市場規模は約7,500億円、衰えを知らぬ中国共同購入クーポン市場
一時の勢いは大分落ち着いてきた感のある共同購入クーポン市場。最近では、米Grouponが相場変動を理由に予定していたIPOを延期したり、米facebookが共同購入事業「Deals」を開始からわずか3ヶ月で撤退するなど、先行きに不安が出てきているのは否めない状況です。
米国同様に、日本の共同購入市場も下降トレンドを見せており、7月、8月と2ヶ月連続で共同購入クーポン運営企業の総売上の減少し、運営企業の統合・撤退が相次いでいます。
今や世界最大のネット利用者抱える中国においても、他国同様、昨年から共同購入クーポンサービスがブームになりました。共同購入クーポンサービスは中国では「団購」と呼ばれており、2010年度のヒット商品ランキングでも上位に入っています。
しかし、他国と違いブームは衰えていません。国広州日報によると、共同購入クーポンサービスの市場規模は2011年は約600億元(約7,533億円)にまで拡大し、前年度と比べ40%増加すると予測されています。さらに、今後数年に渡り年平均50%増で市場規模が推移すると言われています。2011年における米国の共同購入クーポン市場の市場規模は27億ドル(約2,067億円)、日本が約350億円。これらと比較すると、その市場規模の大きさが窺い知れます。
一方で、その急速な市場規模拡大に伴い、現在の中国には5,000を超える共同購入クーポン運営企業があると言われています。人口13億人の国と言えども、さすがにこれは過当競争であることは明らかです。そのため、今後中国の共同購入クーポン市場は、米国や日本同様に合併や事業停止する企業が増えてくると予想されています。
上位は国内企業が席巻、最大手はベンツが3時間で売り切れる
群雄割拠の中国共同購入クーポン市場ではありますが、徐々に優劣も付き始めています。
SBIリサーチが発表した「2011年3月中国共同購入サイトランキング 一日平均訪問者数TOP10」によると、アリババグループが運営する「タオバオジューファーサン(淘宝聚划算)」が1,371万人でトップ、そして2番手の「ラーソウ(拉手網)」が746万人、次いで「メイトワン(美団網)」が512万人となっています。
「タオバオジューファーサン」は、登録者数3.7億人、平均訪問者数は1日あたり6,000万人と膨大な利用者を抱えるECモール最大手タオバオの強みを最大限に活かして送客し、成功していると言えます。
少し古い話にはなりますが、昨年タオバオが共同購入クーポン市場に参入した際、定価17.6万元(約210万円)のメルセデスベンツ Smartを13.5万元(約160万円)の23%引きで出品したところ、わずか3時間で200台売り切り、中国全土で大きな話題となりました。大幅に値引きしているとはいえ非常に高価な商品であることから、当初は3週間をかけて行われる予定だったそうです。
もちろん、「タオバオジューファーサン」はこのような高額商品ばかりを売っているわけではなく、最大99%OFFで提供しているものまであり、商品ラインナップがバラエティに富んでいるのも特徴です。
2番手以降の「ラーソウ」と「メイトワン」は両者とも独立系です。共同購入サイト市場勃興期の2010年初頭に開設されており、市場の可能性を早期に嗅ぎ付けスムーズに事業を立ち上げたことで先行者利益を獲得し、今でも競争優位性を保っています。「ラーソウ」に関して言えば、2011年9月に米国でIPOを計画していることが報じられており、業績も順調なことが伺えます。
なお、「ラーソウ」創業者の呉波氏は過去に不動産の情報サイトを運営、「メイトワン」創業者の王興氏は初期facebookと似たコンセプトを持つ大学SNS「校内網」を立ち上げた実績をもっています。2社共に、インターネットビジネスを熟知したトップによる指揮の下、独立系でも十分に戦える結果を残していることが分かります。