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「マーケティングリサーチなんかいらない!?」 変わるものと変わらないものを考える

変わることのない、基本として理解しておきたい、マーケティングリサーチの3つの考え方【最終回】

 変化を迫られるマーケティングリサーチについて考察してきたこの連載も今回が最終回となりました。これまでの議論を踏まえて、いまリサーチを行なううえで大切な3つの考え方を、りんく考房の鈴木敦詞氏がわかりやすく解説します。

本質の理解が大切

 これまで様々な視点から、マーケティングリサーチについて考えてきました。ICT(Information and Communication Technology)をはじめとした環境が変わり、人々の行動が変わり、マーケティングが変わる中で、リサーチを捉える視点も変える必要があるということを述べてきました。それは、リサーチ目的の変化であり、手法の拡張であり、代表性や単一調査への依存、同質性の重視などこれまで”常識”といわれていた考え方の見直しでもありました。

 しかし、これらの変化を真に理解するためには、一方でマーケティングリサーチの本質を理解していることが求められます。どんなに時代が変化しても、ベースにある考え方、哲学は、そうそう変わることがありません。むしろ、これらを理解しているからこそ、時代の変化に直面しても本質を見失わずに対応していくことができるのではないでしょか。

 そこで最終回の今回は、変わることのない、基本として理解しておきたい、マーケティングリサーチの考え方について見ていきたいと思います。今回は大きく3つの軸で考えます。1つめは、リサーチの企画、設計についての考え方についてです。2つめは、集計や解析、統計についての考え方です。そして3つめは、分析についての考え方です。

リサーチの企画、設計の考え方

 まず思い出していただきたいのは、マーケティングリサーチはツールだということです。ツールである以上、使う目的に依存します。すべてのリサーチは、目的志向、アウトプット志向であるべきです。リサーチの目的は何なのか、結果をどのように活用するのかについて考えること、これが企画、設計の大原則になります。

背景理解とリサーチ目的の設定

 そのためには、リサーチをすることになったビジネス的な背景、マーケティング目標や課題の理解が欠かせません。テーマとなっている商品やサービスは、ビジネス上どのようなポジションにあるのか、開発過程のどの段階にあるのか、どのような課題を抱えているのか、すでに明らかになっていることは何か、最終的なアウトプットをどのように活用するのかなど、確認しなければならない事項は少なくありません。

 これらが明らかになってはじめて、リサーチ目的が定まります。このリサーチでは、何のために、どのような情報を得るのか、という大きな方向性を決めることです。たとえば、あるネットサービスが不振なので原因を探るというのがマーケティング課題だとします。しかし、不振の要因はいくつか考えられるはずです。それらの仮説を充実させることが目的なのか、すでにある仮説を検証することが目的なのかで、その後のリサーチ設計は異なります。

リサーチ課題へのブレイクダウン

 リサーチ目的という大きな方向性が決まったら、より具体的なリサーチ課題にブレイクダウンしていきます。この時に大切なのが、アウトプットの活用をイメージすることです。先ほどの例でいえば、ある仮説を検証し原因がわかったとしても、それだけでは不十分だということに気づくでしょう。原因がわかっても打ち手が見えなければ、単なるデータに過ぎません。リサーチ後の活用を見据えた時に、明らかにすべき課題は何か。リサーチ課題は、このような視点で考えます。

リサーチの設計

 リサーチ目的や課題が明らかになって、はじめてリサーチの設計に進むことができます。どのようなデータを、どのように得るのか、についての検討です。この時の大きなテーマのひとつが、どのように、つまりツール=手法の決定になります。

 たとえば、仮説を探索するためにアンケートのような構成的な手法を用いることは意味がありません(「構成的リサーチ」については連載第3回をご覧ください)。なぜなら、アンケートは仮説の妥当性を検証するのが大きな目的だからです。この手法では、すでにいくつかの仮説があることが前提になっています。つまり、明確な仮説がまだなく、手探り状態の中でアンケート調査を行っても意味がないですし、そもそも仮説がない中では有効な調査票を作れません。逆に、すでにいくつかの仮説があり、次へ進むための意思決定をしようという時や周りを説得するためのデータを得ようという時に、量的な結論が出ない調査、あるいはサンプル数が少なすぎる調査を実施してもまた、意味がないでしょう。

 このような「目的志向」による企画、設計が、マーケティングリサーチの考え方の大きな軸になります。なにを当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、意外と目的志向でないリサーチや、目的と手段が合っていないリサーチは少なくないようです。結果として、「リサーチは使えない」と言われる大きな要因になっていると考えられます。

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この記事の著者

鈴木 敦詞(りんく考房)(スズキ アツシ(リンクコウボウ))

りんく考房代表。マーケティングエージェンシー、リサーチ会社を経て独立し、フリーランスにて活動中。独立を機に大学院で学び直し(多摩大学大学院経営情報学研究科修士課程修了)、現在はマーケティングおよびリサーチに関する支援、研修、および執筆活動を行う。blog/Facebook「マーケティング・リサーチの寺子屋」では、リサーチ関連の情報を提供中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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