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モーリ・タローの投げっぱなしソーシャル

ソーシャルグラフ“全部入り”のFacebook、小さくてリアルなソーシャルグラフへの意志を示したLINE

FacebookとLINE、この対比にはこれからも注目せずにいられない

 そのほか最近のソーシャルにおけるプライバシーの問題としては、Facebookでメールによってチャット/メッセージのなりすましが可能という問題が指摘された(「Facebookのメッセージは送信者を自由に偽装して送れることが判明」および「Facebook message spoofing via SMTP」を参照)。

 これはそもそもメールという古いインターネットのシステムが、なりすましやSPAMという悪意を想定して設計されていないことにも問題があり、現実にいまのメールはそういった悪意をフィルタリングしてから情報を読み分ける、ノイズの多いメディアになってしまっている。

 一方で、ソーシャルシステムにおけるチャット/メッセージの仕組みは、確実に相手が知り合いと特定できるところで利用されるもので、メディアの信頼度・親密度が格段に高い。Facebookの手抜かりは、そういった特性のまったく違う2種類のメディアを統合してしまったところにあると言えるだろう。

 ここで肝心なのは、Facebookはもはやオープンとかクローズドといったひとつの見方を許さないことだ。とことんクローズドなチャットやメッセージ、秘密のグループ活動にも利用できるし、とことんオープンにフィードを公開して炎上もできる。Facebookが目指すのは、ソーシャルグラフの「全部入り」だ。

 そうであれば、ノイジーなメールですらシステム内に取り込もうとするのはFacebookの必然の流れだろう。デフォルトの表示アドレスを@facebook.comのみにして問題にもなったが、GoogleのGmailの独擅場だったモダンなWebメールの世界に、MicrosoftがOutlook.comで乗り込んできたこともあり、メールに対してFacebookが今後どういうソリューションを提案してくるかは興味深いところだ。

 オープンなインタレスト・グラフから秘密の関係まで、すべてのソーシャルグラフを1サービスでカバーしようという壮大なFacebook。あくまで小ぢんまりとリアルな知り合いとだけつながることを徹底させるLINE。この両者の対比はほんとうに面白く、どちらが主流となりうるのか、あるいは補完しあって両立するだろうか。

 それにしても、LINEがソーシャルグラフを必要最小限に抑制しているため、かつては「排他的」とまで言われたFacebookが、最近では「オープンなSNS」と言われるようになっているのは面白い状況だと言えるだろう。

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モーリ・タロー(モーリ タロー)

フリーダムなIT系編集者・ライター
90年代半ばからIT系書籍編集者として『FreeBSD徹底入門』『ウェブログ入門』『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』などを手がける。
2008年に独立し、ソーシャルメディア、オープンソース関連を中心に執筆活動を行う。
2012年4月から、株式会社はてな シニア・エディター。

●hatena: http://www.hatena.ne.jp/mohri
●twitter: http://twitter.com/mohri
●Facebook: http://www.facebook.com/imkt5l

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2012/08/31 12:00 https://markezine.jp/article/detail/16316

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