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信用リスク管理とデータドリブンマーケティングは、統計的数理モデルの目的変数(ゴール)が表と裏の関係にある


ナレッジ化が不可能なマーケティング施策は「施策」とは呼べない

 IBMの「IBM Global CEO Study 2012」によると、70%以上のCEOが「個」客を理解するためには、その変化に即時に対応するために「分析力」を強化することが重要と述べている。収集可能な「個」に関するデータ量はインターネット、特にECとスマートフォン、ソーシャルメディアの急速な普及により爆発的に増えつつある。2011年のデータ発生量は年間1.8ゼタバイトに達し、2020年には年間35ゼタバイトに及ぶという試算もある。

 膨大なデータの海から、「個のデータの変化」というイベントにもとづいて仮説を導出し、タイムリーに、適切な人へ適切な施策を実行し、その効果を検証しナレッジ化するPDCAサイクルを構築することが競合に勝利する絶対条件である。

 データで効果測定し、ナレッジ化が不可能なマーケティング施策は施策とは呼べない。なぜなら、結果を出せる組織(または人)は、常に今起きていること、将来起きるであろうことをデータで説明できる組織(または人)である場合がほとんどだからだ。

激化する情報戦のカギとなる「Knowledge Process Outsourcing(KPO)」

 変化の激しい時代には、データにもとづく施策の意思決定の「質」と「スピード」が求められる。データドリブンマーケティングの場合、100%の正解を導き出すのに時間とコストを費やすよりも70%の正解で「スピード」を確保するという割り切りも重要である。今月収集したデータの分析結果が3か月後にレポートされても、ほとんどの場合、競争環境が変化しているので役に立たない。

 しかしながら、信用リスク管理においてはわずか数%の誤差が数億円規模の損失(貸し倒れ)につながる可能性を否定できない。与えられた時間とコストいう制約条件の下、限界まで100%の正解を求める。この点が金融工学における信用リスク管理とデータドリブンマーケティングの唯一の考え方の違いと言える。

 昨今の日本の経済環境と人口動態を鑑みると、市場は今後もますますボーダレス化し、日本企業とデータサイエンティストを多数擁するグローバル企業との競争は不可避である。まさに「情報戦」という名の経済戦争の様相を呈している。日本の大学と企業がグローバルで戦えるデータサイエンティストを育成できないのであれば、今後は弊社が提唱する知的業務委託、すなわち「Knowledge Process Outsourcing(KPO)」が今後の日本の新潮流になるのではないだろうか? 次回は連載のタイトルと趣が少し異なるが、KPOを活用しビジネスを成功させるポイントについて解説したい。

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この記事の著者

河野 洋一(カワノ ヨウイチ)

トランスコスモス株式会社 常務執行役員 兼 トランスコスモス・アナリティクス 代表取締役社長

2003年トランスコスモス入社、2004年同社、執行役員、2009年同社、常務執行役員(現任)。入社以来、コンタクトセンターとWeb/ECを顧客接点としたダイレクトマーケティング関連サービスの開発とデリバリに従事。2008年にトランスコスモス・アナリティクスの前身となる「MCM分析サービス部」をトランスコスモス内に立上げ、トランスコスモス...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/19 11:52 https://markezine.jp/article/detail/16476

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