ネットマーケティングを統合管理する必要性
アドテクノロジーの進化は、数多くの新しい広告配信技術を生みだすと同時に、今まで測ることが難しかった「広告貢献度の可視化」技術も大きく進歩させてきました。これまで困難だった広告効果や目標達成への貢献度がみえるようになること、それはそのまま「広告の役割の多様化」につながります。
これまでのネット広告は、どちらかというとゴールゲッター、すなわちコンバージョンの直前にクリック(ラストクリック)された広告のみが大きく評価されがちでした。しかし、第三者アドサーバーの導入により、認知や興味喚起など、ラストクリックに到る前の効果も測ることができるようになったことで、ゴールまでボールをつなぐ役割を担っていた広告もその貢献度をきちんと評価され始めたのです。
複数の広告手法、また複数のメディアがそれぞれ役割を分担し、1つのゴールを目指すというキャンペーンがネット広告の分野でもスタンダードになると、これまでのようにそれぞれのメディアごとに分散管理をしていては、キャンペーン全体の効果最適化は到底できるものではありません。
多様な役割を持つそれぞれの広告を1つのチームとしてまとめ、統合的に管理しゴールを目指すこと、それは真の意味でネットマーケティング全体の効果を最適化するためには必要不可欠なことなのです。
統合管理の具体的メリット
それでは、キャンペーンを統合管理することによって具体的にどんなメリットを得ることができるのでしょうか。某商品のECサイトの例をもとに説明したいと思います。
このECサイトで商品の購入(コンバージョン)に直接的に最も貢献しているのはリスティング広告です。もし、購入の直前にクリックされた広告(ラストクリック広告)だけを評価するなら、リスティング広告に広告予算の大部分を投入するのが最も効果的といえます。
しかし、その他の広告について詳しく分析してみると、ディスプレイ広告を視たことがブランド名の検索行動に大きく貢献していることがわかりました。また、この商品はTVCMにも出稿をしているのですが、その影響からかスマートフォンからの検索も多くみられ、スマートフォン検索のピークからやや時間をおいてPC検索のピークがくることから、スマートフォンで商品を一度調べた後に再度PCからサイトに訪れて商品を購入していることもみえてきました。
つまり、複数の広告手法、また複数のデバイスがそれぞれ相互に貢献し合って、最終的なゴールにつながっていたのです。
このように、それぞれの広告の役割とコンバージョンへの貢献度を俯瞰的に分析することで、最終的に効果が最大になるメディアプランニングと予算配分が可能になること、これが統合管理の最大のメリットといえます。 そしてこれは、昨年から日本でもトレンドワードとなっているアトリビューションの考え方そのものなのです。