「ノンバーバル・ハック」で世界同時トレンドに
まずは年始に話題となった、日本と海外共通のトレンドを見ていきましょう。ここでのキーワードは「非言語の共通項」です。
事例1:2026年は新しい2016年?「#2016」「#2026isthenew2016」
2026年1月頃、#2026isthenew2016や#2016というハッシュタグとともに、2016年あたりに流行った音楽やフィルター、チャレンジ動画を再現した投稿が海外のZ世代を中心に話題となりました。日本でも同様に1月後半に話題量が最大となっています。
彩度が調整されたフィルターや犬・花冠のフィルターなど、象徴的な加工はパッと見てすぐに認識・理解ができ「懐かしい」という共感が広まったと考えられます。また、流行った時期が2016年頃と区切りの良い“10年前”であることから、記号化しやすく一種のフォーマットとしての役割を果たしたのではないでしょうか。
そして、このトレンドではグローバルと日本で流行りの盛り上がりタイミングが同じだったことが特徴としてあげられます。海外起点のトレンドは、日本には遅れて流入する場合が多く、推移グラフが異なる場合が多いです。しかし、今回は「2016年」とその動画の印象が世界共通の認識としてインプットされていたために同時期に盛り上がったと考えられます。
事例2:miniVlog
#miniVlog というハッシュタグと共に、横型で10秒程度のVlog投稿が1月〜2月にかけTikTokやInstagramで話題になりました。もともと「miniVlog」という言葉自体は存在していたものの、こちらも#2016同様に、#miniVlogが一つのフォーマット名として浸透したものです。特徴的な要素は下記の3点です。
- 横型
- 広角のカメラワークを使用する
- 効果音に合わせた動きを取り入れる
TikTok、Instagramのリール=縦型のイメージが強いですが、あえて横型で撮ることにも新しいminiVlogの形としての面白さがあり、真似したい要素として機能したと考えられます。
一見簡単そうな動画ですが、素材撮影から編集まで作り手のこだわりが試されるポイントも多いため、「作ってみたい」という気持ちと、「オリジナリティ」の発露をどちらもうまく反映させることができ、広まっていったのではないでしょうか。
事例3:混ぜたら混ぜたら何色なるかな
最後は日本から世界に広まった、「どこでもジャンボリー」というファミリー向けアカウントの発信事例です。
「♪赤!黄色!混ぜたら混ぜたら何色なるかな? オレンジ!」のように、「混ぜたら混ぜたら何色なるかな」という質問形式のフレーズを、耳に残りやすいリズムとともに視覚的変化も合わせて答えを見せるシンプルな動画です。
大元の投稿では実際に絵の具を使って混ぜる動画になっていますが、アレンジしたユーザーの投稿では、文字を使って色を表現する・変化後の色で自分も変身するなどのアレンジが見られました。
特に変化後の色に合わせたメイクやコスプレなどは海外ユーザーの間でも投稿され、混ぜたらが #masetala (#mazetala)とハッシュタグとして活用され広まっていきました。
今期の施策に活かす「フォーマット」のポイントとは?
これら3つの事例から、フォーマットを象徴する記号が世界共通で理解できる内容になっていることが、言語や文化を超えて広まる理由になると考えます。
今回ご紹介してきた事例は、一過性のトレンド=ミームのように見えるかもしれません。しかしその流行りの背景にある、「世界共通のインサイト」や「アレンジ欲求」をうまく転換することで施策としての落とし込みにつなげることができると考えます。
「ミームを狙いに行く」のではなく「ミーム化しやすい『ガワ(外枠)』を貸し出す=フォーマット化」という発想が2026年のソーシャルリスニングから導き出された、施策の「勝ち筋」となるのです。
ユーザーを情報の「受け手」ではなく、トレンドを共に作り上げる「共創者」と捉え、彼らにとって魅力的な「型」と「動機」を提供すること。それが、今のスピード感あふれるタイムラインの中で、一過性のブームで終わらせないための鍵となるのではないでしょうか。
