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信用リスク管理とデータドリブンマーケティングは、統計的数理モデルの目的変数(ゴール)が表と裏の関係にある

2012/10/02 11:00

 前回解説した、金融工学の「信用リスク管理」と「データドリブンマーケティング」の共通点、そこから導きだせる可能性について、トランスコスモス・アナリティクス社長 河野洋一氏が解説。課題でもあるデータサイエンティストの育成、分析の精度とスピード、激化する情報戦を勝ち抜くために必要な戦略とは?

将来の優良顧客も「統計的数理モデル」で予測できる

 アドビ システムズ代表取締役社長のCraig Tegel氏は、データドリブンマーケティングとは「適切なデータを収集し、魅力的なデジタル体験を適切な人とデバイスに適切なタイミングで提供することだ」と述べている。おりしも「ビッグデータ」というキーワードがメディアを賑わせている昨今、データドリブンマーケティングに必要な「適切な」データを、部門横断的に「適切な」かたちで収集、蓄積することは極めて重要であり、がむしゃらにデータを集めてゴミの山をいくらほじくって俯瞰、分析してみても結果としてゴミしか出てこないだろう。これを"Garbage in Garbage out"と呼び、まさに、2000年代初頭の情報システム部門主導のデータウエアハウスブームの失敗の主因でもある。

 前回解説したクレジットカード会社の初期与信、途上与信業務で収集されたデータは今風の言葉でいうところのまさにビッグデータであり、極めて信憑性と鮮度が高い。これを単に信用リスク管理のみに利用するのは実にもったいないと思う。

 実は信用リスク管理とデータドリブンマーケティングは表と裏の関係にある。初期与信、途上与信で統計的数理モデルを活用しデフォルト率が高い顧客を予見できるということは、裏を返せば将来VIPになる顧客を予見できるということに等しい。まさに、Tegel氏が言う「適切な人」を特定することが、信用リスク管理の統計的数理モデルで可能ということだ。

 VIPになる確率が高いと予見される顧客に対しては、初期与信すなわち入会時に丁寧な電話によるアウトバウンドや電子メールの送付により、入会してくれたことに心から感謝の意を表すと同時に、サービスの詳細を説明し、自社のファンになってもらうきっかけを創ればよい。

 途上与信段階においては、たとえば今月の請求金額の照会のためにサイトを来訪したタイミングで、顧客が次に購入したくなる、あるいは行きたくなるようなお店のユーザーレビューを過去の利用履歴に基づいてレコメンドし、LTV(Life Time Value)を上げるきっかけを創る、あるいはリボ払い等を紹介し、顧客の利便性を高めCS(Customer Satisfaction:顧客満足)向上を図ればよいのである。

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