メルカリの利用率100%が示す「AI前提」の組織変革
本セッションには、生成AI活用の最前線を走る2名が登壇した。メルカリにて約2,000名の組織を「AIネイティブ」へと変革させるミッションを担うハヤカワ五味氏。そして、先端テクノロジーをいかに事業成長に結びつけるかの戦略アドバイザーとして、多くの企業を支援するPOSTSの梶谷健人氏だ。
セッション冒頭、ハヤカワ五味氏はメルカリにおける圧倒的なAI浸透率を明かした。同社では2025年5月より、100名規模の専門組織「AI Task Force」を発足させ、全部署での業務プロセス刷新を断行している。
「メルカリでは組織開発とプロダクトの両面から、生成AIを前提とした再構築を進めています。先日、社内のAIツール利用率が100%に達したというアップデートもありました」(ハヤカワ氏)
「AI前提」の組織において、変化はツール利用の枠を超え、意思決定のあり方にまで及んでいるとハヤカワ氏は指摘。梶谷氏も現状をAI活用のフェーズが劇的な進化を遂げていると語る。
対話から実行へ、AIエージェントが実務の提示を塗り替える
ハヤカワ氏からの「非エンジニアのビジネス職、いわゆる『ビズ職』において AIがどう仕事を変えていくのか」という問いかけに対し、梶谷氏は「AIへの捉え方には今、かつてないほどの二極化が起きている」と指摘した。
ある人は「最近のAIは進化が停滞している」と感じ、ある人は「凄まじい進化を遂げている」と熱狂する。この認識の差はAIエージェントを実務に組み込んでいるか否かに起因する。その象徴として梶谷氏が挙げたのが、AIエージェント「Claude Code」などの台頭だ。ChatGPTが「対話革命」だったとすれば、自律的にタスクを完遂するAIエージェントは「実行革命」があるという。
従来のチャットAIが「一問一答的な出力」であるのに対し、AIエージェントは目的を与えられると思考ステップを自ら分解し、必要に応じて外部ツールを呼び出しながら目標達成まで「自走」する。ハヤカワ氏は、その進化を目の当たりにした際のインパクトを次のように語った。
「衝撃的だったのは、AIが自分でToDoリストを作り、完了したものにチェックを入れていく姿でした。AIエージェントは単なるチャットではなく、人間の仕事の進め方に極めて近い存在です」(ハヤカワ氏)
梶谷氏がClaude Codeで実践しているワークフローでは、5体のAIエージェントが並列で稼働し、最終的には40ページものプレゼン資料を自動で作り上げてしまうという。
「Claude Codeという名で誤解されているかもしれませんが、コーディングツールではなく、複数のエージェントを指揮するためのマネジメントツールといえます。AIエージェントを使うと自分の手元にタスクというボールが残らず、最後までやりきってくれる。まさに実行革命なんです」(梶谷氏)
AIが単なる「相談相手」から、指示を完遂する「実務の実行者」へと変貌した事実は、マーケターの役割そのものを根本から揺さぶっている。
