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eMetrics Marketing Optimization Summit, New York, 2011

Web解析・広告で個人情報をどう扱うべきか?
プライバシー対策としての「Do Not Track」の現状と課題


現実には課題が多いDo Not Track

 こうして動き出したDo Not Track。2011年11月現在、Firefox 4、IE 9、Safari 5.1以降のWブラウザに実装されている。しかし、Firefox以外は設定方法が分かりにくいなどの問題もある(※)。

※著者注

10月31日には、オプトアウトの設定変更には課題が多いとするユーザビリティ調査結果がカーネギーメロン大学から発表された。

 また、Do Not Trackの普及にあたり、まだ定義すべき点が残っている。

行動ターゲティング以外にどこまでを対象とするのか?

収集と活用:

 ベンダーは、オプトアウトしたユーザーのデータ活用を停止するのみで、収集は続ける。しかし、FTCはデータ収集もNGと主張する。収集と活用をどう考えるべきか?

ファーストパーティとサードパーティ:

 サイト運営者ではないサードパーティによる追跡が規制対象となるのは分かりやすいが、ファーストパーティ(サイト運営者)によるマーケティング活動も対象とすべきか?

表示頻度の調整:

 同じ広告を何度も表示しないようにするのもNGか?

アクセス解析:

 個人を特定しない形で集計するアクセス解析やリサーチはOKか?

Do Not Trackを、どのように広めていくのか?

 現状は、法律による規制が無い。Do Not TrackはHTTPヘッダでオプトアウトの意思を表明するだけの仕組みなため、各ベンダーがそれを読み取って対応しないと意味が無い。自主規制のみで、どこまで強制力を持たせられるのか? 法的な規制や罰則は必要か?

 EUにおける法規制の動きとどう歩調を合わせるべきか?

 という疑問を投げかけ、質疑応答でも明確な結論は出ないまま、セッションは終了した。難しい問題であり、議論と調整を続けていく必要があるのだろう。

アクセス解析関係者が日本でできること

 というわけで、Chrome以外の主要ブラウザへの実装は終わったものの、実質的にはまだ機能していないDo Not Track。Googleはまだ、あいまいなDo Not Trackに対して静観を続けている。マイクロソフトはIE 9での対応を終えたものの、Do Not Trackのみでは不十分とし、独自のプライバシー保護機能も提供している。AppleはOS X Lionに付属のSafari 5.1に実装したものの、「開発」メニューを表示しないと設定を変更できないため、実験的な実装をしたのみだ。さらに重要なのは、Do Not Trackに準拠する広告系のベンダーがまだ少ないことだろう。

 一方、EUでは厳しすぎる法規制と国により異なる解釈・対応のため、サービス提供側にとっての負担が増え、カオス状態が続いている。最近は当のFTCも、“時期尚早であり、時間をかけて議論していく必要がある”というスタンスをとっているようだ(参考記事:FTC official: Do not count on Do Not Track just yet:Cnet)。

 いずれにせよ、プライバシー保護は時代の流れであり、ブラウザなどの仕様が変われば日本も直接的な影響を受けるため、議論や対策を進めておく必要がある。そこで、筆者が考える「アクセス解析関係者が日本ですべきこと」を紹介し、本稿を締めくくりたい。

  • 計測データの内容と必要性を見直す
  • プライバシーポリシーに取得データの内容と目的、オプトアウトの方法を明記する
  • 利用しているCookieの棚卸をする
  • サードパーティCookieを利用している場合は、ファーストパーティCookieへの移行を進める
  • WAA(Web Analytics Association)の「Webアナリスト倫理規定」(Code of Ethics)を読んで理解し、賛同する場合は署名する

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この記事の著者

清水 誠(シミズ マコト)

Webアナリスト/改善リーダー。

1995~2004年まで凸版印刷・Scient・RazorfishにてWebコンサルティングやIA・UI設計に従事した後、事業会社側へ転身。UX/IAやデジタルマーケティングの導入による社内プロセス改善の推進と事例化を行っている。ウェブクルーでは開発・運用プロセスを改善し上場を支援、日本アムウェイでは印刷物のデジタルワークフローとCMS・PIMを導入、楽天では...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/25 17:36 https://markezine.jp/article/detail/14697

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