WIPジャパン株式会社が7月3日、ロシアの最新IT事情を発表した。ロシア最新事情世界中の投資家が注目する「BRICs」そのひとつ、ロシアのIT事情、はたして熱いのだろうか、寒いのだろうか? ここ数年ロシアはGDP6%以上を維持し、経済は順調に成長し続けている。実際のところ、ロシアのIT事情はいったいどんな状況なのだろうか。
モスクワ在住のWIPスタッフによると、インターネットが一般市民に普及したのは2004年頃から。それまではダイヤルアップ接続が主流で、高速接続はごく一部のオフィスビルやインターネットカフェでのみ可能だった。通信速度は遅い上「すぐ切れる」「つながらない」などトラブル続き。日本から送信されてくる大容量のファイルがなかなか受け取れず、結局ファックスで送ってもらったという笑えない話も多かったという。
現在ではオフィスのみならず家庭でも高速回線が普及。プロバイダ各社とも料金と速度の競争にしのぎを削っている。モスクワのプロバイダが提供する高速回線のうち、ADSLが37%なのに対し、Ethernet接続は57%とシェアを占めている。Ethernet接続はプロバイダ別対応のLANカードを加入者のパソコンに挿入して設定をしてもらうだけで手続きが完了。LANカードはプロバイダが提供する場合が多く、手軽で初期費用もほとんどかからないのが特徴だ。ごく最近では無線ブロードバンドのサービスも徐々に広まりつつあるが、料金が高いこととカバー地域がまだ少ないため、まだ身近になったとはいえないようだ。
モスクワでの普及度は他の地方と比べて群を抜いており、ロシア全体では「直近の1日以内にインターネットを利用した」利用者は36%であるのに対し、モスクワだけをとれば68%にもなり、北西地方(サンクトペテルブルクを含む)の35%、シベリア地方の30%を大きく引き離している。 インターネットはモスクワでは当たり前のものになっているが、地方との差は依然として大きい。モスクワと地方の大き過ぎる格差の解消がロシアの喫緊の課題となっている。
ロシア全体のインタネット事情を探ってみよう。ロシアの独立系調査機関「世論調査基金」は、2002年より継続して「ロシアのインターネット」という統計結果を年4回公表している。この調査では「少なくとも半年以内に一度はインターネットを利用した」ことのある者を「インターネット利用者」の一人に数えているが、2002年に18歳以上の人口で8%だったインターネット利用者が、2006-7年冬季の調査で25%と上昇。しかし突出して増加した時期は見られず、毎年平均して4%ずつ増加する傾向にあり、徐々にインターネットが身近になってきているようだ。
検索エンジン大手にはYandex、Mail.ru、Ramblerなどがあるが、それぞれ無料メールボックスをはじめ、チャット、ブログなどの付帯サービスを提供している。また、ネットショッピングの普及もめざましく、2006年の市場規模は前年比42%増(インターファックス通信の調べによる)になり、そのうち61%がモスクワでの取引だという。電化製品やPC、モバイル、書籍・CDから家具にいたるまでネットショップの取り扱い範囲は幅広く、当日配送、代引可など利便性の高いサービスも手伝って、今後もネットショッピングの人気は続きそうだ。
プレスリリース:「BRICs」の一つ、ロシアのIT事情(WIPジャパン株式会社)