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ゲーミフィケーション入門

ゲーミフィケーションとは何か? 概念の基本と現状

ゲーミフィケーションへの注目度と関連分野

英語圏から飛び火、グローバルレベルのトレンドに

 ゲーミフィケーションというコンセプトは、英語圏で最初に提唱され始めました。Googleトレンドを見ると、昨年12月頃から検索件数が急速に伸びていることが分かります。

「Web2.0」「gamification」「social CRM」をGoogleトレンドで比較した結果
赤い線が「gamification」を表し、昨年末から登場して増加傾向にあることが分かる
「Web2.0」「gamification」「social CRM」をGoogleトレンドで比較した結果<br>赤い線が「gamification」を表し、昨年末から登場して増加傾向にあることが分かる

 今年の1月には、サンフランシスコで「ゲーミフィケーションサミット」という初めての専門カンファレンスが開催されました。この9月には、ニューヨークで第2回の開催が予定されています(その模様はgamification.jpの方でレポートする予定です)。

 また、今年の4月にガートナー社は、次のような予想を発表しました(参考:Gartner Says By 2015, More Than 50 Percent of Organizations That Manage Innovation Processes Will Gamify Those Processes

  • 2015年には50%以上の企業がゲーミフィケーションのプロセスを導入する
  • 2014年にはグローバル2000企業の70%の企業でゲーミフィケーションが何かしら使われることになる

 同社では「テクノロジーハイプサイクル」という技術トレンド予測マップを定期的に更新し発表していますが、先日、このマップにもゲーミフィケーションが登場しました(参考:Gartner Adds Big Data, Gamification, and Internet of Things to Its Hype Cycle:ReadWrite)。

ガートナーが先日発表した「テクノロジーハイプサイクル」
5年~10年のうちにメインストリームになる技術として、「Gamification」が登場している
(※引用元:Gartner's 2011 Hype Cycle Special Report Evaluates the Maturity of 1,900 Technologies
ガートナーが先日発表した「テクノロジーハイプサイクル」<br>5年~10年のうちにメインストリームになる技術として、「Gamification」が登場している<br>(※引用元:Gartner's 2011 Hype Cycle Special Report Evaluates the Maturity of 1,900 Technologies)

 この分野に特に注目して投資活動を行っているベンチャーキャピタリストTim Chang氏は、次のように言及しています。

「現在使われている言葉としては流行語といっていい。今後は、おそらく1年もすれば意味のない言葉になるのではないか。なぜかと言えば、ゲーミフィケーションはどこにでも見られるようになるからだ。ちょうど、ソーシャル関連のものが何か別のマーケットのものとして思われていたようにだ。ただ、ソーシャルとは何かということが様々に考えられた結果、あらゆるものにソーシャル要素が織り込まれるようになった。なので、ゲーミフィケーション企業が登場するというよりは、ゲームメカニクスが色々なところで使われているのを目にするようになる、ということになるのだろう」

 

※引用元:VCs see tough and exciting landscape for game startups:VentureBeat

 同時に「ゲーミフィケーションは1つのレイヤーとして機能するようになるだろう。ソーシャルやモバイルが、現在我々が体験しているあらゆるサービスのレイヤーとして機能しているように」ともあります。

ゲーミフィケーションの関連分野

 ゲーミフィケーションというコンセプトは、様々な業界・分野と関連しており、注目を集めています。

 1つは、もちろんインターネット業界です。ソーシャル性を有効に活用するデザイン手法として、ゲーミフィケーションを既存のWebサービスに施すためのSaaS提供企業が登場し始めています。最初からゲーミフィケーションの要素を取り入れたBtoCサービスも、多く見られるようになりました。

 また、ゲーム業界からも注目されています。ゲームメカニクスをゲーム以外の分野に活用する試みとして「シリアスゲーム」(※注)というものがありました。この文脈においてゲーミフィケーションが取り上げられるようになり、2011年のGDC(ゲーム開発者会議)では「ゲーミフィケーションデイ」が開催されました。

※注:シリアスゲーム

 教育などを主目的とするコンピュータゲームのジャンル。「英語漬け」などが代表例

 もちろん、マーケティング業界でも注目を集めています。顧客ロイヤリティをテーマとするカンファレンス「ロイヤリティエキスポ」でも、ゲーミフィケーションが取り上げられました。新たなロイヤリティ維持のための手法として、捉えられ始めていることがうかがえます。

 興味深いことに、心理学の分野ともゲーミフィケーションは関連があります。動機付けに関わる理論はゲーミフィケーションを考える上でなくてはならないものですし、人間の基本的な欲求や感情のあり方も大変に参考になります。

 こうした様々な分野での議論を見ていると、現時点では賛否両論の意見が展開されていることが見て取れます。表層的なテクニックに過ぎないという意見もあれば、今後の顧客リレーションを考える上で、なくてはならないものだという意見もあります。

 いずれが正解かは時間が経たなければ分かりませんが、その可能性を信じる者の一人として皆さんにゲーミフィケーションの面白さを、本連載を通じてお伝えしていきたいと思います。

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この記事の著者

深田 浩嗣(フカダ コウジ)

15年にわたりモバイル領域でのデジタルマーケティングを提供しECを中心に200社以上のWebサイト立ち上げ・改善を実施。2014年、株式会社Sprocketを設立、Web接客手法でコンバージョンを最適化するツール「Sprocket(スプロケット)」を開発・販売する。短期的なCVRの向上にとどまらず、中長期的なLTVの向上を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2011/09/09 11:00 https://markezine.jp/article/detail/14354

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