回答
情報サイトにおいて、クリック1回だけで登録完了とみなし、利用料金を請求する詐欺手法のことを、「ワンクリック詐欺」といいます(三省堂・デイリー新語辞典)。
「ワンクリック詐欺」の特徴は、
- 勝手に届いた電子メールに記載のURLをクリックすると、一方的に「契約」の成立を主張する点
- 料金の支払方法のほとんどが銀行振込によるもので、振込先の口座は架空口座のことが多い点
- 携帯電話の個体識別番号やGPSを使った位置情報、IPアドレス、契約しているプロバイダなどを表示し、これにより個人情報を得ることが可能であることを主張した上で、入手した個人情報に基づき債権回収や訴え提起を行う旨を警告する点
などにあります。ご質問のケースは、電子メールに記載されたURLを1回クリックさせただけで、契約の成立を根拠として登録料3万円をユーザーに請求するというものですので、典型的な「ワンクリック詐欺」に該当するといえるでしょう。それでは、相手方のユーザーに対する登録料3万円の請求は、法律上有効なのでしょうか?
この相手方の請求は、ユーザー・相手方間の契約に基づくものと考えられます。しかし、契約は当事者間の意思の合致が必要となりますので、ユーザーがURLを1回クリックしただけでは、ユーザーと相手方との間に意思の合致があると評価することはできません。また、契約内容が記載された規約すら存在しない場合には、当事者間でいかなる内容について意思の合致があったのかを特定することができず、いずれにおいても契約は成立していないと考えることができます。このように、相手方のユーザーに対する登録料3万円の請求は、法律上根拠のないものといえます。
それでは、単に電子メールに記載されたURLをクリックさせるのみならず、規約が表示されたダイヤログ画面内の「OK」をクリックさせることによって自働登録となる場合は、相手方のユーザーに対する登録料3万円の請求は、法律上有効なのでしょうか?