに無いサービスを生み出したいと思っています。

 日本に留まらず、10万社、100万社という単位で利用される革新的なWebサービスを生み出すことで、企業の業績拡大やコスト削減を実現し、生み出された利益によって、雇用や新たなビジネスが生まれ、結果として、経済の発展・繁栄に繋がるよう貢献することが今後の目標です。

インタビューを終えて

 中山社長が言うように、Web活用による中間コストの削減は、さまざまな業種で行われているのは周知の事実だろう。その中には、既存の商習慣システムを破壊してしまった、町の本屋に対するAmazon.comのような例もある。

 人材紹介というジャンルはWebとの相性が良く、ネット広告から案件管理システムに至るまで、特にWebを積極的に活用してきた業界の一つだ。その中で『リクまどα』は、求人企業にとって支払い手数料を安価に、そして採用案件の成功確立を上げやすくする仕組みで、新たな価値を作り出した。

 しかも、『リクまどα』は人材紹介会社の仲介手数料モデルを破壊するのではなく、案件供給の役割も果たすことで、人材紹介会社に対しても貢献できるモデルだ。

 既存の業界を破壊してしまうような革新的なWebサービスは、もちろん素晴らしい。しかし中山社長は、破壊するのではなく、既存事業者との関係を配慮しつつ、Win-Winの事業モデルを築くことに成功した。これは、前職で人材業界の仕組みを熟知していたからこそ、提供できた新たな価値と言えるのではないだろうか。

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この記事の著者

矢作 嘉男(株式会社ハチワン)(ヤハギ ヨシオ(カブシキガイシャ ハチワン))

株式会社ハチワン代表取締役。New Jersey City University卒。
中国人観光客向けクーポンサイトなどインバウンド媒体を運営。
2011年、中国のインターネットプロモーション事業を行う北京博洛密網絡科技有限公司と提携し、中国向けプロモーション事業を開始。本当に成果の出る中国市場向けインターネットマーケティングのみをを提供し、インバウンド向けから中国現地進出向けまで数多くの実績を持つ。
プロモーションのご相談:info@813.co.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2011/02/28 11:00 https://markezine.jp/article/detail/13441

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