米Grouponも苦戦、後発参入の楽天はどこまで食い込めるのか
国内企業が席巻している中国共同購入クーポン市場。海外企業ももちろん参入していますが、大きな苦戦を強いられています。
米Grouponは、2011年2月からインスタントメッセンジャーサービスの最大手QQを運営するテンセントと共に「ガオポンワン(高朋網)」という名称でサービスを開始しました。しかし、今年7月時点で売上は月3,700万元(約4億4千万円)。「ラーソウ」「メイトワン」などが単月1億元(約12億円)を突破したと報道されていますので、それと比較すると低調なようです。

「ガオポンワン」は中国市場においては後発として参入だったことから、競合の共同購入クーポンサイト運営企業から人材を2~3倍の給与で引き抜くなど、リクルーティングにおいて積極的な投資を行いました。しかし、売上以上に人件費の支出が多くなっており、いくつかの地方都市オフィスは既に閉鎖しています。さらに、大都市の上海や杭州などのオフィスでも500人近いリストラを行ったことが2011年9月に報道されました。
また、Googleも違った切り口から中国共同購入クーポン市場に参入しています。同社は、2011年9月から「時恵」というサービスを開始しました。仕組みとしてはGoogleが自ら掲載企業の募集や決済をするのではなく、各クーポン情報を自動的に検索・表示するというものです。いわゆる“クーポンまとめサイト”と呼ばれるサービス形態です。

余談になりますが、Googleは先日、「ICPライセンス」の検査に合格しています。ICPとは中国各地の通信管理部門によるインターネットでビジネスを行うにあたり必要な、経営許可証に当たります。この許可書がないと、中国では違法でビジネスを行っていることになり、見つかり次第サイト閉鎖やアクセス不可になってしまいます。
昨年、Googleは中国において検索事業からの撤退を表明していますが、ICPライセンスを取得したということは、中国での事業展開に対してまだ模索を進めているということが考えられます。Google全体の規模からすれば、「時恵」のビジネスインパクトはほぼ無いかと思いますが、何らかの形で中国におけるプレゼンスを維持するために、今回のようなサービスは必要なものなのかもしれません。
このように、米Groupn、Google共に中国の共同購入クーポン市場においては、残念ながら大きな成果を出せているとは言いがたい状況です。
そうした中、2011年6月に楽天(中国では「楽酷天」)が百度と共同で「歓楽団」というサービスを立ち上げ、中国共同購入市場へ本格的に参入しています。米Groupn以上の後発参入ながら、サービスや品質を厳しく監視することで勝算はあると判断したようです。日本企業のお家芸である「安心・安全」を武器に、今後どこまで食い込むことができるかに期待がかかります。

ここまでは中国の共同購入市場の黎明期から最近の状況までを解説してきましたが、次に中国独特の共同購入サービスを紹介していきます。