ビジネス的な期待が高まるLINE
みなさんLINEは使われているだろうか? スタンプを送るのが楽しくて楽しくてついハマっちゃった愛好者もいれば、いい大人がこんな子供ダマシはやってられないと傍観されてる方もいて、おそらくハッキリと分かれるんではないだろうか。あるいは「電話帳をアップロードするなんて、そんな危険なことできません!」という慎重派もいらっしゃるだろう。
筆者はどちらかというと、いい年こいたオッサンにしては使っているほうだろう。試しに仕事用の連絡にも使ってみたことがあるが、ビジネス局面での利用も想定されているSkypeなどと違って、LINEはあくまでプライベート空間で使うのが合っている。何かの間違いで「決裁印」スタンプが装備された「ビジネスLINE」でも企画されたりしないかぎりは。
さて、自分が使う使わないは別として、この8月17日に世界5,500万人・日本国内2,500万人を突破した巨大なユーザーベースに対して、ビジネス的に期待しないひとはいないだろう。22日のバージョンアップ(Android版)ではついに仮想通貨である「LINEコイン」が導入された。「LINE占い」に「LINEクーポン」とポータル的なコンテンツも矢継ぎ早に投入され、ビジネス展開への期待は高まるばかりだ。
LINE IDの危うさと、地味に導入された「友だちを紹介」機能
その一方で、男性10代や女性20代といった若い世代の利用者が目立つだけに(インターネットメディア総合研究所の調査による)、プライバシーの問題も取り沙汰されている。8月24日には読売新聞が「スマホ無料通話ID、掲示板で「新・出会い系」」という記事を掲載し、不特定多数が簡単につながることができる「LINE ID」の危うさを指摘した。
このLINE IDは、実は非常に便利な機能で、筆者もLINEのグループ機能を試すために実験的なグループチャットをFacebookで呼びかけて立ち上げた際に、新しい知人をグループに追加するのに大活躍だった。携帯電話の電話番号だけでつながるというシバリの厳しいLINEにあって、携帯の電話番号は知らないがメールやSNSでは日常的に連絡を取っている知人とつながるため、LINE IDはなくてはならない必須の機能だと言えるだろう
ただ、このように「出会い系」扱いされるようになると、今後はLINE IDの利用になんらかの制限がかかってくることも想定される。回数や頻度で制限するとか、共通の知り合いがいない遠い利用者同士はつながれないとか、ひょっとするとLINE IDそのものの廃止まで検討されているかもしれない。
そんな中で導入された「友だちを紹介」機能は、ほかの多くの友だち管理機能とともに導入されたので、地味であまり目立たない印象があるが、今後のLINEがどのような方向に進むかを示しているようにも思える。
つまり、まったく知らないひとにいきなりつながるのではなく、明示的に紹介してくれる共通の知り合いを介して、あくまでリアルな知り合いだけを愚直に増やしていこうという方法だ。安易な拡大に向かうのではなく、あくまで小さくてリアルなソーシャルグラフにこだわり、堅持させようという意志を感じさせる。