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全体最適を実現するために重要な概念─「統合マーケティング・マネジメント」

 普段のマーケティング業務の中で、「会社として整合性が取れていない」と感じてしまう場面はないだろうか。製品ありき、現場主導で動く日本企業では、部門・担当者間の壁が情報共有を妨げ、業務が属人化。大局に立って全体最適を進めることが難しくなっている。だからこそ重要な概念だとSAS Institute Japan株式会社が提唱するのは「統合マーケティング・マネジメント」という考え方。個別最適の弊害に陥りがちな日本企業が成長を続けるために、一層重要な考え方になるという。

全体最適を実現するために重要な概念「統合マーケティング・マネジメント」

 製品・サービスごとにマーケティング担当者が割り当てられている組織では、次第に属人的な業務が増えていってしまう。すると、製品・サービス単位、キャンペーン単位での個別最適化は推進されるが、個別最適化が行き過ぎた結果、全体最適が損なわれてしまうリスクがある。

 典型的なのは、メールマーケティング。メールを送るコストはほぼ無料であるため、製品・サービス単位やキャンペーン単位での最適化を図ろうとすると、会員宛に送信するメール数が際限なく増えていってしまう。だが、メール通数が増え過ぎると、会員から「この会社から届くメールは価値がない」と見なされてしまい、その会社に対するロイヤリティが著しく損なわれてしまうかもしれない。

 そのような個別最適ではなく、全体最適でマーケティング活動を組み立てていくためには、統合的にマーケティングをマネジメントする仕組みが必要――。ビジネス・アナリティクスのリーディング・カンパニーであるSASはそう考え、「統合マーケティング・マネジメント」の必要性を提唱している。

マーケティング部門が抱える難易度の高い課題を解決

 マーケティング部門に対しては、

  • 一貫したメッセージを打ち出して、ブランド力を強化する
  • 伝統的な手法と最新のデジタルマーケティングを駆使して、ブランドロイヤリティを確保する
  • 顧客理解を進め、最適なセグメンテーションを行い、質の高い顧客体験を提供する
  • 顧客の声を傾聴して、製品・サービスにフィードバックする
  • パフォーマンスの可視化・分析を進め、説明責任を果たし、投資対効果(ROI)を継続的に改善する

 といった難易度の高い課題が課せられるようになってきているとSASは分析している。

 こうした課題を乗り越えていくためには、プランニングから、予算、リソース、スケジュール、コンテンツ、さらにはワークフローなども統合的に管理する仕組みを導入する必要があるという。

 「『統合マーケティング・マネジメント』という概念の下、いきなり『今までやってこなかったことをやりましょう』という話ではありません。今までも顧客データを使って、顧客に合った文脈でマーケティングすることは意識してきたはずです。それがだんだんと難しくなったというのが正直なところで、マス広告だけでよかったのにチャネルが増えてきて、メール、Web、ソーシャルメディアなども駆使しないといけなくなってきました。

 ソーシャルメディアが浸透してきた現在、整合性の取れたアクションを実行していかないと、顧客に不快な体験をさせてしまい、悪い評判が口コミで伝播してしまいます。今まで以上に気を使わないといけなくなってきているのです。

 ところが、マーケティングを担う組織は、メディアごと、あるいは製品・サービスごとに分かれていて、同じ思いを共有していても行動レベルではずれが生じてきています。1人の顧客に対して全体最適を図ることが難しくなっているのです。ですから、マネジメントの仕組みだけでも統合して、個々の取り組みがずれないようにコントロールしていくことが必要になってきているわけです」(SAS Institute Japan株式会社 ビジネス開発本部 CIグループ部長 高橋昌樹氏。以下、同)

SAS Institute Japan株式会社
ビジネス開発本部 CIグループ部長
高橋昌樹氏
SAS Institute Japan株式会社 ビジネス開発本部 CIグループ部長 高橋昌樹氏

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/09/28 13:10 https://markezine.jp/article/detail/15367

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