大きなダメージをもたらす小さなミスを探せ
内容や表現と同じくらい重要なのが表記だ。誤字、脱字といったミスをそのままにしておくと、損害を被ったり、信用を失うこともあるので注意が必要だ。
コピーの検品ポイント7:文章を整える
リーダビリティに気を配ろう。長すぎるセンテンスは短くできないか再考する。漢字が続く場合は、ひらがなやカタカナに変えてみる。重要なコトバは『 』などで強調する。不要なコトバ、たとえば接続詞、修飾語の多用で冗長になっていないか、コトバはなるべく節約して簡潔なセンテンスを心がけよう。(第10回を参照)
コピーの検品ポイント8:表記の確認
表記のミスは恐ろしい。一文字の間違いで大きなダメージを生んでしまうからだ。たとえば価格、数字が違うととんでもないことになる。商品名、企業名、ブランド名も然り。それぞれ表記のレギュレーションが定められている場合が多い。
カタカナか、英語か、略称か、ルールを確認して書くこと。表記ミスを重く見る人は多い。怒られるだけでなく、担当を外されることもあるので気をつけたい。
また、同じような商品でも名称が異なることが多い。たとえば「宅急便」と「宅配便」、 「牛丼」と「牛めし」といったようにライバル企業同士で登録商標などそれぞれ独自の表現を使っているケースもあるので間違えないこと。
それから差別や偏見をあらわすような言葉は使わない。隠語や俗称もダメ。「スチュワーデス」は「客室乗務員」に。「スッチー」はもってのほか。表記のガイドラインについては、新聞社や出版社で使われている『記者ハンドブック』という本を参考にするといい。
コピーは必ずしも正しい文法や正しい言葉づかいで書く必要はない。しかし、読み手に対する礼節や法律(例:薬事法)はしっかりと守って欲しい。
最後にひとこと
さて、以上のような厳しい品質チェックを通って、あなたのコピーは完成する。書き直しに苦労するかもしれないが、その分コピーの品質は初稿と比べて見違えるようにグレードアップするはず。胸を張って世に出せるのだ(まぁ、その後ズタズタにされることもあるので覚悟は必要だが)。
今度こそ、自信を持って送信ボタンを押そう。さぁどうぞ。よい結果になりますように。そう祈りを込めて。……と言うわけで今回が最終回です。1年間のご愛読ありがとうございました!

●「売る」文章51の技(有田憲史/翔泳社)
手前味噌で恐縮ですが、私の著書です。キャッチフレーズのハウツー本はたくさんありますが、ボディコピーなど長めのコピーのノウハウについて書かれた本がほとんどないので作りました。読ませる表現や構成について基本から実践的なノウハウまで、例文を使ってやさしく解説しました。長めのコピーが苦手な方におススメです。
Webの記事を読むのもいいけれど、リアル有田憲史さんに会って直接講義を受けませんか?
「コピーの中で最も重要なキャッチフレーズの作り方」「説得力アップのためのフレームワークとレトリックの紹介」の2点に重点を置き、動かす、読まれるWebコピーの発想と作り方を伝授します。キャッチコピー、ボディコピーを実際に書いていただき、その場で講師が添削するワークショップの時間を設けています。