ショッピングモールには入るべきか否か
ネットショップ業界では、楽天市場やYahoo!ショッピングのようなモールに入ることに消極的な意見もあります。出店費用(月5万円程度)に加え、楽天市場、Yahoo!ショッピングともに、売上額の約3~5%をマージンとして支払わなければなりません。また現在は独自ドメインがとても安くなり、ランニングコストがあまりかからなくなっています。ですからお店のコンセプトを明確にして打ち出せば、最初から独自サイトでも成功することは可能だと思います。
けれども私は、モールに出店すること自体は否定しません。独自サイトでネットショップを立ち上げた場合には、ネットショップ経営を教えてくれるモールの担当者のような存在がいなければ、最初は集客に苦労するでしょう。その点モールには担当者がついてアドバイスしてくれます。たくさんの店舗を見ているので、集客のノウハウも豊富です。例えば私の場合は、最初は楽天のプレゼント懸賞を利用していました。当時は10~20万のお金を払って懸賞したときには、3万アドレスくらい集まりました。1万アドレスで100万円の売上が見込めると言われた時代でしたので3万アドレスで約300万円の売上予測です。10~20万の費用に対して非常にリターンが大きかったです。
ただし単純に「ネットショップを始めれば儲かる」などとよく考えないで出店すると厳しい状態に見舞われるかもしれません。モール側は店舗を集めるのが目的なので、オーナーを募集します。場合によってはあたかも簡単に出店できると勘違いする方もいるでしょう。しかしサイトを立ち上げ、成果を出すにはある程度の時間・労力・お金がかかることを理解して、望むべきでしょう。
サイトを複数持つメリット
モールも独自サイトも厳しさは一緒です。しかしそれではなおさら「独自サイトのショップにするか、それともモールに入るか」悩んでしまうでしょう。しかしどうしても迷っている場合は、どちらか一方を取捨選択する必要はありません。私の場合は独自サイトの和座本舗だけでなく、楽天市場の「和食器のセレクトショップ 和座」、Yahoo!ショッピングの「和座倶楽部」の3サイトを運営しています。どのサイトも同じ九谷焼を扱っていますが、それぞれサイトの性格によって扱う商品や販売戦略を使いわけています。というのも明らかに楽天のユーザーとYahoo!のユーザー、そして独自サイトのユーザーは顧客層が異なるのです。それぞれをまとめてみました。
楽天市場![]() |
Yahoo!ショッピング![]() |
独自サイト![]() |
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顧客層 | ネットショッピングに慣れており、自分のために買う人が多い | ネットショッピング初心者が多く、ギフト用として他人へプレゼントするために訪れる人が多い | 和座本舗の場合、比較的生活に余裕があり、高額な商品を求める人が多い |
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ラインナップすべき商品 | 一般にはあまり流通していない商品や、個性的なオリジナル商品 | 父の日、母の日、敬老の日、結婚祝い、内祝い用に購入されるため、広範囲の方に受け入れられるような商品 | 比較的高額な商品。売れ筋は1万5,000円~2万円 |
楽天市場にはネットショッピングに慣れた人が多いです。自分自身の趣味で商品を買われるので、一般にあまり流通していない商品やオリジナル商品もたくさん置いています。Yahoo!ショッピングには、ギフト用に訪れる人が多いです。インターネット初心者の人は、Yahoo!からショッピングに入ってくるからでしょう。
独自サイトの場合は、自分の好きなように作れますが、私の場合は、販売戦略としてある程度ターゲットユーザーを年齢層が高くて、生活に余裕のあるお客様の中心にしています。売れ筋は1万5000円~1万9999円(※サイト内の価格カテゴリ)です。5,000円以下の安価な商品は逆に売れにくい状況になっています。
このようにサイトを複数持つと販売戦略が立てやすくなります。例えば、高額商品を求めて訪れたお客様に「在庫処分です!」と安売りしている商品を紹介するのは間違いでしょう。ギフト用の購入ならお客様は安い商品ではなくそれなりの値段の商品を探しているはずです。また比較的安価で利用しやすい商品を探しているお客様に人間国宝の陶芸家の作品を紹介しても予算外で興味を持ってもらえません。サイトに合わせて商品を揃えることでユーザのニーズに応えることができたのです。また新商品を開発した場合は、楽天市場の中でテストマーケティングして、独自サイトへ、ブランド展開していくこともできます。
私の情報収集術
さてここまでのネットショップの経営について述べさせていただきましたが、最後に皆さんに最も効果の出やすい成功の秘訣を伝授したいと思います。ネットショップを成功させるためには、「優れたネットショップの話を聞くこと」です。ではこれらの情報をどこから手に入れれば良いのでしょうか。当たり前の話ですが、「人に会って聞く」しかありません。私も石川県から、毎月東京や大阪に出て行って多くのネットショップオーナーと出会いました。話の中で「どういうふうにメルマガを書けばいいのか」「どういった商品が受けが良いのか」などみんなで意見を出し合い、良いアイデアは共有するようにしていました。
最近ではネットショップの成功本も書店で見かけますが、本当に貴重な情報は書籍には出てきません。だから人と会うことが成功の近道です。そういう意味ではEC協議会のような多くのネットショップ店長が集まる場所は情報交換の場としてとても貴重です。ぜひたくさんの人と会ってください!